ニライカナイ ウロボロスの宝玉 の商品レビュー

八神静竜(著者)

2016/11/20

ニライカナイは　沖縄の理想郷と言われる。
ニライカナイから　魂が来て、死んだらニライカナイにもどると言われている。
御嶽（うたき）、そして　ユタ。沖縄の精神的伝統を背景にする。
小さな島　神居島が舞台となる。
大きな台風に、死神がやってくると予言する　ユタである美佐世。
その夫　泰造は　アイヌの出身だった。美佐世と泰造には　ナミとナギの二人の娘がいた。
島の住民に、島を去るように勧告する美佐世。
巨大台風と死神に立ち向かう美佐世。見守る泰造。
島を立去る比嘉に　ナミとナギを託すが、ナミは海に投げ出される。
そして、25年後。
神居島に　リゾートが建設されるということで　角田建設から派遣される3人のスタッフ。
それに加わる　沖縄のスタッフ3名。
リゾート建設によって、自然が破壊されることを危惧する住民たち。
リゾート建設の計画は　遅々として進まないが、実は　狙いはもっと違うところにあった。
霊的なスポットが　広がっていく。琵琶湖そして比叡山。
石狩川　神居古潭。アイヌの神が住むところとされている。
沖縄の海の思想とアイヌの森の思想がかさなっていく。
ナミとナギは　双龍であり、ナミは　水龍、ナギは　火龍。
角田建設の沖縄スタッフが　意味もなく殺人をする。
目的は　秘宝　宝玉をとることであるが、
そのことで　ナギは火龍となって、沖縄スタッフを焼き尽くす。
ナギは、人を憎むようになり、力を貯えていく。
一方のナミは　女優になっていてが、海での撮影で　自分の生い立ちにからんでいく。
ナミは　神居古潭で　自分の能力にめざめ　水龍となって　ナミをしずめようとする。
アイヌの神居古潭では　結界をつくり、ナミを守る。
魔人ニチェカムイが　ナギのこころの中にしのびより、宝玉をとろうとする。
神居島の海の底にある鍾乳洞に　宝玉は　ある。
ナギは　人間の所業に怒りをむけ、自然破壊をなげく。
魔人ニチェカムイが　あまり能力なく　簡単にやっつけられてしまうのが、残念。
それにしても、伝承神話を　自然破壊と結びつけて　構成する力は　すばらしい。