保育園義務教育化 の商品レビュー
冒頭の下記の文章に、小学生と幼児を育てながらフルタイムで働いている私の心は鷲掴みにされた。 「日本には今、二つの大きな社会問題がある。少子化と労働力不足だ。 そんな時代に子供を産んで(少子化解消の貢献)、なおかつ働きたいと思ってくれる(労働力不足に貢献)お母さんは、本来なら国か...
冒頭の下記の文章に、小学生と幼児を育てながらフルタイムで働いている私の心は鷲掴みにされた。 「日本には今、二つの大きな社会問題がある。少子化と労働力不足だ。 そんな時代に子供を産んで(少子化解消の貢献)、なおかつ働きたいと思ってくれる(労働力不足に貢献)お母さんは、本来なら国から表彰してもいいくらいの存在だ。」 この他にも頷きすぎて首がもげそうになるようなことがたくさん書いてあった。 この本が出たのが2015年。9年経っても子供と働く母親をめぐる環境は大きく前進したとは言い辛い。 既婚者も独身者も老若男女とも、これからの日本のために読んで欲しい本。 そして少し苦手と思っていた古市さんが好きになった(笑)
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『保育園義務教育化』 著者 古市憲寿 小学館 2015年 義務という言葉にはどうしても負のイメージがつく。義務でやらされているとなれば尚更だ。しかし、義務という言葉が人を救うこともあるかもしれない。そう言ったら、驚くだろうか。このほんの著者は大胆にも、保育園(この本では乳幼児を...
『保育園義務教育化』 著者 古市憲寿 小学館 2015年 義務という言葉にはどうしても負のイメージがつく。義務でやらされているとなれば尚更だ。しかし、義務という言葉が人を救うこともあるかもしれない。そう言ったら、驚くだろうか。このほんの著者は大胆にも、保育園(この本では乳幼児を預かる機関を代表して保育園と言っているので、実質幼稚園などもここに含まれる)を義務教育化したらどうだろうと提言している。そのほうが、日本の未来は明るくなりますよと。はて?どういうことだろうか?これには著者自身の大きな3つの狙いが隠されている 1つ目は母親の負担を減らすことができる点 著者は主に「保育園義務教育化」という名において0歳から小学校に入るまでの保育園・幼稚園を無償化しようと提案している。ここで、誰にも明らかなのは、母親の負担が大幅に軽減されることだろう。もちろん、預ける期間はその人の任意で決めてもいいとしている。そうすることで、お母さん方も自分の時間を持つことができるし、困った時に頼るべき母親のコミュニティに属することができる。 2つ目は小さい頃からも教育により、将来的に大きな価値を創出できるという点。 これは、いわゆる最近話題の非認知能力を高める上で、小さい頃からの教育が望ましいと言われていることがアメリカで1960年代に行われた「ペリー幼稚園プログラム」と言われるもので明らかになっている。これは簡単にいうと、貧しい地区に生まれた子をランダムに選び、質の高い就学前教育を施し、比較対象としてそれをしなかったこどもとを約40年にわたって追跡調査したという実験だ。ここで明らかになったのは、ペリー幼稚園に入った子供は通わなかった子どもに比べて、高校卒業率も高く、持ち家率も高く、所得も高く、逮捕率も低かったそうだ。 このような実験により、就学前教育が重要であるという定説ができていったとされている。 3つ目は新たな雇用が生まれるという点である。これは、母親の負担が減ると少し関連があるが、子供を預けることにより、余裕ができた母親が働き先を見つけて、働くことにより、日本の労働人口が増えることにより経済成長が促される。これに関しては、該当箇所を引用しよう。 柴田さんは日本を含む先進18カ国を対象に、「何をした国が経済成長をしていたのか」を分析した。 その結果わかったのが、保育サービスなどの拡充によって、働く女性が増えた時に、その国は経済成長率が上がるということだ。 (中略) なんで子育て支援をすることが経済成長につながるのだろうか 理屈はこうだ。きちんとした保育サービスを整備すれば、女性が働いてくれ、労働力人口が増える。さらに忙しく働く女性はルンバや食洗機を買ったり、火事関連産業の拡大にも貢献する。また現代には女性向けの仕事が増えているため、女性が働くと企業の生産性も上がる。要は、女の人に働いてもらうと、いいことずくめなのだ。 ちなみに、女性の労働率を上げるには、子供手当を支給するのではなく、保育園を整備した方が効果的なこともわかっている。 