カワサキ・キッド の商品レビュー
素直な文章で綴られ又東さんの少年時代のモノクロフォトも掲載されていて読みやすいエッセイに仕上がっています。 川崎での少年時代、ジャニー喜多川さんとの運命的な出会い、初めて語るおいたち、ジャニーズでの生活、芸能界での出会いや別れ等々、どの章も興味深く、時に東さんの真っすぐな文章...
素直な文章で綴られ又東さんの少年時代のモノクロフォトも掲載されていて読みやすいエッセイに仕上がっています。 川崎での少年時代、ジャニー喜多川さんとの運命的な出会い、初めて語るおいたち、ジャニーズでの生活、芸能界での出会いや別れ等々、どの章も興味深く、時に東さんの真っすぐな文章に感動したり感心したりしつつ読み進めました。 想像していた通りのきちんとされた方と言う印象でしたが、その陰にはおいたちから始まる人知れずの苦労や挫折があったのだと知りました。 これからの更なる活躍を応援したくなる様な1冊です。
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ジャニーズのアイドルグループの先駆けの一つ、少年隊の東山紀之=ヒガシのエッセイ本だ。 実は、彼は川崎出身だ。内容の主立ったところは、もちろん、アイドルとしての芸能界の経験などの話なのだが、冒頭あたりや端々に「The カワサキ」という場面が登場したりする。ことに川崎市の中でも、幸・川崎区は工場地帯と繁華街で、桜本のあたりはコリアンタウンだったり、大気汚染公害も激しかった地区だ。本の中には、具体的な記述は少ないが、それでも粉塵で手が汚れる、妹がぜん息で、というような場面が出てくる。川崎で生きてきた以上、そこは避けて通れない。 『カワサキ・キッド』という本は、もちろん、アイドルの半生記的なエッセイ本だ。だが、同じ川崎に生まれ育った私にとっては、あちこちに共通の記憶があり、他の誰に理解できなくても、同郷の者同士だけが持つ「わかる〜」的な思いを何度も抱かせる本だ。 いつも思う。 川崎は、横浜とは違う(当たり前だけど)。近年、いくつか川崎で若い世代を巻き込んだ事件が発生したりしたが、その特徴は、かなり「川崎」ならではの状況と実像を反映していたように思われる。 また、少し前から、川崎の若者たちからラップが生まれ出したと聞いた時、川崎なら、そういうこともあるだろう、と思った。川崎に住む者たちの中に、どこか、東京にも横浜にも背を向けて、工場地帯に向かう巨大なトラックの列を眺めながら、楽器も持たずに身体だけでリズムを刻むことが習い性になっている自分がいるのだろう。肺の奥に潜む闇と粉塵が、喉を通して駆け上ってくるのだ。 ヒガシは俳優でもあるがアイドルで(もう現役ではない気もするけど(^^;)、歌って、踊って、司会もする、芸能人・タレントだ。テレビでキラキラと輝く。 でも、その肺の奥に、やはり灰色の空と工場の煙突を抱え続けている。それが、川崎生まれ・川崎育ちの「カワサキ・キッド」の性なのだな、と思った。
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ヒガシのトップに君臨するための努力と意識の高さが垣間見えた。 ヘイトスピーチ対策法に罰則規定がないことから、いくつかの自治体が上乗せ条例を出し始めたという新聞記事から、以前、床屋で読んだ週刊誌のヒガシのコラムを思い出し、本になっていることを知った。そのような上乗せ条例を出している...
ヒガシのトップに君臨するための努力と意識の高さが垣間見えた。 ヘイトスピーチ対策法に罰則規定がないことから、いくつかの自治体が上乗せ条例を出し始めたという新聞記事から、以前、床屋で読んだ週刊誌のヒガシのコラムを思い出し、本になっていることを知った。そのような上乗せ条例を出している自治体のひとつがヒガシの住んでいたカワサキであり、ヒガシが差別を受けていた外国籍の方からいつも助けられていたことが描かれている。
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東山さんのこれまでの人生。 自分に何かを残してくれた、教えてくれた出来事を明るい文体で描いている。 読むほどに、つい大好きなグループに当てはめて考えたり、ジャニーズ事務所の昔の姿を知ることが出来たのは楽しかった。 特別だと語る後輩「TOKIO」とのエピソードも面白い。 三人という...
