黄昏のまぼろし 華族探偵と書生助手 の商品レビュー
治安維持法下の京都で、左右どちらの思想にも与することなく、それでいて人の選ぶ過酷な道を時に尊重し、無用なものとして時代を駆け抜けていく姿に圧倒される。昭和初期の背景についてもっと知りたいと思わせてくれた作品シリーズの第1巻。
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京都の富裕な実業家の下、高校に通いながら書生として働く庄野は、ある日容姿端麗だが横柄な伯爵家子息で作家の小須賀を紹介され!?
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一癖も二癖もある探偵に振り回される助手役。 ひとつの些細な謎が大きなひとつの大きな謎につながっています。それは「家庭」という枠組みで… すべての真相が明らかになったあとはなんともいえない感情に陥ります。 でも、あの人の行動はすべて独りよがりに感じた。 相手のことを考えている...
一癖も二癖もある探偵に振り回される助手役。 ひとつの些細な謎が大きなひとつの大きな謎につながっています。それは「家庭」という枠組みで… すべての真相が明らかになったあとはなんともいえない感情に陥ります。 でも、あの人の行動はすべて独りよがりに感じた。 相手のことを考えているようで相手の気持を考えていない。それ故に苦しんだ人たちがいて、 それがゆえの結末だった、という感じです。
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ミステリーもの、探偵もの、愛憎もの。 どの言葉も当てはまるようで当てはまらない、ライトノベルに括るには勿体無い内容だった。 始めは、マイペースなお坊っちゃまに振り回される学生とのコンビ…なんて軽く見ていたけど(笑)、何処か『朱雀十五シリーズ』を彷彿とさせる感覚を味わった感じ。 ...
ミステリーもの、探偵もの、愛憎もの。 どの言葉も当てはまるようで当てはまらない、ライトノベルに括るには勿体無い内容だった。 始めは、マイペースなお坊っちゃまに振り回される学生とのコンビ…なんて軽く見ていたけど(笑)、何処か『朱雀十五シリーズ』を彷彿とさせる感覚を味わった感じ。 舞台が京都であるが故、会話に京言葉を使っている為、馴染みのない自分にとっては些か読みづらさはあった。 勿論、全くの別物ではあるが、眉目秀麗で時にあっけらかんとしているかと思えば、ひと度事件が起これば重要キーワードを繋ぎ合わせて解決。 最終的な着地点はやはり探偵ものになるのか。 次回作も決定しているし、来月が楽しみである。
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表紙絵に惹かれてつい手に取ったけど思いがけず良かったです。昭和初期の京都での、貧乏三高生・隼人と華族で毒舌作家の小須賀の探偵物。あとがきを読みますと、これがデビュー作とか。キャラ立ちも良いし、これから暗い時代に入ろうとする昭和初期&京都という舞台設定の雰囲気といい、デビュー作とし...
表紙絵に惹かれてつい手に取ったけど思いがけず良かったです。昭和初期の京都での、貧乏三高生・隼人と華族で毒舌作家の小須賀の探偵物。あとがきを読みますと、これがデビュー作とか。キャラ立ちも良いし、これから暗い時代に入ろうとする昭和初期&京都という舞台設定の雰囲気といい、デビュー作として申し分ないかと思います。次作は10月発売らしいので今から楽しみです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「事件の謎が鮮やかに解かれた後、このピュアな探偵と助手はあなたの心にずっと留まるだろう」という有栖川有栖先生の帯の通り。 当初はささやかだったのに読み進むにつれ深まる、「子爵家の使用人の失踪」という謎。 その謎の調査に全身全霊を注ぎこむ、「直情径行型」「熱中気質」の書生である「僕」に引きずられてぐいぐい読み進めるうちに、私たち読み手も彼と一緒に一喜一憂し、そして一緒に辿り着いた調査の終焉に途方に暮れる―― 混迷し、破綻したこの事態を収束に導いてくれるのはただ一人。伯爵令息であり作家である、「探偵」(という看板は上げていないけれど)のみ。 そして、「探偵」は語られない人の心を鮮やかに読み解く。結末まではわからないものの、関係者が覚悟を決めて、明日にむけて確かな一歩を踏み出すために…… ピュアな助手に探偵、ピュアな謎と物語。堪能しました。 作中語られる「人の心中について」「世の中の在り方について」等の謎の周辺も、昭和初期という時代設定にぴたりとはまっている。それでいて京都が舞台なせいか、王朝文学から流れ込む香気もあり、ミステリ好きの歴史好きにはたまらない。 10月には続編が出るとのことで、続きを首を長くして待機。「先生は身の回りのお世話をする人を雇う方が」と連呼しては玉砕している庄野君。続編はもしや彼こそが…?!
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