昨今は格差が広がっていっている社会だと言われている。資本主義社会であるならば、しょうがないといわれるかもしれないが、一つのアイデアで改善することができるとこの本は教えてくれる。最後に印象に残った箇所を引用したい。 今の日本で親になるには、ある程度のお金があり、教養があることが前提とされている。それを象徴するのが、養子縁組をするときの養親に求められる基準だ。斡旋する団体によって条件は違うのだが、だいたい次のような要件を満たすことが求められている。 ・25歳から45歳までの婚姻届を出している夫婦 ・離婚の可能性がなさそうなこと ・健康で安定した収入があること ・育児をするのに十分な広さの家であること ・共働きの場合、一定期間は夫妻のどちらかが家で育児に専念できること 養子縁組には統一基準があるわけではないが、おおむね絵に描いたような「幸せ家族」であることが要求されているようだ この基準を満たせる夫婦は一体どのくらいいるのだろう?
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「昭和の政治家にマシュマロテストは難しい」 親が福祉関係の仕事に就いていると保育園に受かりやすいという都市伝説がある。 そのおかげかは知らないがうちの子は第一志望の保育園に入ることができはした。 入園した保育園では第二子、第三子も結構ザラにいて、そのコミュニティでは少子化どこ吹...
「昭和の政治家にマシュマロテストは難しい」 親が福祉関係の仕事に就いていると保育園に受かりやすいという都市伝説がある。 そのおかげかは知らないがうちの子は第一志望の保育園に入ることができはした。 入園した保育園では第二子、第三子も結構ザラにいて、そのコミュニティでは少子化どこ吹く風である。 問題は「保育力」の格差だろう。子供は居るところには居るし、居ないところには居ない。 そしてその格差は本人の努力では対処が難しいことも多い。頼れる親族が近くに居ないとか、職場の理解がないとか。 自分は株式会社の運営する老人ホームで働いているが、幸いにも職場は子育てに理解がある。しかし妻が働いていた社会福祉法人の特別養護老人ホームでは「子供の体調不良でシフトに穴を空けるのはあり得ない」って本当に云われていたっぽい。しかもこの台詞を言い放った上司は、子育てをろくにしたこともない老害かと思いきや、働きながら3人の子供を育て上げた女性であったとか。本当ならぐうの音も出ませんわね。 そんな中で、意識を変える意味でも保育園義務教育化というのは一つの解決策になるのではないかと感じた。 だがそれだけで少子化の解決は困難かも知れない。経済的な事情で産みたくても産めない若者への支援も大切だろう。 こういうことを云うと必ず財源はどうするんだという批判がくる。日本は票を持っている老人ばかりが優遇されると思われがちだが、介護業界では財源の不足を理由に「介護の社会化」の理念は放棄され、相次ぐ減算、利用者負担の増加が繰り返されている。 社会全体で子育てを支援するという考えも早晩行き詰まる可能性はある。私見では現代貨幣理論とかも政策の一つとして検討されなければならないと思う。 併せて幼少期の教育はコストパフォーマンスが良いとの研究結果が共有され、納得の上で税金が使用されるのが大切かも知れない。自分も貧乏暮らしではあるが、いわば恩返しとして子育てに税金が使われるのであれば払うのも吝かではない。某人材派遣会社を肥え太らせるよりは余程良い。(イメージです) 思考が昭和の政治家は「少子化の原因は若者の努力が足りないからだ」と云いそうなイメージがある。 票にならない世代に有利な政策を実行するインセンティブは少ないだろうし、少子化がいよいよヤバくなる頃にはどうせ鬼籍に入られている。それまでは若者批判でもしてれば偉くなったような気にもなれるでしょうからね。(あくまでイメージです)
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感想 ルールとナッジ。全員を保育園に入れても頭一つ抜けようとする試みは止められない。義務化したところで何年かすれば状況は現状と変わらない。
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読みやすくよかった。 昭和の時代は、こういった発信はフェミニストのレッテルを貼られたが、徐々に認識が変わっており、昔のフェミニストが今の普通になっている。 思うのは、結構国は少子化対策などに取り組んでいるなという印象。 3歳からの保育園無償化とか、2014年の国土交通省の交通機...
