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ヒトラーとナチ・ドイツ の商品レビュー

4.2

46件のお客様レビュー

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2022/05/13

ヒトラーの生涯と、ナチの成立・支配と戦時下の状況が詳説されている。 難しい用語が少なく、歴史に疎い私にはありがたかった。 教科書では精々数ページしか書かれないことの詳細を知るのは楽しかった。

Posted byブクログ

2022/05/11

本書では、1933年のヒトラー内閣成立から1945年のドイツ敗戦までの「ナチ時代」が扱われている。冒頭にて、ナチ体制とは、「民族共同体」という情緒的な概念で絆を作り、それは暴力による一方的なドイツ国民の支配体制でなく、当時の国民を受益者、積極的な担い手とする「合意独裁」であったと...

本書では、1933年のヒトラー内閣成立から1945年のドイツ敗戦までの「ナチ時代」が扱われている。冒頭にて、ナチ体制とは、「民族共同体」という情緒的な概念で絆を作り、それは暴力による一方的なドイツ国民の支配体制でなく、当時の国民を受益者、積極的な担い手とする「合意独裁」であったと要約されている。 第1章から第5章はナチ体制の成立からナチス政権下の内政と外政、第6章と第7章はレイシズムと反ユダヤ主義、ホロコーストが取り扱われている。ナチスに関する書籍としては、比較的新しい本であり、最新の研究成果をふんだんに取り込んで書かれているのが特徴だ。 第5章の「ナチ体制下の内政と外交」では、ナチスに関する多くの俗説が反駁されている。例えば、ナチス政権下での失業者数の「減少」にはカラクリがあり、①労働市場における若年労働力の供給を減らすために、さまざまな形の勤労奉仕制度が導入された、②労働市場における女子労働力の供給を減らす措置がとられた、③失業対策が軍事目的と結びつけられたといった準戦時体制下での統制経済が政権発足時から取られており、ケインズ政策は行われていない。また、ナチスによる政策の代名詞となっているアウトバーン建設に関しても、①ナチス以前からアウトバーン建設計画が存在してヴァイマル共和国時代から一部区間が作られていたこと、②野党時代のナチス党はアウトバーン計画に反対していたこと、③アウトバーン建設に携わった労働者は最大で10万人であり、失業者の吸収は思っている以上に小さいなど、多くの「アウトバーン神話」の実際が書かれている。 第7章の「ホロコーストと絶滅戦争」では、戦争開始時にはまだユダヤ人の追放程度だったのが、戦局の悪化に伴い、やがてユダヤ人の大量虐殺につながったのが詳細に述べられている。ホロコースト以前にドイツ国内で障害者全般の安楽死が実行されており、それがホロコーストの前ぶれであったこと、独ソ戦と対米宣戦が契機となり、「ユダヤ人の最終的解決」に帰着してしまったとようだ。 ナチス党の内政と外政、ユダヤ人の迫害・ホロコーストに関しての記述は詳細であるが、ナチス・ドイツの戦争に関する話題は比較的あっさりしている。ナチス・ドイツの戦争に関しては、リチャード・ベッセル『ナチスの戦争』(中公新書)で補えば良いと思う。本書とベッセルの本、後はウルリヒ・ヘルベルト『第三帝国』(角川新書)を読んでおけば、ナチスに関する大体の一般教養が網羅できるであろう。

Posted byブクログ

2022/03/16

★★★2021年10月★★★ なんの特色もない人だったヒトラーが、何故あのような災禍を人類にもたらすことになったのか。そういうことが知りたくてこの本を手に取った。 第一次世界大戦の敗戦から丁寧に描かれている。 印象に残ったフレーズを以下に記す。 P51 宣伝は永久に大衆だ...

★★★2021年10月★★★ なんの特色もない人だったヒトラーが、何故あのような災禍を人類にもたらすことになったのか。そういうことが知りたくてこの本を手に取った。 第一次世界大戦の敗戦から丁寧に描かれている。 印象に残ったフレーズを以下に記す。 P51 宣伝は永久に大衆だけに向けられるべきである! P130 ヒトラーを首相にするといってもナチ党の独裁を認めるわけではない。 P153 ヒトラーがすべてを賭けて手に入れたかったもの、それは授権法だった。(全権委任法) よく言われるようにヒトラーは民主主義から誕生した。ワイマール憲法は運用によっては独裁を認める内容だったとか。第一次世界大戦後のドイツ処理が苛烈すぎたこともヒトラー誕生の要因の一つだろう。

Posted byブクログ

2022/02/05

ヒトラーがどのような人物だったのか。 当時の社会的情勢はどのようだったのか。 当時の人々はなぜヒトラーを受け入れたのか。 など、丁寧に説明されており、入門書としてとても良いと思う。 ホロコーストについても、どのような経緯で行われるようになったのか、書かれており、歴史とは単純なもの...

