憧れの女の子 の商品レビュー
Posted by
初読み作家さん。なかなか読み応えあった。 表題作は展開が意外というか・・・、敦子の女の子への並々ならぬ想いと、結果を受け止める強さの振れ幅に目をみはる思いがした。そしてさらに、先へ進もうとする強さ。親心とはまた少し違う、ひとりの人間としての思い、考え方を見た気がした。 夫の俊彦目...
初読み作家さん。なかなか読み応えあった。 表題作は展開が意外というか・・・、敦子の女の子への並々ならぬ想いと、結果を受け止める強さの振れ幅に目をみはる思いがした。そしてさらに、先へ進もうとする強さ。親心とはまた少し違う、ひとりの人間としての思い、考え方を見た気がした。 夫の俊彦目線だから感情的になりすぎることなく、その強い思いを感じられる。 「わたくしたちの境目は」も味がある。妻を亡くした老人・勇造が、息子夫婦と孫とともに、妻とよく行った湯治旅館へ行く話。 ガンで乳房をなくした妻、初子とあちこちめぐった温泉の記憶をたどりつつ、孫としりとりするという微笑ましい現実を交えつつ。 混浴場で弾みから嫁の体の輪郭を目の当たりにし、その美しい曲線に息を呑む勇造。なぜ、乳房を再建したいという初子の願いを聞いてやらなかったのかと、後悔に襲われる。 年老いてしわだらけになっても、そのしわひとつひとつに、彼女の生きた時間が凝縮されていた。体とはつまり生きた証なのだ。そう気付く場面が印象的。
Posted by
うまい!!現実味がありつつも物語的な背景描写と、心情描写。その上でこの物語を通して訴えたいことがなんだったのか、とても明確。そんな数編。ノンフィクション作家だったことが影響してるのかしら?
Posted by
甘いタイトルにつられて読んでみれば苦い物語の連続。人の心のこんなところまで踏み込むんだ、という描写にうなりました。
Posted by
典型的な帯買い(帯を見て惹かれて買った)した本。そして帯を信じて買ってよかった、と思った本。 「次は女の子を産むわ」と宣言して産み分けに必死になる妻を、言い表せない違和感を持ちながら見つめつつともに暮らす夫が主人公の表題作。その他四編。 全てにおいて、ハッピーエンドではないけれ...
典型的な帯買い(帯を見て惹かれて買った)した本。そして帯を信じて買ってよかった、と思った本。 「次は女の子を産むわ」と宣言して産み分けに必死になる妻を、言い表せない違和感を持ちながら見つめつつともに暮らす夫が主人公の表題作。その他四編。 全てにおいて、ハッピーエンドではないけれど希望が見えないわけでもないラストが秀逸で、独特な読後感だった。 ちくりと胸が痛むけれど、泣きたいのとは違うような。 “普通”な人間なんてこの世の中にはいないのかもしれない。一見何の問題もなく、何の悩みもないように見えても、その実はわからない。 そして“普通の関係”というものもない。 それぞれ個性がある人間同士の関係には、それぞれの進み方があり、それぞれ様々な出来事がある。 危ういバランスながらもうまくいくこともあるし、努力をしてもうまくいかないこともある。 ほんの些細な心理描写や登場人物の言葉が、胸に刺さったり、こういう感情ってあるなぁと思ったり。 いわゆる叙述トリックの物語もあるのだけど、本当に騙された気分ですごく楽しかった。 えっえっ何なに?(戻って読み返す)そういうことか!巧い!一本取られた!みたいな。笑 叙述トリックの小説ってけっこう話題になるから事前に知っちゃってて疑いながら読むパターンが多いけど、まったく知らなくてしかも巧いと本当に楽しいんだと思った。 朝比奈あすかさん。初めて読んだ作家さんだけど、他のもこんなに面白いのだろうか。
Posted by
ジャケット、タイトルから、普段自発的に読むタイプの本ではないかな…と読まずに避けていたのがもったいなかった!というくらいに、巧い。 表題作「憧れの女の子」の、相反する気持ちが素直に同居している登場人物たちや白とも黒ともつけられない出来事の描写にリアリティが詰まっていて沁みた。...
ジャケット、タイトルから、普段自発的に読むタイプの本ではないかな…と読まずに避けていたのがもったいなかった!というくらいに、巧い。 表題作「憧れの女の子」の、相反する気持ちが素直に同居している登場人物たちや白とも黒ともつけられない出来事の描写にリアリティが詰まっていて沁みた。 「ある男女をとりまく風景」にはやられた。自分は持っていないと思いこもうとしていた先入観が実はありありと存在していることを突き付けられる。 電車に乗る前に読む本がなかったため急いで買った本だったけど、良い出会いだった。
Posted by
いろんな年代の女の人の心理描写がおもしろい。男性目線だったりね。女の子産みたいって気持ちはよくわかるけど、夫はこんな風に思うのかなー笑
Posted by
推薦者(宮下奈都さん)買いしたものの、幸福な出会いだと思う。 物語はとつとつと進み、派手な事件が起きたりはしないけど、丁寧に描かれた文章なのかなと思うけど、とてもするりと気持ちに入ってくるカンジ。 物語の機微を楽しめる。 「ある男女をとりまく風景」は叙述的トリックというか、...
推薦者(宮下奈都さん)買いしたものの、幸福な出会いだと思う。 物語はとつとつと進み、派手な事件が起きたりはしないけど、丁寧に描かれた文章なのかなと思うけど、とてもするりと気持ちに入ってくるカンジ。 物語の機微を楽しめる。 「ある男女をとりまく風景」は叙述的トリックというか、そのギミックに目を奪われるが、そうと気づいて尚、納得というか、理解というか、無理解というか、ふと思いを添わせてしまう自分に驚くのだ。
Posted by