非婚ですが、それが何か!? の商品レビュー
「ひとは愛からでなくても結婚し、 愛からでなくてもセックスし、妊娠し、 出産することができる。 習俗と規範の強制力がなくなれば、 そういう結婚と出産が減少し、 その結果子どもが減るだろう。 愛のない結婚に耐える男女が減少し、 愛のない両親のもとで育つ子どもが 少なくなれば、そのほ...
「ひとは愛からでなくても結婚し、 愛からでなくてもセックスし、妊娠し、 出産することができる。 習俗と規範の強制力がなくなれば、 そういう結婚と出産が減少し、 その結果子どもが減るだろう。 愛のない結婚に耐える男女が減少し、 愛のない両親のもとで育つ子どもが 少なくなれば、そのほうがましだ。 また結婚圧力のもとで非婚や子無しへの差別や、 セクシュアル・マイノリティへの抑圧が なくなれば、もっとよい。」(P5) さすが上野千鶴子、鋭い(細かいともいう) と思ったのはp45、情報化社会で若い子が 耳年増になって、結婚しなきゃと思いこんで いるという水無田の言葉に 「耳年増だとしたらいろいろ多様な情報が 入っていくはずなのに、いまのはなしだと むしろ、標準的な規格への同一化が進んで、 その規格からはずれるのを恐れているように しか聞こえませんが」 言葉の揚げ足というか、十代の女の子のような 確信犯的突っかかる発言。 平静を装い対応する水無田もすごい。 「何一つなしとげていないのに、 その気になれば自分にはできるんだという 幼児的な万能感」(上野 P49) 「家族にこれだけ負担を負わされていると、 家族が高リスクになるために、 保守的な家族規範をもっている人たちほど 家族を忌避する傾向がある」(上野 p689 「本当に保守的で、なおかつ家族の物語を 守ろうという人たちが、 家族を内側から滅ぼしていく」(水無田 P69) 「良妻賢母志向が強くて保守的な家族観をもっている 先進諸国ほど、少子化は進む」(水無田 P69) 見出しに目からウロコの名言が多い。 「高所得層の男にとって家族はリスク」 「全員結婚社会こそ異常な時代」 「日本の社会保障はシングルに対応していない」※ 「保守的な家族観をもっている先進国ほど 少子化は進む」※ 「会社というカップリングの『釣り堀』」 「男女の学歴格差は能力差ではなく、 親の投資の反映」 「子どもの成長に立ち会えない親たち」 「非婚、少子化で困るのは財界だけ」 「非婚ではなく、婚前離婚」※ 「男から降りれば楽になる」※ 「フェミニズムは不都合な真実を炙りだしてきた」 「日本は結婚と出産が分離していない社会」 「慣習で結婚し、慣習で産むのに任せていては、 慣習が社会構造に対して時代遅れになったとき、 対応できなくなってしまう」(P247 水) 「男性・女性といった性差より個性を重んじる 社会になる必要がある」(P249 水) 「個性や多様性を重視すべしとのかけ声は 大きいが、その実極めて均質性の高い 国民生活しか容認しない。恐るべき 想像力の貧困が、根幹に横たわっている」 (P253 水) 「すでに死んだ、あるいは死にかけている 規範に、次世代の子どもたちが 絡め取られていくのを見過ごすわけには いかない」(P254 水)
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みんなが結婚するのが当たり前なんて、明治時代以降のことらしい。 タイトルの「非婚」も、出版された 2015年はインパクトあったかもしれないけど、2023年の今では、そんな人もいるよねって感じがする。 それでも、夫婦別姓じゃないし、少子化対策も、まずは結婚しよう!って相変わら...
みんなが結婚するのが当たり前なんて、明治時代以降のことらしい。 タイトルの「非婚」も、出版された 2015年はインパクトあったかもしれないけど、2023年の今では、そんな人もいるよねって感じがする。 それでも、夫婦別姓じゃないし、少子化対策も、まずは結婚しよう!って相変わらずだし、書かれているように法律が追いついてくるには時間がかかりそう。 そんな中、上野先生の言葉が刺さった。 乳幼児期の子育て中に泣きついてくる教え子に 「あんた、いまここで夫とちゃんと向き合わなかったら、この先一生、関係をギブアップした男と過ごすんだよ。それでいいの?」 ほんと、よくなかった! でも 夫も残業ばっかりだし、ちゃんと働いてるのに何を言われてるのか、ちんぷんかんぷんだったんだろうな。 最近は男性の育休も出てきた。ゆっくりだけど変化してる。 娘の時代はどうなってるかな?
