悲しみの秘義 若松英輔エッセイ集 の商品レビュー
#65奈良県立図書情報館ビブリオバトル「10年後にまた読みたい本」で紹介された本です。 サンジョルディの日にちなんで2部制の内の1部。 1部は通常のビブリオバトル、2部は奈良県内の書店員さんによるエキシビジョンマッチでした。 2016.4.16 https://m.faceboo...
#65奈良県立図書情報館ビブリオバトル「10年後にまた読みたい本」で紹介された本です。 サンジョルディの日にちなんで2部制の内の1部。 1部は通常のビブリオバトル、2部は奈良県内の書店員さんによるエキシビジョンマッチでした。 2016.4.16 https://m.facebook.com/events/1701471486762147?view=permalink&id=1715044465404849
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■目次 はじめに 1 悲しみの秘義 2 見えないことの確かさ 3 低くて濃密な場所 4 底知れぬ「無知」 5 眠れない夜の対話 6 彼方の世界へ届く歌 7 勇気とは何か 8 原民喜の小さな手帳 9 師について 10 覚悟の発見 11 別離ではない 12 語り得ない彫刻 13 こ...
■目次 はじめに 1 悲しみの秘義 2 見えないことの確かさ 3 低くて濃密な場所 4 底知れぬ「無知」 5 眠れない夜の対話 6 彼方の世界へ届く歌 7 勇気とは何か 8 原民喜の小さな手帳 9 師について 10 覚悟の発見 11 別離ではない 12 語り得ない彫刻 13 この世にいること 14 花の供養に 15 信頼のまなざし 16 君ぞかなしき 17 模写などできない 18 孤独をつかむ 19 書けない履歴書 20 一対一 21 詩は魂の歌 22 悲しい花 23 彼女 24 色なき色 25 文学の経験 あとがき ■まとめ ・生きるとは、人生とは何かを問うことではなく、人生からの問いに応えること(ヴィクトール・フランクル『夜と霧』) ・信仰とは頭で考えることではなく、生きてみること。人は二つの道を同時に考えることはできても、同時に歩むことは決してできない(井上洋治 神父) ・古典は、長く付き合ってくれる読者の出現を待っている。読むことを通じて、それぞれの人間が、私の『こころ』を胸のうちに産みだすこと、それが文学の経験にほかならない(「文学の経験」) ■感想 書かれた言葉は読まれることではじめて生きた言葉になる。このようにくり返し説き、読むことの力を信じる著者は一方で、書くことによって慰められてもいる。止まってしまった時間が、書くことをつうじてふたたび流れ始めるような瞬間が、人生にはあるからだ。 25篇のうち、「彼女」が本書の白眉であり、もっとも深い底だろう。悲しいことは起こる。別の人生が始まる。時のねじを巻き戻すことは決して叶わない、という現実を深く受け容れたときに私たちに生じる気持ちが、愛惜の色を帯びた「かなしみ」なのだろう。せめてささやかな祈りで応えたい。
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俵万智さんの解説が全てを物語っていると思います。 心で涙することは慟哭以上とは想像出来ない私にはこの作品を好き嫌いという評価するところに私はいないと思いました。 また時が来れば再読してみたいと思います。
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別れ、特に親しい他人の死とどう向き合うかは、自らの死とどう向き合うかという問いにもつながる。メメントモリ(詩を思え)を考えるきっかけになる。悲しいのは死だけでなく、生きることでも悲しい面はある。とてもよかった。 自分の奥さんとの別れを描いた章には言葉を失った。なぜ悲しみを言語化して書き記すのか?なぜ私たちはこの本を読むのか?何を感じるのか?色々感がるときりがない。 あとがきにはこんな表現がある。 「最後に、人は誰も、自らが真に欲する言葉を自分の手で書くという本能をもっている。 本書を手にした読者が、紙に記された言葉を読むだけでなく、文章を書くことで、出会うべき言葉と遭遇する。そうした経験の契機になることができたなら、筆者としてはこの上ない喜びである。」 中断していたモーニングジャーナリングを再開しようと思った。
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美しい本。 2017年に大阪、心斎橋のSTANDARD BOOK STOREにて。 めったにサイン本は買わないけど、これはサインの横にひと言添えてあったのでサイン本を買った。 一冊一冊違う柄の素晴らしい装幀で、見なくても装幀は名久井直子だと覚えている。 内容も装幀も最もお気に入りの本。
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私がほしいのは自らを鼓舞する言葉じゃなくて この本にあるような悲しみに寄り添ってくれる言葉だった。 きっとこれから何度も読み返すだろう一冊
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俵万智さんが「一生モノ」と評したのも納得です。生きること、悲しむこと、言葉を読む(詠む)ことと紡ぐことの意義を、様々な引用を以て、やさしく、丁寧に説いてくれます。辛いとき、悲しいとき、虚しいときなど、人生の様々なタイミングで読み返したい一冊です。
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14章 花の供養に から。 きよ子は手も足もよじれてきて、 手足が縄のようによじれて、 我が身を縛っておりましたが、 見るのも辛うして。 それがあなた、死にました年でしたが、 桜の花の散りますころに。 私がちょっと留守しとりましたら、 縁側に転げ出て、 縁...
14章 花の供養に から。 きよ子は手も足もよじれてきて、 手足が縄のようによじれて、 我が身を縛っておりましたが、 見るのも辛うして。 それがあなた、死にました年でしたが、 桜の花の散りますころに。 私がちょっと留守しとりましたら、 縁側に転げ出て、 縁から落ちて、 地面に這うとりましたですよ。 たまがって駆け寄りましたら、かなわん指で、 桜の花びらば拾おうとしよりましたです。 曲がった指で地面ににじりつけて、 肘から血ぃ出して、 「おかしゃん、はなば」ちゅうて、 花びらばさすとですもんね。 花もあなた、かわいそうに、 地面にねじりつけられて。 何の恨みも言わじゃった嫁入り前の娘が、 たった一枚の桜の花びらを拾うのが、望みでした。 それであなたにお願いですが、 文ば、チッソの方々に、 書いてくださいませんか。 いや、世間の方々に。 桜の時期に、花びらば一枚、 きよ子の代わりに、 拾うてやっては下さいませんでしょうか。 花の供養に。 HNKの番組で『死にたくなったら読む本』で紹介。 筆者は言う。 できれば、声に出して、ゆっくり読んで頂きたい。 一度でなく、二度、読んで頂きたい。
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最初から、 涙がポロポロでました。 こころについて、 たくさん考えさせられました。 うまく言葉にできないですが、 悲しみが、こころの底にあることは、 別れを惜しんだ、今亡き存在と、 今も、繋がっているということを、 感じ取ることができました。 自分では、 絶対選ばない、見...
最初から、 涙がポロポロでました。 こころについて、 たくさん考えさせられました。 うまく言葉にできないですが、 悲しみが、こころの底にあることは、 別れを惜しんだ、今亡き存在と、 今も、繋がっているということを、 感じ取ることができました。 自分では、 絶対選ばない、見つけられない、本だと思います。 インスタグラムで、 見つけた本でした。 本との出会いに感謝。 こころが、豊かになったような感じがします。
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図書館で借りて、自分用に購入。 文庫化されたものを友人に贈った。 …引用は、人生の裏打ちがあるとき、高貴なる沈黙の創造になる。 …本書を手にした読者が、紙に記された言葉を読むだけでなく、文章を書くことで出会うべき言葉と遭遇する。
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