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ヒトラーとナチ・ドイツ の商品レビュー

4.2

46件のお客様レビュー

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2021/07/02

とても流れが読みやすかった。 そもそものヴェルサイユ体制で独裁に近い形になって、それをヒトラーが強化したので帝国になってしまったのだ。 ヒトラーはいいこともした、と言う人もいるらしいが、その裏には分断された者たちへの弾圧があったのもわかった。 読んでいてとても勉強になりました。

Posted byブクログ

2021/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ヒトラーの台頭、いかにしてドイツ6600万人の人間が、自由、脳、生命を独裁者に擲ったかを歴史から学ぶ。前は「ボヘミアの上等兵」は世論の支持を得てドイツを手中に収めたと考えていたが、実態はもう少し複雑だった。 ヒトラーがレイシストであることはドイツ人誰もが知っており、彼に政権を握らせてはならないと考える人も多く、そもそも出身はオーストリアであり、国会でも第一党とはいえ1/3の議席も持っていなかった。なぜ彼がドイツを支配したか。それに答えようとしている。 ナチが議会政治を嗤っていたのは周知のとおりだが、ナチが政権を握る前に、すでに国会による議会政治は形骸化しており、ヒンデンブルク大統領による大統領緊急令政治になっていたのは知らなかった。 パーペン、無能と思っていたが、意外と計算高い。ヒトラーを政権に入れ、議会制を終わらせ、共産主義運動を撲滅し、再軍備の果にヒトラーを、追い出す気でいたそうな。そういうわけで、ヒンデンブルクはあまり信用していない「ボヘミアの上等兵」を政権に入れたというわけだ。 そして、政権に入るやいなや、共産主義者への弾圧が始まる。突撃隊の暴行に警察は取り締まらなくなる。大統領緊急令(議事堂炎上令)で、州の首相の解任すらおもいのまま。国民は、非常時には多少の基本的人権の侵害は仕方がなく、また弾圧されるのはコミュニストのような危険思想の持ち主だけだからということで、体制側に付けば安泰だし関係ねえと考えていた。 ホフマンの撮影した写真、民衆宰相としてのヒトラー、恐ろしいことにヒトラーという狂人が人の良いオッサンに見える。おぞましい。 ヒトラーさん、まじで擁護できる点が一つも見当たらない。アウトバーンもヒトラーの手柄ではないし、失業対策も失業者を一時的にボランティア活動させ失業状態でないことにするという有様。 ヒトラーはもともと(戦前)、ユダヤ人の追放を考えておりユダヤ人の絶滅までは考えていなかったというのが面白い。確かに戦前は人権侵害レベルの弾圧はあれど、クレマトリウムでの大量殺害は行っていないはずだ。ところが戦争において発狂した(もとからしていたが)ヒトラーが、敵国=ユダヤ人と勘違いし、歴史上最悪の人災が起こった。 一応のカリスマはフランス降伏まで保てたが、そこからが最悪だった。カリスマ的支配はその構造上、指導者が不断に英雄的業績を上げる必要がある。戦時下の敵国降伏はまさしくそれ。おそらくヒトラーがギリシャ、ユーゴスラビアなどを侵攻した理由には(当然地政学的なものがメインだろうが)カリスマ性の維持という側面があるのではないか。そう考えるとあらゆる人間が失敗する以上、カリスマ的支配は支配体制としては下策に当たるかもしれない。 カリスマ的支配が死ぬまで続いた例は何があるだろうか? ナポレオンは違うだろう。ヒトラーは言わずもがな。チトーはイケそうか? 秀吉は? 後で調べるべきか。 しかし直感的に、カリスマ的支配の支配者が死んだ後はひどいお家騒動や内乱が起こりそう。やっぱこの支配体制だめだわ。

Posted byブクログ

2021/04/10

ヒトラー、ナチスに関して勉強できる映画あったら誰か教えてください。 ・善悪二項対立の危険さ ・利益を享受しているが故に上記の危険さを見て見ぬ振りをすること ヒトラーのやったこととは程度は違えど、現代にも通ずるものがあると思った。 ・善悪二項対立の危険さ ヒトラーは様々な地域、...