読みやすくよかった。 昭和の時代は、こういった発信はフェミニストのレッテルを貼られたが、徐々に認識が変わっており、昔のフェミニストが今の普通になっている。 思うのは、結構国は少子化対策などに取り組んでいるなという印象。 3歳からの保育園無償化とか、2014年の国土交通省の交通機関でベビーカーを折り畳まなくて良いという表明とか。 ただ、リーダーシップが弱く、ガイドラインは作るんだけど、それを守らせるための動きがなく現場に任せるため、ゆっくりとしか変わっていかない。 ベビーカーの折りたたみ不要の声明が出た後も、バスのアナウンスで折りたたんでくだい、と言っている。 一般的にみんなの意識で、という話をやたら重要視する傾向があるなと思うが、、そこに担保しすぎずに構造を変えていくということが重要だと思った。 ルール化するというのが、本書で保育園義務化、と言っているように非常に有効な施策になると思う。(が、それにはリーダーシップの欠如・満場一致の精神などにより難しい。やはり現場の意識を変えていく必要があるか・・)
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非認知機能や幼児期教育にコストをかけることの重要性など比較的話題になりやすい研究の話もそうですが、特に妊娠可能年齢や出産後の女性が抱える問題についてはとても悩ましいと感じさせてくれるものであったように思います。母乳を絶対視したり、ベビーシッターを否定するという人は流石に多数派では...
非認知機能や幼児期教育にコストをかけることの重要性など比較的話題になりやすい研究の話もそうですが、特に妊娠可能年齢や出産後の女性が抱える問題についてはとても悩ましいと感じさせてくれるものであったように思います。母乳を絶対視したり、ベビーシッターを否定するという人は流石に多数派ではないと思いますが、自分の育児論を絶対視して他の人を縛るのは筋違いというものかと改めて思える内容でした。自分と他人の境界線。 同じ話多かったですし、ホットドッグプレスの話そんなに掘り下げる必要あるのかと笑ってしまいましたが、とても学びがあると思います。 子どもの発見、日本の歴史を読み直すといった本に書かれているような過去の在り方と今を比較するのは大胆と思いましたが、それで救われる人がいるならそれも良いのかなと単純に思いました。
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子どもも育てたことがない、教育の専門家でもない古市さんが、こどもが置かれている社会状況と保育園の重要性について書いた本。育児について初めて読む分には良いかもしれないが、インターネットで調べれば出てくるようなことが羅列されているように感じた。 【メモ】 特に学ぶことはなかった。
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オーディブルにて。 煽り気味のタイトルだなと思ったけど、論の展開も細部は結構雑な印象を受けた。 一章の日本のお母さんは社会から異様に厳しい目を向けられている、人権がないというのは完全に同意。公共機関で子供がうるさいときに申し訳なさそうな態度を示せとか、お母さんは寝ずに母乳で育て...