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上野千鶴子と水無田気流の対談。 お二人とも社会学者で非婚かと思いきや、水無田さんは結婚して子供もいる。 内容は概ねうなずけるし、学ぶことが多かった。 言葉が難しく、調べながら読んだ。 また本がたくさん紹介されており、これから読んでみようと思った。 社会学とはこの対談のように、社会...
上野千鶴子と水無田気流の対談。 お二人とも社会学者で非婚かと思いきや、水無田さんは結婚して子供もいる。 内容は概ねうなずけるし、学ぶことが多かった。 言葉が難しく、調べながら読んだ。 また本がたくさん紹介されており、これから読んでみようと思った。 社会学とはこの対談のように、社会で起きていること、過去に起きたことを、新聞記事や本、文化人や芸能人の発言、論争などから分析していく学問なのだろうと理解した。
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上野千鶴子先生による著書。未婚率が高まり、非婚時代に突入しているのに、古臭い日本の社会制度は未だに国民全員が結婚することを前提としたものばかりで、独身者や未婚者への配慮がない。上野千鶴子先生は難しいことを簡潔に気持ちよく説明してくれる。あっという間に読んでしまいました。
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非婚を勧めているのではなくて、非婚、少子化が進む状況の分析と原因について。 この流れを変えなくてはならないのか?それはなぜか?そのためには何ができるかを、最終的に論じるのだけど、非婚は全体の10%程度らしいので、それくらいほっておけ、という気がする。 賢い女子は一般職を選ぶ、とあ...
非婚を勧めているのではなくて、非婚、少子化が進む状況の分析と原因について。 この流れを変えなくてはならないのか?それはなぜか?そのためには何ができるかを、最終的に論じるのだけど、非婚は全体の10%程度らしいので、それくらいほっておけ、という気がする。 賢い女子は一般職を選ぶ、とあるところは、そうなんだろうなあと思わされる。
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上野千鶴子先生が相変わらず元気で、バシバシ切っておもしろかった。人は、損得勘定で動いていると言い切る。水無田気流先生はは中庸の人なので、上野千鶴子先生には太刀打ちできないだろうな。その2人が褒める酒井順子先生の切り口はやはり素晴らしいと私も思う。
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一生結婚するつもりはないと回答しているのが男10%女8%。そんなに騒ぐほどの数字なのか。まだまだ少ないような。内容的にはいつもの男批判で目新しい所はないのだが、水無田気流は結婚していて、子供もいるので、いろいろと批判はしているが説得力がなく、全体的に歯切れが悪く言い訳がましい。上...
一生結婚するつもりはないと回答しているのが男10%女8%。そんなに騒ぐほどの数字なのか。まだまだ少ないような。内容的にはいつもの男批判で目新しい所はないのだが、水無田気流は結婚していて、子供もいるので、いろいろと批判はしているが説得力がなく、全体的に歯切れが悪く言い訳がましい。上野千鶴子は上から目線で偉そうで、そういう水無田へのツッコミが激しく容赦がない。逆に水無田は上野を一生懸命ヨイショしている。こういう同業者で力関係がハッキリしている組合せは、対談としては失敗かな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
はじめに 第一章 非婚時代 非婚という烙印 結婚願望は低下していないが、婚姻率は下がっている 確信犯的シングルの増加 確信犯シングルの実態 結婚すると損をする 保守化、専業主婦志向が「嫁き遅れ」を増やしている 女性の積極的非婚は合理的選択 高所得層の男にとって家族はリスク 高度成長期が日本人の生活の大きな転換点 産業の工業化で婚姻率が上がった 全員結婚社会こそ異常な時代 一生結婚できないという女子大生の不安 女子の専業主婦願望が上がる理由 去勢されざる息子と娘たち 妻に対する選好条件が変わってきた 一般家庭にお手伝いさんがいた時代 保守的な結婚観が非婚化の原因? なぜ日本では同棲、事実婚が増えないのか? 60年代は32歳で「行き遅れ」 第二章 シングル社会と少子化を迎えて 日本の社会保障はシングルに対応していない 保守的な家族観をもっている先進国ほど少子化は進む シングルマザー・バッシング 保育所入所は恩恵か?権利か? 恋愛結婚の実態は同類婚 会社というカップリングの「釣り堀」 高度成長期の男の逆玉現象 日本の男は世界一孤独 配偶者選択の意思決定者が親から本人に変わった 団塊の世代は避妊が下手だった!? 