ヒトラー、ナチスに関して勉強できる映画あったら誰か教えてください。 ・善悪二項対立の危険さ ・利益を享受しているが故に上記の危険さを見て見ぬ振りをすること ヒトラーのやったこととは程度は違えど、現代にも通ずるものがあると思った。 ・善悪二項対立の危険さ ヒトラーは様々な地域、階層に向けて、すべての悪の根源はユダヤ人と語ることですべての社会階層に支持された。 現代で例えると「諸悪の根源は安倍政権」のような意見、トランプの諸主張、IT関連だとオンプレが悪でクラウドが善、みたいな。 そんな世の中簡単じゃないよね? 二項対立は物事を簡単に捉えた気になれる。 簡単だからこそ、誰もが共通認識として持ちやすくなる。 そしてみんなが同調してると、それが正しいと思ってしまう。 ただ、この二項対立には善と主張したがる人の強い恣意が入っている。 気をつけねばと自戒。 ・利益を享受しているが故に上記の危険さを見て見ぬ振りをすること ドイツ国民はユダヤ人迫害に反発しなかった。利益があったから。例えば、 ユダヤ人上司が左遷→昇進 ユダヤ人家が空く→新住居 ユダヤ人経営者が追放→安く買収 ユダヤ人迫害により敗戦国ドイツの生活水準が上がり得したのはわかる。 自分がもし当時のドイツにいてアーリア人だったら、同じように利益を享受していたかもしれない。 もちろんこのトレードオフは現代では非難されるし危険すぎる。こうならないようにはどうすれば良いのか、どんな対策を世界各国がしているのか、とても知りたいと思った。

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2021/02/28

面白かったー!!!ナチスが政権を得ていく過程や、ホロコーストに至った過程などが時系列で丁寧に説明されていて、断片的な知識が一体になった感があります 以下 初めて知ったことや印象的だったこと(ネタバレかも?) ・政権獲得の過程で農民にアプローチした(ここだけ見ればトランプ氏...

面白かったー!!!ナチスが政権を得ていく過程や、ホロコーストに至った過程などが時系列で丁寧に説明されていて、断片的な知識が一体になった感があります 以下 初めて知ったことや印象的だったこと(ネタバレかも?) ・政権獲得の過程で農民にアプローチした(ここだけ見ればトランプ氏の政権獲得過程とも似ているような) ・大衆に言葉でアプローチするため弁士を輩出するための学校を作った ・ヒトラーの効果があったとされる経済政策の絡繰(実際は前政権の政策の効果(企業減税を柱とするパーペンプランなど)だった、そもそもヒトラーが政権とったころには割と経済は回復傾向にあった、女性を家庭に追いやったり若者を軍事訓練に組み込むことで失業者の数字を減らす、アウトバーン構想はヒトラーが発案したのではなく前々からあり、なんならナチ党は野党時代に反対していたなど…) ・ドイツ国民がヒトラーに反対しなかった理由 (そもそもユダヤ人は国民の1%にすぎない、ヴァイマル政権下における分裂ぶりに幻滅していた、ドイツの国際的な地位をせめてイギリスフランスと同等の国家にしたい、など) ・当初はユダヤ人を殺すというよりは、マダガスカルなどに追放したいと思っていた ・ユダヤ人がなかなかドイツから出て行かなかった理由(楽観的予測、国際世論への過度な期待、逼迫した経済事情、諸外国の受け入れ制限) ・エヴィアン会議で米英仏瑞などがユダヤ人受け入れを協議したが、米は関心はあるが経済的理由で受け入れられず、他も経済事情などでユダヤ人受け入れを嫌がった

Posted byブクログ

2021/01/24

第二次世界大戦におけるヒトラーの行動についてはあまり書かれていないが、それまでのヒトラーが独裁政権を樹立するまでが詳細に書かれている。 ヒトラーを含めナチスの人物たちは、生まれながらの極悪人ではなく、当時の第一次世界大戦で敗戦し絶望の中にあったドイツ、そしてドイツを服従させようと...

