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言葉と爆弾 の商品レビュー

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2021/08/08

訳者解説より。重たいけど、知らなくてはならないテーマだと思う。 「『イスラム原理主義』という言葉を日々のニュースで見聞きするようになって久しいが、多くの日本人にとって、これはいまだ感覚的に捉えきれていない言葉ではないか。2015年の1月には、中東でISISの人質となったふたりの...

訳者解説より。重たいけど、知らなくてはならないテーマだと思う。 「『イスラム原理主義』という言葉を日々のニュースで見聞きするようになって久しいが、多くの日本人にとって、これはいまだ感覚的に捉えきれていない言葉ではないか。2015年の1月には、中東でISISの人質となったふたりの日本人が殺害され、降らすでも諷刺新聞を発行する『シャリ―・エブド』社が銃を所持した二人組に襲撃され12名が命を落とした。いずれもイスラム原理主義者の犯行とされるが、日本人の殺害に関与したと思われる『聖戦士・ジョン』の通り名で呼ばれる人物も、『シャルリ・エブド』社を襲ったクワシ兄弟も、ヨーロッパで育ったにも関わらずイスラム原理主義に傾倒したと言われている。新聞やテレビでは、移民の子供として直面させられた差別が原因で、欧米への敵意を燃やし、過激な武装集団やテロリズムに加担するに至ったのではないか、といった推測が語られている。彼らが差別に憤って行動するところまでは分かる。しかし、なぜそこで過激な進行に身を捧げなければならないのか。価値観の異なる他者への寛容さ、表現の自由といった、現代の民主主義社会を構成する根本理念―それは彼らのような少数者の権利を守る思想でもありえたはずだーを蹂躙することさえも辞さず、正義の名のもとに冷酷な殺戮に手を染め、憎悪の連鎖へと世界を巻きこむのか。しかも、彼らを知る人びとからは、あの礼儀正しい穏やかな青年がなぜ、といった声も聞かれるのだ。…  本書『言葉と爆弾』は、60年代から70年代のイギリスを席捲したポップカルチャーを愛して止まない著者が、パキスタン系というみずからのアイディンティティとの葛藤のなかで、現代社会における宗教と民族の問題に関してひっぴつしたエッセイと小説を収めている。」

Posted byブクログ