東山さんのこれまでの人生。 自分に何かを残してくれた、教えてくれた出来事を明るい文体で描いている。 読むほどに、つい大好きなグループに当てはめて考えたり、ジャニーズ事務所の昔の姿を知ることが出来たのは楽しかった。 特別だと語る後輩「TOKIO」とのエピソードも面白い。 三人というグループで、植草さんが緩衝材としての役目を果たしていると読んで、つい最近あるトーク番組で見た少年隊のエピソードを思い出した。 芸能界が厳しい世界だということは何となくわかる。 その中で、ずっとアイドル事務所に所属しながら活躍を続けてきた東山さん。 結婚前に書かれたエッセイなので、当然「結婚したら」という仮定で書かれていることもある。 何よりも面白かったのは、芸能界やジャニーズ事務所内で生きていく中で学んだ多くのことが書かれていたこと。 いままさに活躍しているジャニーズ事務所所属のアイドルたちにも共通する、たくさんの心構えやプロ意識がわかりやすく理解でした。 常に先を見据え、努力を怠らず慢心せずに前に進む。 言うのは簡単だけれど、実践するのはかなり難しいはずだ。 ストイックという言葉はきっと東山さんのような人のためにあるのだろう。 努力は人を裏切らない。 そう信じたくなるエッセイだった。
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彼には上品なイメージを持っていたので、生い立ちに驚いた。 俳優やスポーツ選手との意外な交友関係を伺い知ることができた。 山岡久乃さんの厳しい演技指導がすごいと思った。確かに焼きそばパンを食べている姿は、ちょっと…。 こういう風に自分に厳しい人の話を読むと、もっと頑張らないといけないって思う。 東山さんだって、先人の姿から学んでいるのだから、私も違う形でもこの本を読んで学ぶことはあるはず。
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東山紀之『カワサキ・キッド』(朝日文庫)読了。 今の大学生には役者としてのヒガシしか馴染みがないのでしょうかね。 それにしても、運命的出会いがあるということを実感する。まさに偶然がもたらしたシンデレラ・ボーイ。生活の貧しさは、昭和のあの当時はいわば当たり前だった(今は別の意味で貧...
東山紀之『カワサキ・キッド』(朝日文庫)読了。 今の大学生には役者としてのヒガシしか馴染みがないのでしょうかね。 それにしても、運命的出会いがあるということを実感する。まさに偶然がもたらしたシンデレラ・ボーイ。生活の貧しさは、昭和のあの当時はいわば当たり前だった(今は別の意味で貧しい)。だから働いて生きていく方法としてジャニーズに入るのは必然だった。 覚えている方は少ないだろうが、1986年の紅白歌合戦。白組司会は加山雄三。 白組トップバッターの少年隊の曲紹介で、思わず出た言葉、「少年隊で仮面ライダー!」 これにはテレビの前で驚いたが、少年隊の面々もかなり驚いたらしい。このあたりの出来事と感想を素直に書き綴っているのが面白い。 これまでいわゆる芸能人が書いた自伝はあまり読んでいない。「ゴーストライターが書いている」というウワサがあったから。矢沢永吉『成り上がり』、山口百恵『蒼い時』ぐらい。 しかし、たとえゴーストライターが書いているとウワサされても、文章それ自体よりも内容が面白ければ、それもまた良しかなと思う。知らない世界を知ることができるのだから。 とはいえ、自分の論文を誰かに書いてもらおうなんて、これっぽっちも思ってませんけど。(笑)
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少年隊の東山さんの自伝。 以前から本書の存在は知っていたのですが、読むには至りませんでしたが、ある日書店の店頭で目についたので、これもめぐり合わせと思いまして読んで見ることにしました。 こちら側から見ると華やかな芸能人の皆さんですが、その中にはいわゆるスターの立場までたどり着くま...
少年隊の東山さんの自伝。 以前から本書の存在は知っていたのですが、読むには至りませんでしたが、ある日書店の店頭で目についたので、これもめぐり合わせと思いまして読んで見ることにしました。 こちら側から見ると華やかな芸能人の皆さんですが、その中にはいわゆるスターの立場までたどり着くまでに過酷な経験をされている(前座時代とか以前の幼少期を含めて)方も多いようで、著者がまさにそのケース。 以前から、著者はどこか華やかさとは対照的な陰のある一面を持ち合わせているように感じていましたが、本書を読むことでその理由が分かったような気がいたします。 今年の一冊目にふさわしい、インパクトある一冊でした。 付箋は13枚付きました。
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少年隊東山紀之の作られ方。40歳を超え、自身で半生を語るエッセイ。2009年から1年半続いた週刊朝日の連載を2010年に文庫化。今回、あとがきに「5年後に思う」を加えて再リリースされた。結婚し、父になったヒガシの思いが加筆されている。 祖父がロシア人、幼き時に両親離婚、川崎市のコ...
少年隊東山紀之の作られ方。40歳を超え、自身で半生を語るエッセイ。2009年から1年半続いた週刊朝日の連載を2010年に文庫化。今回、あとがきに「5年後に思う」を加えて再リリースされた。結婚し、父になったヒガシの思いが加筆されている。 祖父がロシア人、幼き時に両親離婚、川崎市のコリアンタウンで育った極貧の少年時代…ジャニーさんとの運命の出会いから、芸能界の大御所とのエピなど、かなり面白く読める。これまでヒガシにはクール、無表情、完璧主義、ナルシストのイメージがあったが、不器用、アガリ症の一面も描かれ、親しみも湧く。私が好きだったカッちゃんこと、植草克秀の性格は、まさに見たままだったこともうれしくなる。 ただし、半生を振り返るだけじゃない。全編を通し、伝わってくるのは差別ない世の中への願い、反ヘイトの精神。ルーツを、あの時代の猥雑な川崎に生まれ育ったことを明かしたヒガシの、弱者に対する温かい視線、力強いメッセージが印象的だ。
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麻木久仁子さんの書評(HONZ 2015.8.24) http://honz.jp/articles/-/41737
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