ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学 の商品レビュー
▼総評 一章が割と短く、さくさく読める。 経営学の割と先端の(なお5年前に出版された本なので恐らく当時は本当に最先端の)研究をビジネスパーソン向けにひと通りいいとこ取りしているというのは、多分本当なんだろう。 ▼特に興味深かったポイント ・弱い繋がりで遠くまで繋がってる方が、ク...
▼総評 一章が割と短く、さくさく読める。 経営学の割と先端の(なお5年前に出版された本なので恐らく当時は本当に最先端の)研究をビジネスパーソン向けにひと通りいいとこ取りしているというのは、多分本当なんだろう。 ▼特に興味深かったポイント ・弱い繋がりで遠くまで繋がってる方が、クリエイティブになれる。 ある程度の強さがない人間関係なんて意味がない、つまり関係性が無いも同然なんだと思いきや。弱い繋がりだからと遠慮せず、むしろダメ元でどんどん活用してしまえばいいんだね。名刺は召喚カードという考え方と似てる。 矢野和男著「データの見えざる手」を思い出します。 ・トランザクティブ・メモリー 「誰が何を知っているか」を知っていること。大事だよね。 ・近代経営学は、企業経営の一側面に焦点を定めて分析する。一方で、現実の経営は、複数からなるこれらの「部分」たちを足し合わせ、すり合わせて、最終的に「一つだけの意思決定」をしなければならない。そして、このようなプロセスにおいて、現在の経営学は決定的な理論をまだ持っていない。(P306-308要約) これだな。経営学がどうも不毛な結果論でしか無いという印象しか持てないのは。 ・知識はインフォーマルなものこそ重要 シリコンバレーにIT企業が集積するのも、実際そこでしか得られないインフォーマルな知、暗黙知などを求めるから。 それにしても、中華系にしろユダヤ系にしろネットワークの強い民族に比べて、日本人という属性がグローバルにおいてメリットになることってほとんど聞かないよなぁ…。 ▼もやもやポイント 本書は、基本的に、統計分析に基づく研究を引用することを徹底している。 なんというか….経営学や社会学などは統計分析を盲信し過ぎているきらいがあるように思う。身も蓋もない言い方をすれば、ランダムな対照実験などで検証されることのない理論など、どんなに尤もらしく捏ねくり回したところで、ただの結果論である。現実世界での再現性は保証されないし、それを指摘しようものならさらに色々な言い訳を捏ねくり回される。 経営学の世界では、「そうそう実験なんて出来ないから、「ありもののデータを分析する」のが研究」というのが当然なのかもしれないけど…。それを良しとしない経営学者が書いた本があれば、是非読んでみたい。 (少なくとも著者は、その点について何の疑問も抱いていないようだった。) (なお、組織論の領域に限っては、比較的進んでいるように見える。) (先日読んだ、リチャード・E・ニスベット著「世界で最も美しい問題解決法」の影響を多分に受けております…。) 特に、本書にはメタ・アナリシスによる分析に基づいた研究も多く引用されるが、それらなんかは特に、結論だけ引き合いに出されたところで、素人目にはとても疑わしく映る。 さすがに、「平均の平均」のようなことではないだろうとは思うものの、メタ・アナリシスとやらで導かれた結論にどれだけの信憑性があるのか、正直理解出来ない。(そんなこと言うならメタ・アナリシスをちゃんと勉強しなさいということですね、はい…。) でもまあ、真理に近づくという目的に真摯に向き合っている方々が、十分有用な道具であると考えているならば、そういうものなのかなぁ…。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
パフォーマンスが高い組織は、「組織のメンバーが『ほかのメンバーの誰が何を知っているか』を知っている。 これすごく納得でした! 誰が自分の目の前の課題を解決できる情報を持っているのか、そこへ辿り着けば道筋さえ知っていれば、仕事は終わる。 明日からでも使える働くためのスキルだなと思います。 本全体に関していうと 経営学のメソッドがフレームワークから統計分析に変わり、今までよりも柔軟にそして正確に経営学を解き明かしつつあるなという印象を受けました、
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就活生や新入社員が読めばトップの考えなどの理解に役立つと思う。 多様性の章は社会で頑張っている女性に読んでほしい。
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内容の大枠は前著の「世界の経営学者はいま何を考えているのか」とそう変わらない。 ・経営戦略と市場特性 産業組織型、チェンバレン型、シュンペーター型の3つがある。 ・成功しやすいビジネスモデル 効率性、補完性、囲い込み、新奇性の4つ 新奇性の高いビジネスモデルは高い企業価値を実...
