ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース の商品レビュー
最近、見つけた柴田氏叢書シリーズは、特筆ものの味わい・・未知なる香りに少しく触れられる特権の想い。 既読作品有るとはいえ、昔読んだものという事にもなり 再読の機会も得られて満足至極。 今回手に取ったこれ、先日読んだ柴田氏の「アメリカン・マスター・ピース 古典篇」のお友達的一冊。...
最近、見つけた柴田氏叢書シリーズは、特筆ものの味わい・・未知なる香りに少しく触れられる特権の想い。 既読作品有るとはいえ、昔読んだものという事にもなり 再読の機会も得られて満足至極。 今回手に取ったこれ、先日読んだ柴田氏の「アメリカン・マスター・ピース 古典篇」のお友達的一冊。 米文学と英(含むアイリッシュ)を左右に置いて同異を味わえる至福。 掲載された作家群は当代よりすぐりのメンバー: J・スイフト M・シェリー チャールズ・ディケンズ WW・ジェイコブズ オスカー・ワイルド ウォルター・デ・ラ・メア ジョゼフ・コンラッド サキ J・ジョイス J・オーウェル ディラン・トマス メンバーの豪華さにわぉ・・で「敢えて」誰の作か分からないように順にトントン読んで行った。 結論でいえば: 面白かったのはディケンズ「信号手」 圧倒される情景描写の緊迫感 文章、言葉による場面描写が読み手に瞬時に伝わってくる。 ヴィクトリア朝時の作家らしく何かと「威厳」が頭に浮かぶ彼だが、短編のこれはずばり、怪奇性が前面に打ち出されている。崖の上と下、信号手と語り手との無駄のない会話、役割認識・・簡潔にして明とはこうだな・・と。 次はメアリー・シェリー「死すべき不死の書」 フランケンシュタインの生みの親としての知識しかなかった彼女、実はとてつもない先駆者~SF小説、怪奇モノ・ウーマンリブ この作品の一回読んだだけでは? 試読すると人間の生き死に、自己存在感、そしてそれをちょっぴり科学的感覚で作品に取り入れている。 言いたくないが、日本の作品では20世紀初めですら「非科学的ホラー」としていたずらに恐怖をあおる化け物作品に綴っていた中身 ちなみにシェリーは専制君主的無能の父親に絶望を感じたものの、姉、弟妹の生活を支えることに身を捧げつつも、人は「他者に頼ることなく、独立の精神を持つこと」の重大性を説いた・・この時代に!! そして女性が妥当な教育を受け、男性と同等な立場で労働する社会を理想とし、男女同権、機会均等、教育を通じての女性の位置向上を、更には女性なる存在を「その価値の賞賛と道徳的責任主体の確立」として主張した。 余りに早すぎる、無謀ともいえる腫脹に映る・・ 他上げるには紙数が増すばかりなので一読を進めるのみ。 しかし、翻訳という「ある意味の文学」の位置の高さも再確認。 ただでさえ、難解なイングランド英語・・ぴたりと日本語表現を当てはめる「選択感覚」に改めて脱帽
Posted by
『アメリカン・マスターピース古典篇』と比べて明らかに暗い。 ただその暗さはつまらなさとはまったく別。 一つ目のスウィフトからダークさ全開。 『しあわせの王子』が唯一の光みたいな感じ。 でもどれも印象深い。
Posted by
いつも新作ばかりを読んでいるけど、文学のルーツは過去から綿々と受け継がれているもの。その本質は勿論、文学の世界に限らず、ありとあらゆる分野に及ぶ。だから、ふとした時に過去の名作に触れることは、古いだけではない新しきものを感じ求めることに受け継がれていく。 ディケンズ、ワイルド、コ...
いつも新作ばかりを読んでいるけど、文学のルーツは過去から綿々と受け継がれているもの。その本質は勿論、文学の世界に限らず、ありとあらゆる分野に及ぶ。だから、ふとした時に過去の名作に触れることは、古いだけではない新しきものを感じ求めることに受け継がれていく。 ディケンズ、ワイルド、コンラッド、サキにオーウェル、ジョイス…この時代に比べ、今の時代、知りたい情報を安価かつ膨大に集めやすくなった。にもかかわらず、人々の不安や恐れは減るどころか、世界の裏側の出来事に瞬時に心痛める事もある。安心な世の中などこの世にはない。でも、不安は確かに存在するのである。
Posted by
『アメリカンマスターピース』とは、やはり随分と趣が違う。怪奇小説のようなものも多く、またインドを中心とする植民地との関係も出てくる。 『猿の手』。私はつい日本的に幽霊が静かに微笑みすらたたえて現れるイメージを想定してしまったので、ラストの切迫感が理解できなかったのだが、ここでは...
『アメリカンマスターピース』とは、やはり随分と趣が違う。怪奇小説のようなものも多く、またインドを中心とする植民地との関係も出てくる。 『猿の手』。私はつい日本的に幽霊が静かに微笑みすらたたえて現れるイメージを想定してしまったので、ラストの切迫感が理解できなかったのだが、ここではゾンビを想像すべきところなのであろう。 『信号手』は、立体的な空間構成が素晴らしい。上下左右だけでなく、奥が、空間に穴を開けている。 『象を撃つ』も、帝国主義の手先たる警察官のダメ男ぶりがおもしろい。群衆の期待が行動を決めてしまう。「圧制者となるとき、彼が破壊するのは彼自身の自由なのだ」とは、白人に限らないことだろう。
Posted by
柴田元幸編訳「ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース」http://www.switch-store.net/SHOP/BO0067.html … 読んだ。子どもの頃に読んだ類の物語のアンソロジー(幸せな王子、猿の手とか)中には、お!と思うものもあったけど、基本かなり古い。...
柴田元幸編訳「ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース」http://www.switch-store.net/SHOP/BO0067.html … 読んだ。子どもの頃に読んだ類の物語のアンソロジー(幸せな王子、猿の手とか)中には、お!と思うものもあったけど、基本かなり古い。小説にも古いという感覚があるのが不思議(つづく 構成か設定かテーマか判らないけど明らかに、これがいま出版されても売れないし将来的に古典として残らないだろうと思うほど。小説も進化してきているのだと実感できた(ことだけが)収穫。コンラッドを初めて読んだ。クリスマスの話がほのぼのと幸福でよかった。でも猫に雪玉をぶつけちゃダメ(おわり
Posted by
柴田さんの翻訳ものは好きです。 「猿の手」などは、いろいろな方が訳していると思うけど、読むたびに怖い! こういうう短編集は、どう訳すかもあるけれど、どの作品を載せるかというセンスのほうが気を引きますね。 柴田さんらしい短編集ですよね。
Posted by
- 1