憧れの女の子 の商品レビュー
「次は女の子を産むわ」と宣言して、産み分けに躍起になる妻、違和感を覚えながら異を唱えられない夫。様々な葛藤を経て夫婦がたどり着いた先は・・・「憧れの女の子」を含む5つの短編。 とにかくどの作品も良くできている。 それぞれに微妙なテーマを扱いながら決して重すぎず、心に引っ掛かりを...
「次は女の子を産むわ」と宣言して、産み分けに躍起になる妻、違和感を覚えながら異を唱えられない夫。様々な葛藤を経て夫婦がたどり着いた先は・・・「憧れの女の子」を含む5つの短編。 とにかくどの作品も良くできている。 それぞれに微妙なテーマを扱いながら決して重すぎず、心に引っ掛かりを残すもののラストは小さな希望があって読後は決して悪くない。 「ある男女をとりまく風家」では絶妙な叙述トリックにまんまとしてやられ、「リボン」では人との関わり方の難しさをしみじみと感じ、「わたくしたちの境目は」ではがんで妻を亡くした夫の後悔の念を思い泣いた。 5つの作品はそれぞれに違う年齢、境遇の男女の機微をうまく描いているから、読み手はいずれかを自分の人生に引き寄せて感じ入ることが出来るのかもしれない。
Posted by
はじめての作家さんの短編集。 すごい。なんというか、話のつくりもテクニックも文章も上手で衝撃を受けた。自分の中にある男女の固定観念を突きつけられたり、色んな意味で男女の違いを考えさせられたり。女性を書くにあたっての視点も面白い。 「ある男女を取り巻く風景」のテクニックに圧倒され、...
はじめての作家さんの短編集。 すごい。なんというか、話のつくりもテクニックも文章も上手で衝撃を受けた。自分の中にある男女の固定観念を突きつけられたり、色んな意味で男女の違いを考えさせられたり。女性を書くにあたっての視点も面白い。 「ある男女を取り巻く風景」のテクニックに圧倒され、「リボン」のメッセージに泣きそうになった。あえて好きなのあげたけど、本当に全部良かった~~。 人間のマイナスの感情がプラスに働く瞬間を丁寧に的確にリアルに書いてるのもすごい。共感してしまう人は多いのではないかなあ。 シンプルに、年を取るのもいいな、どんな生き方になってもその時々で幸せがあるんだなと、前向きな気持ちになれる。本当に良い小説を読んだ。満足感というより幸福感を感じられる一冊。
Posted by
どうしても女の子が欲しくて、産み分けに躍起になる妻に戸惑いながらも協力していく夫の揺れる心情を書いた「憧れの女の子」 普通の男女の話と読み進めていくと、えっ!そうだったの?びっくりさせられた「ある男女をとりまく風景」他3編
Posted by
女の子をどうしても産みたい、その一心で産み分けに躍起になる妻を描いた表題作を含んだ全5篇の短編集。 「ある男女をとりまく風景」は秀逸!やられた! 「弟の婚約者」も、女性の狂気じみた感情が細かく描写されててゾクゾクしながら読んだ。 リピートしたい一冊。
Posted by
朝比奈さん初読みです。5編のお話からなる短編集、理想と現実の間のギャップに困惑したり、悩んだりしながら、前向きに生きている人達の話が面白かった。どの話も主人公の背景がきちんと描かれているので時に共感したり感情移入して読みました。うまい作家さんだなあ……『憧れの女の子』の意味はそっ...
朝比奈さん初読みです。5編のお話からなる短編集、理想と現実の間のギャップに困惑したり、悩んだりしながら、前向きに生きている人達の話が面白かった。どの話も主人公の背景がきちんと描かれているので時に共感したり感情移入して読みました。うまい作家さんだなあ……『憧れの女の子』の意味はそっちか、そして『ある男女をとりまく風景』はすっかり騙されました。ゲスなDV男だと思っていたのに……やられたーって感じ。他の作品も読んでみたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
表題作は、どうしても女の子の母になりたがっていた妻を見下していた夫が、物語の後半にいくに従い女の子の父になれない寂しさに気持ちが変わっていくのが意外性があり怖くてリアル。 出産前の検査も生み分けも個人の自由だと思うが営みそのものや、命の芽生から神々しさが失われるのは確かかも。 他の短編もどれも身近に感じられる物語で、ラストが爽やかな光が想像出来るのがとても良い。 もがいてあがいて、何かが終わって見えてくるものがあるという事を教えてくれる。
Posted by
年末恒例の「おすすめ文庫王国」が出たので早速購入。 お金を払う前にそのまま手にして載っている面白そうな本を物色するが、棚に刺さっているものがなく、ようやくこの本を見つけた。 “憧れの女の子”って、お話を読んでみれば、ああそういうことかと分かるのだけど、あまり惹かれないタイトルね。...