ヒトラーがどのような人物だったのか。 当時の社会的情勢はどのようだったのか。 当時の人々はなぜヒトラーを受け入れたのか。 など、丁寧に説明されており、入門書としてとても良いと思う。 ホロコーストについても、どのような経緯で行われるようになったのか、書かれており、歴史とは単純なものではないと思う。 よくよく思想や社会の様子などを知らないと、歴史認識を間違う可能性があると感じた。 しっかりと学習し続ける必要を感じた。

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2022/01/22

「ヒトラーとナチ・ドイツ」を読了。2年の積読だった。ヒトラーが独裁になりホロコーストを進める流れがよくわかった。麻生太郎の言う「あの手口に学んだら」だけど、それはヒトラーの思いだけで進んだ道ではなく、まわりの政治家、実力者の思惑であり、国民の関心であり、無視であった。 政権をとり...

「ヒトラーとナチ・ドイツ」を読了。2年の積読だった。ヒトラーが独裁になりホロコーストを進める流れがよくわかった。麻生太郎の言う「あの手口に学んだら」だけど、それはヒトラーの思いだけで進んだ道ではなく、まわりの政治家、実力者の思惑であり、国民の関心であり、無視であった。 政権をとり総統になるまでは充実した説明だったけども、後半の第二次対戦中のナチスの内部の動きの説明が薄くて残念。軍部がヒトラーに対して暗殺計画したのが唐突に感じる。ナチス組織や幹部の動きを説明する増補版が欲しい。

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2021/12/27

なぜ、なぜ、なぜ。 議会や民主主義がなぜ葬られたのか。なぜホロコーストは始まってしまったのか。人類の闇に向き合える一冊。

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2021/11/23

ヒトラーがどのようにしてワイマール共和国のような議会民主制を帯びていた近代国家を、専制国家に仕立て上げ第二次世界大戦を起こしてしまうまでになったのかを仔細に説明してくれています。ナチ党が国会第一党まで上り詰める過程や、ヒンデンブルク大統領からの授権法を採択された後の急進化は、何と...

ヒトラーがどのようにしてワイマール共和国のような議会民主制を帯びていた近代国家を、専制国家に仕立て上げ第二次世界大戦を起こしてしまうまでになったのかを仔細に説明してくれています。ナチ党が国会第一党まで上り詰める過程や、ヒンデンブルク大統領からの授権法を採択された後の急進化は、何となくヒトラーがクーデターを起こしてドイツを支配したのでは?という先入観があった私としては、制度に沿った形で独裁政権を樹立したのだという驚きは改めてありましたね。 もう一つの大テーマとしてのユダヤ人大虐殺(ホロコースト)はなぜ起こってしまったのか。極端なレイシズムや当時の優勢人種学が学問として成り立ってしまっている事態背景が多分に影響を与え、それを妄信するカリスマヒトラーが実行に移してしまったことによる悲劇。ユダヤ人の強制追放により当時のドイツ人は財産の獲得や住居の略奪といった恩恵を受けていたという実態は衝撃。また、単にユダヤ人だけを標的にしている訳ではなく、アーリア化を標榜にとし同性愛者や不治の病に侵されている人々まで虐殺していたとは。残忍極まりないです。 ここで、これは極端な事例で自分とは全く関係ない世界の話と総括せずに、自分も当時者となっていたら同じように迫害される対象だったし、ホロコーストを生んだ時世を理解することが大切なのだろう。多様性の現代だからこそ、ナチのような時代がほんの100年も満たない昔にあったのだという現実から、学ぶことはあるのでしょう。しかし、演説のの一点に振り切った才能だけで世界大戦まで行きつけてしまうとは。次は各国の事情も理解したので、第二次世界大戦の大局的な書籍に挑戦ですね。

Posted byブクログ

2021/11/08

この本を読んだ。前にヒトラー系の映画、シンドラーのリストもまあそうか。ホロコーストの本もいくつか読んでいたので「どうして独裁政権が誕生したのか」というポイントにいて興味を持って読んでいた。就業率の改善のために女性を家庭に押し込める。それによって出産率も上げる。優性遺伝の。そこにあ...

