鍵のない夢を見る の商品レビュー
感性鋭い大人女性目線から、いわゆる「子供っぽい鈍感男たち」を見た時の感情の揺れが面白かった。短編五話。いずれも、気持ちのズレと心の摩擦が傷を生んで、読み手側にどんどん迫ってくる。素晴らしい!
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あれ、辻村さんって、こんなに陰鬱なお話を書く人だったっけ?というのが一読した感想。著者の小説は何作か読んでいるが、本作では間口を広げたというか、展開や描写に関してこれまでの作品には無かったものを感じた。なるほどこういう攻め方もできる人なのだと認識を新たにしました。 内容について...
あれ、辻村さんって、こんなに陰鬱なお話を書く人だったっけ?というのが一読した感想。著者の小説は何作か読んでいるが、本作では間口を広げたというか、展開や描写に関してこれまでの作品には無かったものを感じた。なるほどこういう攻め方もできる人なのだと認識を新たにしました。 内容について言及すると、本書は地方都市で暮らす5人の女性を主人公に据えた短編集で、どの作品も甲乙付け難く面白い。主人公視点でいうと「石蕗南地区の放火」の笙子の勘違いっぷり、「君本家の誘拐」で良枝が直面する育児ノイローゼの生々しさが印象に残った。あと「美弥谷団地の逃亡者」「芹葉大学の夢と殺人」に登場するダメ男の描写もうまいと思った。 でも直木賞は『オーダーメイド殺人クラブ』で獲って欲しかったなあというのが正直なところ。
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五編の独立した短編集であり、それぞれ冒頭に核となる事件が提示されてからそこに至るストーリーが語られていく。ラストはさらにひと工夫されており、いわゆる倒叙式とはまた一線を画した構成で予想を裏切る展開が緊張感に溢れている。
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2015-91 やはり閉塞感を掬いあげるのが上手な作家さんだと思う。 子どもを産んだいま、君本家の誘拐は共感はできないけど理解は出来る気がした。
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どれも希望がなくて、読んでいてシュンとしてしまった。今自分が読みたい本ではなかった。20150819読了
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5人の女性が主人公の 後味ビターな短編集。 現実に追い詰められて 、 一線を 越える?越えない?? ギリギリの女性心理が 細やかに描かれてて。 最後2編は、うなりながら読みました。
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歩道と車道の間の縁石の上を、あるいは欄干の無い橋の縁をバランスを取りながら歩いている女性を「一歩、歩道側を歩けば良いのに」と思いつつ見守っているような、不安定感とハラハラ感溢れる短編集。 縁石から車道に落ちてしまう者、落ちかけるものの間一髪で助かる者、現実と幻想の狭間のような文章...
歩道と車道の間の縁石の上を、あるいは欄干の無い橋の縁をバランスを取りながら歩いている女性を「一歩、歩道側を歩けば良いのに」と思いつつ見守っているような、不安定感とハラハラ感溢れる短編集。 縁石から車道に落ちてしまう者、落ちかけるものの間一髪で助かる者、現実と幻想の狭間のような文章に不安感は一層増す。 疲れ、ストレス、恋愛の霧で霞んで見えない明日に、誰しもいつの間にか縁石の上を歩いているのかもしれない。
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辻村さんの描く物語のなかには、イタい子どもが出てくることが多く、過去の自分とどこか重なる部分があって、登場人物の感情に共感するということが多い。今回の作品は、子どもではなくて、「イタい大人」が5人出てくる。どれも読んでいて、イタくて、苦しくなる場面がある。ここまでの極限は経験なく...
辻村さんの描く物語のなかには、イタい子どもが出てくることが多く、過去の自分とどこか重なる部分があって、登場人物の感情に共感するということが多い。今回の作品は、子どもではなくて、「イタい大人」が5人出てくる。どれも読んでいて、イタくて、苦しくなる場面がある。ここまでの極限は経験なくとも、似たような感情は持ったことがあったりする。おまけの、林真理子さんとの対談も、面白い。
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ドラマを観てからの読書。 ドラマはイタ過ぎて観ていられなかったが、小説は内容を知っているからかそうでもなかった。 小説を読んでみると、「芹葉大学の夢と殺人」は「鍵のない夢を見る」がタイトルでもいいように思えた。一番本のタイトルに合っていると思った。 短編だったのでサクサク読...
ドラマを観てからの読書。 ドラマはイタ過ぎて観ていられなかったが、小説は内容を知っているからかそうでもなかった。 小説を読んでみると、「芹葉大学の夢と殺人」は「鍵のない夢を見る」がタイトルでもいいように思えた。一番本のタイトルに合っていると思った。 短編だったのでサクサク読めた。「仁志野町の泥棒」がおもしろかったかな。 最後の解説が林真理子さんとの対談でお得な感じ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・仁志野村の泥棒 田舎に帰っても思うし実家に帰っても思う。 なんで鍵をかけないの? つか、 この鍵のない夢を見るはここからきてるの? ・石蕗南地区の放火 文中にも出てくるけど八百屋お七かと思った。 けど、 そうきたかのどんでん返し? 想像はついたからおもしろく読めたのは文章のなせる業かな? ・美弥谷団地の逃亡者 びっくりでしたね。 でも、 ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。の匂いがしつつでしたね。 ・芹葉大学の夢と殺人 ダメンズ。 つか、 未玖が怖い! 坂下だけじゃないよ壊れてるの! ・君本家の誘拐 これは言うほど僕は響かなかったなぁ。。。 ただ、 産んだことある人には共感を得られるんだろうねって思う。
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