あなたを選んでくれるもの の商品レビュー
小説じゃないのに小説のようにも思えるのはミランダ・ジュライの感覚が少し向こうのような気がするからかも。ワタシは小説が好きだ。でも、これは人を描いていたし、ミランダのものの見方はワタシの知っているひとにめちゃめちゃ似ていて彼女のことを凄く考えた。隔たりなく見れることってものを創るに...
小説じゃないのに小説のようにも思えるのはミランダ・ジュライの感覚が少し向こうのような気がするからかも。ワタシは小説が好きだ。でも、これは人を描いていたし、ミランダのものの見方はワタシの知っているひとにめちゃめちゃ似ていて彼女のことを凄く考えた。隔たりなく見れることってものを創るには必要なのかもしれないと心底思う。読んでいてぎゅっと苦しくなる人もいたけど、距離について考えた。
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「ペニーセイバー」を通じて出会った、「普段出会わない人たち」一人ひとりの物語は、フィクションよりもずっと強いもの。写真がそこに生きている人なんだというリアリティをさらに強めてくれていた。最後のジョーの話、混沌としていたミランダがだんだんと自分の気持ちを見つけていく様子に重ねあわせ...
「ペニーセイバー」を通じて出会った、「普段出会わない人たち」一人ひとりの物語は、フィクションよりもずっと強いもの。写真がそこに生きている人なんだというリアリティをさらに強めてくれていた。最後のジョーの話、混沌としていたミランダがだんだんと自分の気持ちを見つけていく様子に重ねあわせて、涙が止まらなかった。 インターネットにない世界が、世界から取り残されてしまっているかのような感覚をちょうど持っていたから、ミランダジュライが感じていたことや、行った行動に関しては自分の気持ちを代弁してくれているような気持ちになった。これは私にとってとても特別な本になるだろうな。
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インタビュー集兼映画製作ドキュメンタリー。 市井の人たちをすっと、すくい上げる作者の幅広さと勇気がすごい。 世界は物語に満ちていること、それが増幅していっていること、普段は自動的に取捨選択して生きていることをつきつけられる。
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毎週火曜日に郵便受けに届くフリーペーパー、「ペニーセイバー」の売りますコーナーに広告を出している人へのインタビューをまとめたドキュメンタリー。 ネット取引が中心な今、絶滅寸前の媒体の背後にいる人たちの暮らしに単純に興味がわきましたが、知りたくなかった悲しみも伴います。でも目が離せ...
毎週火曜日に郵便受けに届くフリーペーパー、「ペニーセイバー」の売りますコーナーに広告を出している人へのインタビューをまとめたドキュメンタリー。 ネット取引が中心な今、絶滅寸前の媒体の背後にいる人たちの暮らしに単純に興味がわきましたが、知りたくなかった悲しみも伴います。でも目が離せない複雑な気持ちになりました。映画もみてみたいです。
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現実で起こる奇跡的な出来事は、フィクションを軽く飛び越えて全く新しい感動をもたらしてくれます。そこにかけられるかどうか…そんな事をふと思いました。
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読み終わってからもういちど「The Future」観たくなった! はじめはキワモノな人を集めた話なのかな?と思って、でも人の暮らしの気配の濃厚さに押されつつ読んでいたけど、ラストのジョーとの出会いのあたりから一気に泣きそうになった。 ペニーセイバーに「これ売ります」の広告を出している彼らのほとんどはインターネットをしていない。検索では彼らと会うことはできない。自分で電話して赴かなければ知ることができないのだ。脚本が進まず煮詰まる著者が、彼らのことを取材することで、逆にさらに自分の書く話がつまらなくなっていく、偽物に感じてしまう、というのもわかる。生身の人間は濃すぎるのだ。 著者は結婚して数か月。35歳という出産までの肉体的なリミットが視界に入る年齢。これまでの時間とこれからの時間。ビオトープを作っている高校生の取材のあとに「40過ぎたら残りの人生は小銭だ。ほんとうにほしいものを手に入れるには足りない」と悲観したりしていたが最後にまるごと肯定されたように時間の経過を受け入れる様は胸がいっぱいになる思い。登場する人物がだれも感動的な人生を送っているわけではなく(訳あり人生だらけだけど)、ただ生きてるだけで、私たちをこんなにも心震わせる。 世界には無数の物語が同時進行で存在しているが、会える人は無限ではないこと。だから愛情を注ぐ相手を選び物語を作っていく。自分もそのひとかけらになっていること。 なんかよくわからなくなってしまったけど、胸がじーんとして、流れ続けるいくつもの時間とそれぞれの物語を想像してめまいがした。