年末恒例の「おすすめ文庫王国」が出たので早速購入。 お金を払う前にそのまま手にして載っている面白そうな本を物色するが、棚に刺さっているものがなく、ようやくこの本を見つけた。 “憧れの女の子”って、お話を読んでみれば、ああそういうことかと分かるのだけど、あまり惹かれないタイトルね。 男の子ふたりを授かっているところに、妻が3人目にどうしても女の子を産むのだと頑張る夫婦の姿を描く第1話。 私のところは男の子ばかりで、元々男の子が欲しかったので満足なのだけど、大きくなってくるとむさくるしさも増すので、女の子がいたらなぁと思ったこともないではない。だけども、これは天の配剤だからなぁ。 というように思っているところに、この話、作りとしてはなかなか巧みだと思うけど、私自身の3人目の子供が出来た時の出来事や職場恋愛の経験からすれば、事実はとてもベタでも余程劇的だったという思いもあって、ああいう風にまとめられると綺麗事に過ぎるように感じた。 最初の話もそうだけど、第2話以降もこの本を貫いているのは個人の価値観をもとにしたすれ違い。 2話目の彼の言っていることは尤ものように聞こえるけれど、相手のことを思った役割分担とか現状に満足しない努力などを放棄しているように思え、3話目の母親のあの態度に共感するところはないけれど、周りには理解しにくい弟の結婚はうまくいかないのではないかという気持ちとしては良く分かる。 古いか新しいかということだけでなく、色々な視点があると思うのだけど、この本の作者は何に重きを置いているのか、良く感じ取れなかった。
Posted by
男女の心の行き違いから浮かび上がる人間の本質を鮮やかに描く5編の短編集。他人事のようで、実は私たち自身の物語。 ある男女の特殊な状況を、斜め目線から捉えるような印象を抱くが、いちいち心に小さな棘が刺さったような気持ちになる。まさに、痛いとこ突かれたという感じ。男は男の、女は女の考...
男女の心の行き違いから浮かび上がる人間の本質を鮮やかに描く5編の短編集。他人事のようで、実は私たち自身の物語。 ある男女の特殊な状況を、斜め目線から捉えるような印象を抱くが、いちいち心に小さな棘が刺さったような気持ちになる。まさに、痛いとこ突かれたという感じ。男は男の、女は女の考えと感情があり、関係がうまくいくかどうかは、たとえ同姓でも分からない。その微妙な心うちを作者は捉えるのが非常に巧い。
Posted by
ふつう、と、ふつうじゃない。 当たり前、と、当たり前じゃない。 大丈夫、と、大丈夫じゃない。 境目はあいまいで、自由で、不自由だ。 強く美しく生きるってなんだろう。
Posted by
「憧れの女の子」 男児二人の母親が、女の子を産みたいと必死になる話を、夫目線で綴る。女はいつまで経っても見栄っ張りでマウンティングの世界から抜けられない。男は無神経で無責任。 結果、三人目も男の子だったことにケロッとしていた彼女は、前向きでで強い女性だなと思った。 「ある男女を...
「憧れの女の子」 男児二人の母親が、女の子を産みたいと必死になる話を、夫目線で綴る。女はいつまで経っても見栄っ張りでマウンティングの世界から抜けられない。男は無神経で無責任。 結果、三人目も男の子だったことにケロッとしていた彼女は、前向きでで強い女性だなと思った。 「ある男女をとりまく風情」 ジェンダー論モリモリ。男と女と社会、結論なんてきっと出ない。 「弟の婚約者」 過去の婚約者とは姑問題で破綻し、趣味に毛の生えたような仕事で実家暮らしをしている主人公。 弟の婚約者が気に入らない主人公は結婚に反対したい気持ちと弟に嫌われたくない気持ちでエゴ空回りする話。 個性的で社会性はないかもしれない婚約者の女の子、幸せになれるといいね。 主人公はエゴゴリラだよ。 「リボン」 イケメンでゲイのカフェオーナーの身の上話。 壁を作って生きていく。 「わたくしたちの境目は」 息子と嫁と孫と、亡き妻との思い出の温泉へ旅行する話。 病気の話は苦手だ。
Posted by