オーディブルにて。 煽り気味のタイトルだなと思ったけど、論の展開も細部は結構雑な印象を受けた。 一章の日本のお母さんは社会から異様に厳しい目を向けられている、人権がないというのは完全に同意。公共機関で子供がうるさいときに申し訳なさそうな態度を示せとか、お母さんは寝ずに母乳で育てるべしとか、酷いと思う。 雑な論の一例として。 母性神話に反論するために、いかに歴史的に子供が捨てられ、疎んじられ、虐げられてきたのが普通だったかが述べられているんだけど、じゃあ山上憶良の「瓜はめば」の歌は?可愛がられた子供も多数いたのでは?という気持ちになった。 母性神話が嘘だというのには同意するけど。 直接の本の内容から少しそれるけど、子供を0歳で保育園に入れたとき、これで、子供の離乳食とか、歯の発育とか、発達度合い等の諸々を自分一人だけで見なくてもいいんだ、保育のプロの意見を聞ける、と思って救われた気持ちになったのを思い出した。 義務教育化してお上から指示を受けないと変われないというのもどうかとは思うけど、方向性としては義務教育化&無償化をするのはいいと思う。
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■総論: 少子高齢化問題について、多角的な目線で書かれている本(いかに深刻かどうかも含めて)。 これから親になる人に対する子育て本というよりは、少子高齢化や国として幼少期の子供に投資することの重要性を日本全体に向けて書かれた本。 ・読書時間:3時間程度 ・ボリューム:187ページ(文字も大きく行間スペースも広いのでサクッと読めます。) ■こんな人にお勧め: ・保育園に入れるかどうか迷っている人(保育園に通うことの重要性について論理的に記載されています) ・日本の少子高齢化問題に興味がある人 ■どういう内容の本なのか(事実・刺さったこと): ・お母さんも人間であるということ └産後ケアはとても重要/母乳が絶対にいいとは限らない/お母さんも寝てもいい/虐待死の44%が0歳児/三歳児神話の嘘 ・人生の成功は6歳まで └教育費は6歳までに沢山使う/非認知能力の重要性/5歳までの環境が人生を決める/家庭環境で決まる努力できる才能/非認知能力は集団の中でこそ磨かれる ・「母性本能」なんで言葉は医学的にもないし根拠もない └一昔前は捨て子が当たり前だった/専業主婦は日本の伝統ではなく戦後生まれ ■面白かった点・いまいちだった点(感想): ・良かった点 様々なデータを取り扱って、かつそこまで固い言葉ではない言葉を使ってくださり、大変読みやすかった。 3歳児神話や専業主婦の歴史、母性本能の根拠のなさ等、これから母になる私としては救われる言葉やデータがいくつもあった。 保育園への入園を検討されている方などは是非一度この本を読んでみるといいと思う。 ・いまいちだった点 正直いまいちだった点はそんなになかった。 強いて言えば、草食男子が日本を滅ぼすというデマなどが1章丸々使う長さで書かれていたが、私はそんなこと思ってもなかったので、このくらい大きなテーマにされるくらい世の中では気にされている人もいるんだと悲しい気持ちになった。(というか、そんなこと言ってる人いるんだ…と) ■私自身、本の内容をどう解釈し、考えたのか(解釈・自論): 私自身は0歳児から保育園に入れたいと思っているが、その選択が本当に正しいのか少し不安でした。でも、この本を読んで自信を持つことができた。全てを背負ってしまいがちな私の性格だからこそ、時にこの本を読んで立ち返り、自分だって母である前に人間なのだから、時には何かを頼ったり息抜きしたっていいんだ、と思い行動するようにしたい。 ■行動目標: ・育児中、辛くなったり、育児と仕事を両立させることに自信がなくなったらこの本を読む。
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ちょいちょい強引な論理があるけどおおむね同意かな。 専業主婦家庭でも週何回とか気軽に預けられて、子供もいろんな人と触れ合う機会があって…というのが理想。 もちろん働きたい人は全員保育園に入れるのも前提で。 母親の人権ないってのは本当そう…。「取り締まり」ってうまいこと言うよなぁ。もうすぐ子供産まれるけどすごく不安。 「お母さん」として相応しいか、周囲の人が常にジャッジしてくる日本社会、嫌すぎる。 幼児期の質の高い教育は学歴や収入への正の影響が大きいというのは有名な研究だけど、その研究では親への積極的な介入もしてるわけで…。それも要因としてあるんじゃないかな~といつも思う。通わせればいいってもんじゃないんじゃないかなー。 あと「質の高い幼児期の教育」には月齢15か月までは子供3人に1人の保育士が必要ってあったけど、それって現実的に可能なのかな? 子ども3人に対して1人専門職つけるってあまりに社会的コスパ悪くない?? 1歳過ぎくらいまでは夫婦で世話する、普通に育休が取れる社会のほうがいいと思いました。
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