冒険歌手 の商品レビュー
こんな冒険、1億円貰ってもしたくない……。 一字一句の誇張無く、本書を読み終えたときの私の感想である。 筆者の峠恵子氏はシンガーソングライター。 ある日順風満帆な人生を振り返って「苦労を知らないのはマズイ」と危機感を覚えた彼女は、書店でたまたま日本ニューギニア探検隊の募集記事...
こんな冒険、1億円貰ってもしたくない……。 一字一句の誇張無く、本書を読み終えたときの私の感想である。 筆者の峠恵子氏はシンガーソングライター。 ある日順風満帆な人生を振り返って「苦労を知らないのはマズイ」と危機感を覚えた彼女は、書店でたまたま日本ニューギニア探検隊の募集記事を見つける。 「ヨットで太平洋を渡り、ニューギニア島を目指し、それからゴムボートでニューギニア島の大河・マンベラモを遡上、オセアニア最高峰カルステンツ・ピラミッド(現地名プンチャク・ジャヤ、4884m、以下カルステンツ)北壁の新ルートを世界で初めてロッククライミングで開拓する――」 筆者はそのときヨット経験も、ロッククライミング経験もゼロ。もちろん何か月もかかる旅などしたこともない。しかし、その記事を見つけた瞬間、「こんな苦労を味わったら、私の残りの人生は、今まで知らなかったような素晴らしい一面を見せてくれるに違いない!」と直感し、早速電話。気づいたら3人の仲間とともに船の上にいた。 まず、ニューギニア島に渡るまでのヨットの上で何度も試練が起こる。大しけにより、重度の船酔いと度重なる嘔吐に見舞われるのだ。何も喉に通らない一方で満足に睡眠が取れず、隊員たちはみるみるうちに衰弱していく。この拷問のような経験によって、自衛隊パラシュート部隊の元隊員である「コーちゃん」が早々に探検を諦めて帰国してしまう。 そして、嘔吐と同じくらいのウエイトで語られるのは、「おしっことうんち」のことである。航海中ずっと海が続き、目新しい出来事に遭遇しないからなのだろう、日記にはずっとおしっことうんちの大変さについて綴られ続けている。まるでヨット航海は下の処理との戦いだと言わんばかりに、延々とおしっこ、うんち、ゲロ、おしっこ、うんち、ゲロ……。筆者の峠氏は女性なのだが、太平洋横断にそんなデリケートな事情は関係ない。半ば吹っ切れるように延々と汚物の話が続く。ヨットでの航海ってそんなに夢の無いものなのか……、と何とも言えない気持ちになってしまった。 そんなこんなでニューギニアにたどり着く。本番はここからだ。 隊長が計画していたのは、マンベラモ川を遡上してジャングルの中を進み、カルステンツに下からアタックするというルート。ポーターと現地人の協力もありいったんは川を上るも、ここで緊急事態が発生。現地の独立運動組織「OPM」のゲリラ活動が頻繁に展開されており、筆者たち探検隊を誘拐しようとしている噂が立ったのだ。そのため、カルステンツを諦めざるをえなかった。その後グヌン・トリンガルという山にターゲットを変えるもこれも断念。トリコラ山に目標を変更し、見事北壁登攀に成功したのであった。 いや~、めでたしめでたし、となってもよいはずなのに、何と冒険はまだ終わらない。そのあと何故か「幻の犬」である「タスマニアン・タイガー」を探しはじめたのだ。 私は「いやいや、その胡散臭い存在はなに?」と思ってしまったのだが、予想どおりこの生き物は胡散臭かった。 多くの住民から目撃情報が寄せられるもほとんどが報酬目当てのデマ。ようやくたどり着いた有力な情報提供者に資材を盗まれるなど、空振りが続く。気づけば数回の密出入国違法行為、数十回の詐欺事件、人間不信、精神安定剤多量服用を抱え、およそ、5カ月もの日々と、そして実に200万円近くものお金を、タスマニアン・タイガー探しにつぎ込んでいたのだ。もはやトリコラ山登攀以上に金と労力を注ぎ込んでいる。このよくわからない生き物のために。 そして、このときの大失敗が引き金となり、隊員の仲に軋轢を生む。ユースケは一足先に離脱し帰国、筆者と隊長も船で帰国を決める。冒険の終了が訳のわからない犬のせいだとは、いったい何をやってるんだ、この人たちは。 何はともあれ五体満足で日本に帰ってくるのだが、なんとこれでもまだ話は終わらない。