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この本の中でインタビューされるのは失われつつある紙のメディアに広告を載せる、パソコンを持たない人々。スマートフォンに依存した生活を送る著者にとって、彼らの人生はリアルなものに映る。インターネットでみつけられない物語。現実に生きる人々が紡ぐ自分のフィクション。
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素晴らしかった。ミランダ・ジュライが同世代の女性という事もあり、彼女が感じてる事、自分の身に覚えのある事が多く。40になってしまったら残りの人生は小銭。もう何にもならないなんて焦ったりもがいたり。沢山の人に逢い続ける事で開く扉。感動的だった。
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とてもよかった。すごくおもしろかった。 これがノンフィクションっていうのがすごい。著者がインタビューしている人たちが現実にいる人たちで、それもたまたま無料冊子の「売ります」に広告を出している人たちで、でも、それぞれになにかドラマがあって、著者が会いにいったことでもなにかドラマが起...
とてもよかった。すごくおもしろかった。 これがノンフィクションっていうのがすごい。著者がインタビューしている人たちが現実にいる人たちで、それもたまたま無料冊子の「売ります」に広告を出している人たちで、でも、それぞれになにかドラマがあって、著者が会いにいったことでもなにかドラマが起きたり、そして著者自身にも変化が起きるっていうのが、すごい、と思った。別に、いわゆる「いい話」は感動的な話がきけたというわけでもないのに。 インタビュー中の、著者の正直な気持ちがわかるのもおもしろかった。なんでこんなことしてるんだろうとか、危なそうなところにきて不安だとか、あと、インタビュー後になぜか行ったみんなで泣きそうになるところとか、悲しくなるところとか。 著者のなかなか不安定そうな精神状態について読むのも、こう言ってはなんだけれども、正直なところ、興味深かった。全般的にネガティブ。結婚や、子どもをもつこと、仕事について不安がある。「時間」にとらわれている感じ。四十歳をすぎたらもう残りの時間は「小銭」のようなもので、まとまったものと交換できない、と思っているというのに、すごく共感した。そして、著者が人々にインタビューすることで、最後にはそういうことを自然とすべて受け入られたように見えて、それがよかった。そんなふうにいつか受け入れられたらいいな、と。 ミランダ・ジュライって、いかにも知的でおしゃれな人たちが推薦しているし、芸術家っぽそう、と思って、敬遠していたんだけど、読んでよかった。確かに、エキセントリックというか芸術家っぽいなーと思うところとか、表現でも素直にすんなりわからないようなところもあったけれども。「いちばんここに似合う人」もいまさらだけれど読もうと思った。
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ミランダ・ジュライを知らない人達、調べようともしない人達、生きていて交わらない人達。それは全くの他者。そんな他者を普段は考えもしないし遠ざけてもいるが、なぜか惹かれるのも事実。その理由を、いやらしい、と表現しているところ、うん、そうだよな、と自分自身思い当たった。ザ・フューチャー...
ミランダ・ジュライを知らない人達、調べようともしない人達、生きていて交わらない人達。それは全くの他者。そんな他者を普段は考えもしないし遠ざけてもいるが、なぜか惹かれるのも事実。その理由を、いやらしい、と表現しているところ、うん、そうだよな、と自分自身思い当たった。ザ・フューチャーのDVD、観なおさないといけないな。
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