この本を読んだ。前にヒトラー系の映画、シンドラーのリストもまあそうか。ホロコーストの本もいくつか読んでいたので「どうして独裁政権が誕生したのか」というポイントにいて興味を持って読んでいた。就業率の改善のために女性を家庭に押し込める。それによって出産率も上げる。優性遺伝の。そこにあるのは、なんかよくなるんじゃないかという希望。  これってほんとうに偶然だよな。そのときそのときの力関係で、周りの国も大事な人権的なことに及び腰になったり、無視したり、他国頼りになったり。それが結果としてユダヤ人を置いておく場所がなくなってきたら殲滅するということになる。ソ蓮がもうちょっと弱かったら、イギリスがそれほど強気じゃなかったら。まあいそれはヒトラーのすべてはユダヤ人のせいだという思い込み・・・。これ陰謀論を信じていたっていっていいのではないだろうか。それによってホロコーストは起こっていく。ナチスが衰退しても、彼の意思で行われていく。。   ”ヒトラーは若い頃、政治家としての自己の使命をよく「救済」という言葉で表現したが、独裁と戦争でドイツのすべてを破壊しながらも、ドイツをユダヤ人の魔の手から救うという妄想の使命感を最後までいだいていたのだ。” 衝撃過ぎる。 ドイツ人を「救済」できると思っていたんだ。使命感として。 自分は他者を救えると思っている人は傲慢な気がする。  とにかく人間の目を通して、理路整然でもなく、なんだかもやもやするところも見せてくれる。ヒトラーが陰謀論にはまってたってことだよね・・・。

Posted byブクログ

2021/10/23

第一次大戦後の混乱期のドイツで、ヒトラーが権力を握るに至るまでの過程が詳細に書かれている。かつての暴力革命路線を変更し、選挙政治で政権獲得を目指す方向へ舵を切ったナチスが、様々な偶然の要素が重なって政権を取るに至る。ひとたび実権を握ると、全権委任法を成立させて立法機能を自らの手中...

第一次大戦後の混乱期のドイツで、ヒトラーが権力を握るに至るまでの過程が詳細に書かれている。かつての暴力革命路線を変更し、選挙政治で政権獲得を目指す方向へ舵を切ったナチスが、様々な偶然の要素が重なって政権を取るに至る。ひとたび実権を握ると、全権委任法を成立させて立法機能を自らの手中に収め、反対勢力に対しては突撃隊・親衛隊による物理的な実力行使を徹底する。長引く不況と失業問題を解決し国民からの支持を確実なものにすると(ヒトラーの手腕というわけではなく、政権を握った時点ではすでに景気回復期に入っていた点、徴兵制の復活により失業者を兵隊として吸収できた点、女性の就業を制限することで労働供給を減少させた点、等が強調されている)次の戦争、そしてホロコーストへと進んでいく。ヒトラーの病的ともいえるユダヤ人排斥への思いが悲劇を生む。これほど激動に富んだ国もないという感想を持った。

Posted byブクログ

2021/07/06

ナチ党・ヒトラーが政権を奪取し、ユダヤ人迫害、ヨーロッパ大戦に至るまでの経緯を説明している。 ヒトラーは合法的に政権を獲得したと言われることがあるが、その背景には姑息な手段を用いて他党を弾圧や大統領令の発令が大きく左右していることから、学問的な帰結としては「合法的」という表現は...

ナチ党・ヒトラーが政権を奪取し、ユダヤ人迫害、ヨーロッパ大戦に至るまでの経緯を説明している。 ヒトラーは合法的に政権を獲得したと言われることがあるが、その背景には姑息な手段を用いて他党を弾圧や大統領令の発令が大きく左右していることから、学問的な帰結としては「合法的」という表現は正確な解釈ではない。 また失業率を下げたり、アウトバーン建設に一役買ったとも言われるが、結局はナチズムを推進していくための手段に過ぎず、国民のための施策という解釈もミスリーディング。 先日、ナチスを肯定した趣旨のツイートが炎上していたが、この本を読めば肯定できる要素は何一つないことが分かる。

Posted byブクログ