筆者自身の結婚話に突入する。もちろん(?)、おめでたい話なんかじゃない。出会って3時間で結婚を決めてロタ島に移住するも、夫の一族全員がグルになった結婚詐欺であり、思い出の品を全部ロタ島に置いて飛行機で逃亡するエピソードであった。 もうお腹いっぱいだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 本書は、辺境を旅するノンフィクション作家として有名な高野秀行氏に、「日本冒険界の奇書中の奇書」と言わしめた一冊だ。それは恐らく間違いではない。書いてあること、やっていることほとんどが有りえないし、想像もつかないし、意味不明だ。 この本を読み終わった人全員が口にするだろう。「こんな冒険、1億円貰ってもしたくない」と。
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曲がりなりにも自分もバックパッカーとして、未知の世界に憧れ、未知の出会いや景色に想いを馳せ、多くの国を旅し、多くのトラブルを経験したことがある。ただ、峠さんのこの冒険は到底レベルが違う。この覚悟、精神力、どこから来るのだろう。そして、やはり隊長やユースケさんの視点からもこの旅を見...
曲がりなりにも自分もバックパッカーとして、未知の世界に憧れ、未知の出会いや景色に想いを馳せ、多くの国を旅し、多くのトラブルを経験したことがある。ただ、峠さんのこの冒険は到底レベルが違う。この覚悟、精神力、どこから来るのだろう。そして、やはり隊長やユースケさんの視点からもこの旅を見てみたいと思った。(特に隊長がそのようなタイプではないことはよく分かった為、それは叶わないことは重々承知) 人に騙され、それに怒りをぶつけるのも大きなエネルギーを使う。途中、峠さんも、怒る気力を出なかったと語っているが、そんな中で怒鳴り続ける隊長。本当にぶっ飛んでいて、カリスマ性のある方なんだろうなと思う。峠さんも相当ぶっ飛んで入ると思うが。 また、自分も冒険してみたい、そんな気持ちを持たせてくれた一冊。
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ほぼノリと勢いで命がけの冒険に出てしまった峠さんの旅の記録。女性だからこそ気になったのだと思うのですが、虫とウンコに関する記述はやたら多くてリアルな一方、実際の登山や激流登りのくだりは実にアッサリ終わります笑。隊長と峠さんはとにかく冒険したい、何か新しいものを発見して帰りたいとい...
ほぼノリと勢いで命がけの冒険に出てしまった峠さんの旅の記録。女性だからこそ気になったのだと思うのですが、虫とウンコに関する記述はやたら多くてリアルな一方、実際の登山や激流登りのくだりは実にアッサリ終わります笑。隊長と峠さんはとにかく冒険したい、何か新しいものを発見して帰りたいという発想なので、途中グダグダになる部分も多く、目的意識や日程がキッチリしている登山家さんなどは耐えられない旅かもしれませんね。自分は絶対に同じ旅はしたくないですが、そのハチャメチャぶりはとても面白いですし、日記形式だからこそ、一緒に旅をしている気分になれます。個人的には峠さんのキャラクターは安倍昭恵さんに似ていると思います。直感でどんどん行動されていくような女性が書かれた本という前提で読まれると違和感がないのでは。
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あまりの無謀さに、呆れてしまった。 共感できることが何一つなく、ただ、ダメな男に引っかかるタイプって、こういう人かなぁと思った。
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高野秀行さんの解説、角幡さんも隊員の探検記ということで、期待して読んだ。とても面白い。ヨットの航海もすごいが登山もすごい。何をするにしても、苦難の連続。そしてたまに天国、その頃地獄。ニューギニアもすごいね。隊長もすごい。 日常からの逃避にはうってつけ。こういう本を読むと、また別...