内容の大枠は前著の「世界の経営学者はいま何を考えているのか」とそう変わらない。 ・経営戦略と市場特性 産業組織型、チェンバレン型、シュンペーター型の3つがある。 ・成功しやすいビジネスモデル 効率性、補完性、囲い込み、新奇性の4つ 新奇性の高いビジネスモデルは高い企業価値を実現する ・組織構造がドミナントデザインに従う 効率性の観点から製品のモジュールに合わせて組織がデザインされる。隣り合う部品が近くに配置される。結果として新しい組み合わせが出る機会が減る ・ブレストは効率が悪い 心理的安全性を担保しないと、個人でアイデアを出す場合と比べて、アイデアが出にくくなる。 他方で、誰が何を知っているかを知る場としては効果的。
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■読書の目的 教養として、組織経営・マネジメントに役立つ知識を得たい ■所感 ほぼ教養として読みましたが、経営学まわりの様々なトピックについて、得られるものも多かったです。
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最新の経済学が非常に分かりやすく解説されている。 特にビジネスパーソンが興味を持ちやすいように、理論の説明の際には具体的な企業名などを例にあげて説明されている点は面白く感じた。 何度も読み返したい一冊。
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アメリカでの経営学の主流と日本のビジネスパーソンが参考としているものの違いが良く分かった。どっちが良いと言うことではないけど。そんな中でもリーダーシップ等、重要なところをおさえているので、ビジネスパーソンにとって良書です。
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読みやすく、良い意味で現実的かつハードルの低い経営理論を紹介してくれる。組織の学習効果・パフォーマンスを高めるトランザクティブメモリーには、サラリーマンあるあるの喫煙所コミュニケーションなど例に出しながら分かりやすく解説してくれる。 多様性がポジティブな結果を生むためには?成功体...
読みやすく、良い意味で現実的かつハードルの低い経営理論を紹介してくれる。組織の学習効果・パフォーマンスを高めるトランザクティブメモリーには、サラリーマンあるあるの喫煙所コミュニケーションなど例に出しながら分かりやすく解説してくれる。 多様性がポジティブな結果を生むためには?成功体験と失敗体験のどちらがつぎの成功へ繋がるか?といった視点も面白い。
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経営学の論文が、日々悩みながら取り組んでいることが間違っていなかったと示してくれるとは。もっと早くこの本に出会いたかった。
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経営学は実際の経営には役に立たないのではないか、というあるあるに答えてくれる本。真理を追い続ける学問や科学としての経営学と生の経営の立場の両方を踏まえて書かれているところがわかりやすさにつながっていると思う。例えば組織のあり方について研究された数多くの論文をメタ解析した最新の研究...
経営学は実際の経営には役に立たないのではないか、というあるあるに答えてくれる本。真理を追い続ける学問や科学としての経営学と生の経営の立場の両方を踏まえて書かれているところがわかりやすさにつながっていると思う。例えば組織のあり方について研究された数多くの論文をメタ解析した最新の研究内容をわかりやすく解説した上で、「企業にはタバコ部屋が欠かせないということ」などと解説する。読み手としては勉強になる上、実感持って理解できる。 内容ももちろん大事なのだが、この本がとても読みやすいことに驚きつつ一気に読んでしまった。全26章の一つ一つはどれも大事なテーマなのだが、くどくど小難しい理論を展開する他のの専門書と異なり、コンパクトに必要な事項がまとまっていて飽きずに読み続けられる。参考にした論文は脚注に示されているので、深く学びたい人はそれを参照することができる。著者が学者で教員だからかなあ。
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