第二次世界大戦におけるヒトラーの行動についてはあまり書かれていないが、それまでのヒトラーが独裁政権を樹立するまでが詳細に書かれている。 ヒトラーを含めナチスの人物たちは、生まれながらの極悪人ではなく、当時の第一次世界大戦で敗戦し絶望の中にあったドイツ、そしてドイツを服従させようとしていたヨーロッパ諸国が生み出したものだと感じた。

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2020/10/14

古来からのユダヤ民族への迫害。 ドイツでユダヤ人の法的平等が実現したのはビスマルクのドイツ帝国の1870年代、つまりナチスのたった50年前だったんだ… ナチスは論外だけど、なんか世界はナチのせいにしすぎじゃないか? 舛添要一の「ヒトラーの正体」より、丁寧に少し深めにまとめてい...

古来からのユダヤ民族への迫害。 ドイツでユダヤ人の法的平等が実現したのはビスマルクのドイツ帝国の1870年代、つまりナチスのたった50年前だったんだ… ナチスは論外だけど、なんか世界はナチのせいにしすぎじゃないか? 舛添要一の「ヒトラーの正体」より、丁寧に少し深めにまとめている印象だが、ヒトラーというデマゴーグに従った大衆の心理については「ヒトラーの正体」のほうに分がある

Posted byブクログ

2020/07/23

新書にしては長めだと思う。読み終わるまで結構時間かかった気がする。 章立てや構成がとても綺麗でレポートや論文書くための参考にできたらいいものが書けそう。各章・各節の冒頭に問いが書いてあって今何ついて話しているのかすんなり入ってくる。 範囲としては、芝健介『ホロコースト』より広め。...

新書にしては長めだと思う。読み終わるまで結構時間かかった気がする。 章立てや構成がとても綺麗でレポートや論文書くための参考にできたらいいものが書けそう。各章・各節の冒頭に問いが書いてあって今何ついて話しているのかすんなり入ってくる。 範囲としては、芝健介『ホロコースト』より広め。一応ヒトラーが生まれた時や少年時代についても節が設けられているけど、主として扱われるのは1918年か1919年(=ヒトラーが30歳の頃)から終戦する1945年まで。 1939年のポーランド侵攻以降については芝健介『ホロコースト』の方が詳しいと思う。一方でヒトラーが政治家として台頭し指導者になるまでの期間や、その間のヒトラー周辺の人々の盛衰(ヒトラーを利用しようとする、ヒトラーと対立する、ヒトラーに切り捨てられるなど)や当時の「普通の人びと」に関する説明はこちらの方が詳しい。 特に、ヒトラーが政治家になってから首相となるまでのナチ党とその他の党との勢力関係や、ナチ党内の人間関係、ナチ党の政治活動の様子については知らないことがたくさんあったし、ホロコーストなどでヒトラーと共に有名なゲッベルス、ヒムラー、ハイドリヒ、ゲーリング以外のヒトラー周辺の人びとは名前を見るのも初めての人物が多く、今後ドイツ現代史の本を読む時に反応できるwordをいっぱい増やせた気がする。

Posted byブクログ

2020/04/26

第一次大戦でドイツは敗れ、多大な賠償金を課せられるに至った。ソ連との対立、共産主義勢力に対する恐れもあった。 その中にあって、最初は極右政党として、疎んじられ、ナチスは軽く見られていた。 その小さな一政党、ヒトラーという小柄だが、言うことだけは荒唐無稽な大ボラという男が、権力の階...

