すしいち!(3) の商品レビュー
やはり、この寿司漫画、一味も二味も違う。『中華一番!』シリーズで、中華料理の魅力を多くの読み手に伝えられた実力がある、小川悦司先生だからこそ、寿司を題材にした、この『すしいち!』も面白く出来るんだろう 鯛介の寿司そのものが美味しそうってのも、この作品の魅力だが、やはり、私は寿司を...
やはり、この寿司漫画、一味も二味も違う。『中華一番!』シリーズで、中華料理の魅力を多くの読み手に伝えられた実力がある、小川悦司先生だからこそ、寿司を題材にした、この『すしいち!』も面白く出来るんだろう 鯛介の寿司そのものが美味しそうってのも、この作品の魅力だが、やはり、私は寿司を握る過程、鯛介の手の動きに目が惹かれてしまうな リアリティがあるって言うのは、少し違うかも知れないが、基礎・基本がしっかりしているからこそ、シンプルな動きに華が出るんだろう 客の悩みを吹っ飛ばす、オリジナル寿司を鯛介が握れるのも、破れる型がしっかりあるからだ。独自性を発揮するには、まず、皆と同じコト、誰でも出来るコトを身に付けねばならないって事か。『食戟のソーマ』(附田祐斗・佐伯俊)を読んでも感じるが、創意工夫ってのは、誰もが思いつかない事を思いつき、なおかつ、それを失敗を恐れずに実行する、正しい勇気があってこそだ また、舞台を江戸の街にしているからこそ、鯛介の寿司に救われる「客」らの悩みに、読み手も共感でき、自分の問題、気持ちと向き合う事が出来る、と思う 1巻と2巻の感想でも書いたが、やはり、客のリアクションも、『すしいち!』の武器だ。しかし、そのリアクションを活かしているのは、ストーリーだ。魅せ場は、それまでの流れで読み手の心を掴み続けてこそ、威力を発揮できる。料理系の代表作が多く、それだけ、経験を積んできている小川先生だからこそ得られた技術だろう 加えて、『中華一番!』シリーズの人気を支えた、胸が熱くなり、ハラハラする味勝負(バトル)だけでなく、人の情を親身に描いてるからこそ、読み手の心はますます、しっかりと握られる どの話も食べ応え満載だが、やはり、別格と感じたのは、第十五話「孤高のヒラメ」だ。やはり、“九頭龍”の伝七さん、共感覚持ちなんだろうか? そんな彼と、娘・お絹さんの似た者同士父娘の絆の修復を描いた、この話、小川イズムが全開だ 食べたい、と思ったのは、第十一話「マグロの行く先」で、鯛介が、超絶的な知識と技量があってこそ、個々の好みに合わせてマグロを握る事が出来る龍児を納得させた、「菜の花寿司」のマグロ握りだ この台詞を引用に選んだのは、道理だ、と感じたので。余分なモノを冷徹に切り捨てていき、美しさを生み出すのも確かな強さだが、人が無駄だと見捨てるモノの中から、最高を見つけ出すのも、それに劣らない強さだ。どちらにしても貫き通すのが大事だ
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