高野秀行さんの解説、角幡さんも隊員の探検記ということで、期待して読んだ。とても面白い。ヨットの航海もすごいが登山もすごい。何をするにしても、苦難の連続。そしてたまに天国、その頃地獄。ニューギニアもすごいね。隊長もすごい。 日常からの逃避にはうってつけ。こういう本を読むと、また別の探検記を読みたくなる困った本。
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自分の気持ちに正直に決断をし、恐ろしいほど「生きる力」を持つ著者を、素直に羨ましいと感じる。 「苦労を知らなすぎる」という理由で、ニューギニア探検隊のメンバーとなった著者。ヨットで太平洋を渡り、ゴムボートでニューギニアの川を上り、4,000メートル超の山を最後はロッククライミン...
自分の気持ちに正直に決断をし、恐ろしいほど「生きる力」を持つ著者を、素直に羨ましいと感じる。 「苦労を知らなすぎる」という理由で、ニューギニア探検隊のメンバーとなった著者。ヨットで太平洋を渡り、ゴムボートでニューギニアの川を上り、4,000メートル超の山を最後はロッククライミングで登るという。結局、別の山に挑戦することになったが、それでも苦労は数知れず。 トラブルあり、出会いあり、裏切りあり、カネも絡む。いいことばかりではない、むしろ辛いことの方が多いように感じた。そして、当初の目的を果たせず、最後に挑戦していたテーマも達成できず、それでも人生を変える挑戦になったのだろう。これだけの経験、やろうと思ってもできるものではない。 冒険を日記形式で記している、2004年に発行された部分も、興味深い内容ばかりだが、今回の改訂で追加された対談と、冒険の後から現在に至る部分が、さらに面白い。 ニューギニアで途中リタイヤしたユースケは、あのノンフィクション作家だという。そして、隊長はニューギニアでネットカフェを営んでいる。
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志す。準備する。予定通りに行かず途方にくれる。乗り越える。帰還する。 リアルだからこそ冒険記は面白い。 それにしても作中のユースケが角幡唯介とは思わなかった。ビックリ。
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「苦労をしたかった」という理由で、アウトドアの経験なしで歌手をやってる女性がヨットとかロッククライミングとか大冒険、ぶっとびすぎ。 読み始めてすぐに「これ面白い」となり3日で読了。眠前に読んだらアドレナリン出まくって、読み終わっても眠れない。こんな読書体験は初めてかも。
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30歳ちょっとの女性歌手が、どういう訳か「日本からニューギニア島までヨットで行ってロッククライミングやら日本兵の遺骨探しやらの冒険をする」というとんでもない話。しかもその理由が「苦労を知らないから」となるともう言葉も出ません。。 冒険パートは2004年に小学館文庫から出た「ニュー...
30歳ちょっとの女性歌手が、どういう訳か「日本からニューギニア島までヨットで行ってロッククライミングやら日本兵の遺骨探しやらの冒険をする」というとんでもない話。しかもその理由が「苦労を知らないから」となるともう言葉も出ません。。 冒険パートは2004年に小学館文庫から出た「ニューギニア水平垂直航海記」の加筆修正版で、それに高野秀行さんの解説、角幡唯介さんとの対談、書き下ろしの後日談がセットになった豪華版です。読むならもちろんこちらがお薦め。 この本の出版元は山と渓谷社ですが、著者の峠さんがニューギニア探検隊に参加するキッカケとなった隊員募集広告は「山と渓谷」のもので、なんとも面白い気持ちになります。 上記の概要だけで、この本が面白くならない理由は無く、日記スタイルの軽い語り口で、写真やイラストを交えて読む冒険譚は入りすぎるくらい頭に入ってきて、だからこそ「どーしてそこまでやるかな!」という気持ちにもなります(笑 全編を通じて感じたのは、まっすぐさや素直さ、そして折れなさ。感嘆するしかないその根性。それゆえ、全編読みきった後の解説での高野さんのツッコミ?が笑えるのです。 対談と後日談でも、もうお腹いっぱい以上のネタの宝庫で、作家さんによってはそのネタだけで10冊くらい本書けるんじゃないかしらというくらい。 読者を惹きつけて共感させる文章を書きつつ、どこかぶっ飛んでいる。目を輝かせてとんでもない方向に進んでいく。だからこそ魅力的で、応援したくなるんでしょうね。良著。
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