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片手の郵便配達人 の商品レビュー

4.1

16件のお客様レビュー

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2016/05/20

ドイツの山間の片田舎を舞台とした、第2次世界大戦終盤の1年弱の物語。郵便配達員として山間の村々を毎日20キロほど歩きまわる主人公の若者ヨハンと、そのヨハンが郵便を届ける人々のお話。若い郵便配達員のヨハンは、前線に出てすぐ片腕を失って再び故郷に戻って郵便配達員をしている。ドイツの旗...

ドイツの山間の片田舎を舞台とした、第2次世界大戦終盤の1年弱の物語。郵便配達員として山間の村々を毎日20キロほど歩きまわる主人公の若者ヨハンと、そのヨハンが郵便を届ける人々のお話。若い郵便配達員のヨハンは、前線に出てすぐ片腕を失って再び故郷に戻って郵便配達員をしている。ドイツの旗色が悪くなってきた終盤の人々の日常生活が舞台。戦場が舞台ではなく、この様な時期のドイツの人々の生活を描いた物語を読むのは初めてだったが、日本の終戦直前と大差ないと感じた。色んな村と、多くの人々が登場してくるんだが、やはりカタカナの名前がどうも覚えきれず、読んでて誰だったか分からなくなるのが難点。邦訳書籍には、人物リストと、村々の場所の関係を表す地図を掲載して欲しかった。あと、主人公がラストに向かえる悲劇がとても切なくてやりきれん。

Posted byブクログ

2016/04/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ラスト,思わず「おいおいおいおい」と声を出しながら読んでしまった。町の風景とか会話の様子とか思い浮かべながら読むようになってたからか,まさか何で死ななあかんのと理不尽さに吠えたくなったけど,こんな理不尽なことが当たり前に累々としていたんだろうなと思う。頭を垂れるしかない。

Posted byブクログ

2016/02/27

1941年夏のことだった。国の政策は昔ながらの図書館をめちゃくちゃにしてしまった。中身がガラリと変えられたのだ。ユダヤ色や共産主義色のある本は、アーリア、ゲルマン、原初ドイツ的な本と入れ替えられら。山のような箱が届き、新しい本が並べられた。

Posted byブクログ

2016/02/16

朝日新聞の書評欄で知る。見習い兵士として前線へ行った2日目に左手を失くし、帰郷して郵便配達の仕事に復帰した17歳のヨハン。彼が地元の7つの集落をめぐって郵便を配達し収集する日々を記した、1944年8月から1945年5月の10ヶ月間の物語。淡々とした筆致で進められる物語はドイツの物...

朝日新聞の書評欄で知る。見習い兵士として前線へ行った2日目に左手を失くし、帰郷して郵便配達の仕事に復帰した17歳のヨハン。彼が地元の7つの集落をめぐって郵便を配達し収集する日々を記した、1944年8月から1945年5月の10ヶ月間の物語。淡々とした筆致で進められる物語はドイツの物語なのにモノローグで進む仏映画のよう。衝撃的な描写(負傷兵の傷、それぞれの家庭の事情)はあるけど、あまり起伏のない物語に正直最初の2、3章は読みながら眠ってしまった。しかし読み進めるうちにいつしか自分がヨハンになったかのように7つの集落の住人たちと知り合いになり、その事情を知り、同じように黒い郵便(死亡、行方不明通知)にドキドキするようになる。ヨハンは愚直に郵便配達の仕事に従事し、手紙を受け取る人々の悲喜交々、とりわけ悲劇が重なっていく。訳者あとがきにあるが、現実の世界でも軍事郵便を待っていた人々がやがて郵便配達人が家の前を素通りすると安心するようになったという(日本でも同様の話を聞いたことがある)。戦時中だが7つの集落で戦闘はなく、ただ砲弾の音が聞こえる程度。当たり前だが戦時中でも季節は移ろいゆく。秋から厳冬、春、初夏と移る季節の描写が美しい。ところが終戦を迎えた途端にこの7つの集落の地に戦争の現実が入り込む。それまでのんびりしたテンポだったのが最後に畳み掛けるようなテンポとなり、そして衝撃の結末。正直あまりに救いのない結末に読後感が悪く、就寝前だったので悪夢を見ないよう、しばし他のことを考えたり音楽に気持ちを移してから寝た。こんな結末にする必要があっただろうか。実際この著者の作品について「いたずらに不安を煽る。」(訳者あとがき)という批判があるそうだ。しかし結末はともかく、”奇跡の兵器”(原爆?)で勝利するというプロパガンダとそれを信じる人々、”原始ドイツ的”な本が置かれるようになった図書館、ナチスを盲信する若い世代が描かれているところは現代に対する警鐘として描かれるべきことだろう。一方でこの時代にこんな発言ができたかと思うほど反ナチ的発言もが多い。秀才児に未来を予言するようなことを(「ヒトラーは自殺すると思う」など、それらはすべて現実に起こったことなのだが)次々と言わせてみたり。ヨハンが恋に落ちるイルメラは、彼の母と同じ助産婦であり、生命を導く仕事をしている人間らしく「これからはいい時代が来る。私が取り上げた男の子たちはもう決して戦争に行かなくてすむ。戦争を経験した世代がそうしなくちゃ。そのひとたちが生きている限りー」それは寓話の形でなしたこの物語のところどころにそっと挟み込まれた著者からのメッセージだと受け取った。

Posted byブクログ

2016/02/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ヒトラーが指揮をとる第二次大戦中のドイツ。 簡単な訓練を受けただけで戦地へとおくられた17才のヨハン。左手を失い、故郷に戻される。そこで郵便配達人として働くこととなる。 郵便配達人は、戦地からの手紙を心待ちにする人に配達することもあるが、あるときは「黒い手紙」という戦死報告の手紙を遺族へ配達しなくてはいけないこともある。 誠実な郵便配達人であるヨハンは、人々の気持ちに寄り添い、信頼を得て暮らすが、「黒い手紙」の配達は増えていき、やがて戦争は敗戦という結末を以って故郷の村にふりかかる。 日本も同じようなものだったのではないかと。他人事ではない近さがあった。

Posted byブクログ

2016/12/01

第二次世界大戦も終盤、戦場に駆り出された17歳のヨハンは左手を失って村へ戻り、郵便配達をしている。戦場からの家族の便りを待ちわびる人々。時として戦死を告げる「黒い手紙」も届ける。ヒトラーの号令の元繰り広げられる戦争。巻き込まれる人々。賛同する人とその家族、批判的な人、捕虜として連...

第二次世界大戦も終盤、戦場に駆り出された17歳のヨハンは左手を失って村へ戻り、郵便配達をしている。戦場からの家族の便りを待ちわびる人々。時として戦死を告げる「黒い手紙」も届ける。ヒトラーの号令の元繰り広げられる戦争。巻き込まれる人々。賛同する人とその家族、批判的な人、捕虜として連れてこられれた人。様々の人に郵便を配達するヨハン。そんななかで出会った美しいイルメラとの恋。徐々に終戦へと近づいていく。 イルメラは、両親を探してヨハンの元から離れる。再会を誓って。そしてヒトラーは自殺し、戦争は終わる。イルメラに会いに行こうとするヨハンは、ナチスに傾倒している自慢の息子とヨハンを時々混同してしまう認知症の傾向のある婦人の家を訪れる。そこでヨハンが出会うのは…。 伏線は細かく張り巡らされていたのですが、最後の最後に「ああ…」と思わされるラストに衝撃でした。 何が真実で、何が正義なのか、戦争は愚かです。

Posted byブクログ