第一次大戦でドイツは敗れ、多大な賠償金を課せられるに至った。ソ連との対立、共産主義勢力に対する恐れもあった。 その中にあって、最初は極右政党として、疎んじられ、ナチスは軽く見られていた。 その小さな一政党、ヒトラーという小柄だが、言うことだけは荒唐無稽な大ボラという男が、権力の階段を少しずつ登っていく。 そこに見えてくるのは、ドイツがヒトラーの独裁を歓迎してナチス・ドイツが生まれたわけではないという事。 彼は表向きの主義主張は時流に合わせて微調整をし、党内部の粛清さえも行なった。 強引に政権を奪取するのではなく、そうならざるを得ない状況を作り出し、そこに乗っかるのもうまかった。 大統領制では、彼の就いた首相の座は独裁ができるものではなかったが、ヒンデンブルク大統領に取り入り、大統領令という議会制民主主義を超越する特権を活用した。そして、ヒンデンブルクの死を待って、総統という地位を得たのだ。 ヒトラーは準備をし、好機を待って、それを掴んだのだ。 現代のドイツにおいても、ナチス政権の前期の経済政策、特に失業者対策の成果を評価する人がいるという。 確かに数字を見るとナチス・ドイツが政権をとってから、年々失業者数は減ったのだ。 しかし、これには裏がある。 ナチスは「アーリア人らしい暮らし」というものを強調し、その中で女性は家庭の中にいて家を守るものと位置付けた。また、当然のことながら、ドイツの社会を形成するのはアーリア人であってユダヤ人はそこには含まれない。 つまり、「労働者(失業者)」の定義から女性とユダヤ人が外されれば、自然と失業者は減るのだ。 なんだか他国の話ではないような気がして、ちょっとゾッとした。

Posted byブクログ

2020/01/27

まず、今日1月27日はアウシュビッツ強制収容所が開放された日だそうだ。本書はヒトラーが政治家を目指してから自死するまでが詳しく記されており、専門家から強く薦められているものである。ドイツ国民はヒトラーに騙されたと目にすることがあるが、本書を読むと国民がヒトラーを後押しした感もある...

まず、今日1月27日はアウシュビッツ強制収容所が開放された日だそうだ。本書はヒトラーが政治家を目指してから自死するまでが詳しく記されており、専門家から強く薦められているものである。ドイツ国民はヒトラーに騙されたと目にすることがあるが、本書を読むと国民がヒトラーを後押しした感もある。WWI後の賠償金負担や世界恐慌が重くのしかかり、その打開のみを国民は求めていた。それ故に熱狂を生み、間違った方向に全体で進んでしまった。経済が人間を狂わすのは現在も同じで、75年経った今も進歩していない人類に恐怖を感じる。

Posted byブクログ

2018/07/22

ヒトラーがどのようにして議会制民主主義を廃して独裁を成し得たのか、そしてユダヤ人の抹殺がなぜ起き得たのかが解説されている。 ナチスが政権を取れたのは国民に圧倒的に支持されていたわけではなくそれぞれの勢力の思惑によるところがあり、ドイツ国民の多数がヒトラーに熱狂していくのはその後の...

ヒトラーがどのようにして議会制民主主義を廃して独裁を成し得たのか、そしてユダヤ人の抹殺がなぜ起き得たのかが解説されている。 ナチスが政権を取れたのは国民に圧倒的に支持されていたわけではなくそれぞれの勢力の思惑によるところがあり、ドイツ国民の多数がヒトラーに熱狂していくのはその後の話。もともとある行政組織をいかにナチスが浸透していったかもよくわかった。 ユダヤ人を敗戦を目の前にしても殺戮し続けたのはそれがヒトラーの意思であったからで、その意思の背景にあった妄想が凄い。ヨーロッパのユダヤ人を絶滅させれば戦争に負けてもドイツは発展できると思っていたという。 このユダヤ人との人種戦争が対ソ開戦、対米開戦の決心を説明できるわけだな。

Posted byブクログ