よくひとりぼっちだった の商品レビュー
高校時代のこと。 現国のH先生は、読んで面白かった本をたまに授業で紹介してくれた。 そのH先生の読み方はヒジョーに深くしかも鋭く、 行間のさらに行間の奥に潜む作者・登場人物の心理を暴き出し、 わかりやすく説明したものだった。 一応読書好きな自分だけれど、 より深く踏み込んで読むH...
高校時代のこと。 現国のH先生は、読んで面白かった本をたまに授業で紹介してくれた。 そのH先生の読み方はヒジョーに深くしかも鋭く、 行間のさらに行間の奥に潜む作者・登場人物の心理を暴き出し、 わかりやすく説明したものだった。 一応読書好きな自分だけれど、 より深く踏み込んで読むH先生の領域にはまったく達していない。 今、H先生の授業を聞くことができたら、 さぞ面白いだろうと思う。 当時、どんな本を紹介していたのかほとんど記憶にない。 唯一、一冊だけ覚えていたのがこのモーリー・ロバートソンの『よくひとりぼっちだった』なのだ。 高校を卒業してン十年になるけれども、 ようやっと手に取ることができたわけです。 もっとも多感な10代後半に、 日本とアメリカの教育・文化の違いに翻弄され傷つきつつも、 たくましく立ち向かっていく自伝的作品。 東大とハーバードに合格するまでのストーリー。 実は自分に「なんちゃって帰国子女」になるチャンスが一度高校時代にあった。 当時、父がアメリカで仕事をすることになったのだ。 大学受験と重なる微妙な時期だったし、 聞く・話す英語にはまったく自信がなかったしで、 結局はアメリカに行かず、日本の高校を卒業し日本の大学へ行く道を選んだ。 近年になって一念発起し、英会話を学ぶようになった。 あのときのチャンスをフイにしたことを後悔した。 しかし、今回の作品を読んで、アメリカに行かなくてよかったかもしれないと、 思うようになった。 サンフランシスコで散々いやな目に遭ったモーリーである。 より保守的なアメリカ南部の高校にもし自分が行っていたら?? うーむ。 ちなみにモーリーは現在ミュージシャンとして活躍している。
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