子どもを排除したがる団塊の世代 3.11の主婦たちの悩み 40年間、世の中は変化していない 日本は女性差別社会ではなく、親の投資の反映 医師、弁護士の女性合格率が急伸した理由 結婚後、就労しない女医たち 賢い女子は総合職より一般職を選ぶ 能力の高い女子が日本の旧来の男社会の存続を支えている 育児の戦力にまったくならない夫たち 恨みをためながら会社ムラの男に奉仕する妻たち 父親に期待せず、祖母を当てにする育児 子どもが誕生しても暮らし方、働き方を変えない男たち 日本の低い離婚率は、夫婦関係の良好さを反映しているわけではない コミュニケーションをとれない夫婦を再生産していく日本の家庭 どこまでも鈍感な夫という生き物 子どもの成長に立ち会えない親たち 共同保育という試み 面倒な人間関係の忌避と冠婚葬祭の商品化 摂食障害、自傷行為は90年代から急増した? 第三章 非婚時代の家族の肖像・親子関係の真実 結婚させたかったら、兵糧攻めにせよ 非婚、少子化で困るのは財界だけ 「3年間抱っこし放題の育休」は、女性の社会復帰を拒む施策 10代の妊娠率と中絶率は高まっている 共同親権の問題点 子育てに対して社会が全体として対価を支払う国 変化のない、変化できない日本という国 男らしさ、女らしさの再生産はなぜ起きる? 社畜と家畜の結婚生活 地域コミュニティに積極的にコミットするのはなぜ? 第四章 オス負け犬と女子文化の燗熟 非婚ではなく、婚前離婚 専業主婦という上流階級 マーケットの成熟が「女子文化」を成長させた オス負け犬という悲惨な存在 アニメやアイドルに入れ込むから非婚になるという言説 物語消費はいつの時代もあった オス負け犬の強大な「負け感」 男の病は、モテればすべて解決!? 男の場合、カネと権力があれば女はついてくる 男たちは、モテない言い訳ができなくなった 男から降りれば楽になる フェミニズムは不都合な真実を炙りだしてきた 第五章 非婚時代のセクシュアリティ 男にとって便利な女の出現 資力は愛人を持つ必要条件ではなくなった 日本の女の大半は、ヘテロセクシュアルですらない? デートマニュアル『ホットドッグ・プレス』 セクマイに読まれる『おひとりさま』 オックスフォード英語辞典に「HIKIKOMORI」 ソーシャル・キャピタルのある子とない子 離婚の損得鑑定 男の「甘えの構造」とは? 90年代の男たちがハマった癒し系アイドル ロールモデルでなくなった父親 第六章 非婚時代をどう生きるか 日本は結婚と出産が分離していない社会 なぜ人は子どもがほしいと思うのか? 結婚が減り出産が減るのは当然の帰結 産まないエゴイズムは、産むエゴイズムに負ける 欲望を主体的に持つなという公図 未だ言語化されていない日本の母ー息子問題 母と息子の気味の悪い倒錯 親から分離できない子どもたち 非婚も結婚も出産も自由に選べる社会に向けて おわりに
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「男なんて所詮女のことなんて分かってないのよ~」とかなり辛辣なトーク集。 日本社会が躍起になって出生率を上げようとしている。「歴史的な視点からすると、出生率が高いこと自体が特殊である」、「欧米では婚外出産を社会的に承認し出生率を上げるも、日本では伝統的な家族制度を奨励し婚外出産を...
「男なんて所詮女のことなんて分かってないのよ~」とかなり辛辣なトーク集。 日本社会が躍起になって出生率を上げようとしている。「歴史的な視点からすると、出生率が高いこと自体が特殊である」、「欧米では婚外出産を社会的に承認し出生率を上げるも、日本では伝統的な家族制度を奨励し婚外出産を異端とされる」等の視点が面白い。 100年後そして1000年後、人類はどんな婚姻や出産形態、そして男と女の関係を選択するのか? 今あるや家族の形態は決して普遍的なものではなく、社会の変化とともに変化する。少なくとも、女性が生きやすい社会とあってほしい。
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大貫妙子の「おとこもつらいけどおんなもつらいのよ」というラーメンの歌が頭の中で鳴る。女性の心理コストを、男の心理コストをどうやって下げるのか。家族に相互扶助義務を負わせるのはおそらく家族になることのハードルをあげるだけ、というのは実感としてとてもよくわかる。で、どうすると楽になれ...
大貫妙子の「おとこもつらいけどおんなもつらいのよ」というラーメンの歌が頭の中で鳴る。女性の心理コストを、男の心理コストをどうやって下げるのか。家族に相互扶助義務を負わせるのはおそらく家族になることのハードルをあげるだけ、というのは実感としてとてもよくわかる。で、どうすると楽になれるのかは、私にはあまり見えないのだけれど。
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