「学力」の経済学 の商品レビュー
・東大生の親の年収は平均一千万円 ・経済学とか社会学の調査をするのには、無作為抽出の実験や調査が大切。年収とか、環境とかの影響を、しっかり考慮に入れつつ調査をしないといけない。 ・自信があるから勉強ができるようになるわけじゃない。勉強できるからその自己肯定感や自尊心がある。ワーク...
・東大生の親の年収は平均一千万円 ・経済学とか社会学の調査をするのには、無作為抽出の実験や調査が大切。年収とか、環境とかの影響を、しっかり考慮に入れつつ調査をしないといけない。 ・自信があるから勉強ができるようになるわけじゃない。勉強できるからその自己肯定感や自尊心がある。ワークで自己肯定感(Self-efficiency)だけ上げても、それが否定されるのを恐れて逆にセルフハンディキャップしたり、勉強しなくなっちゃったりする。 ・ゲームしないからって勉強するわけじゃない。ゲームが悪いとは言えない。 ・短期的なご褒美が悪いとは言えない。勉強させるためには、短期的なご褒美を使ってでも勉強したほうがいい。 ・ほめるのは結果ではなく努力を誉めた方が、努力の行動を増加させる。結果を誉めるとセルフハンディキャップをしがちになる→結局勉強しない。 ・しつけを受けてると、自制心とかが育ち、それがその後の学力とか年収にいい効果に。→学力に加えて、(というか、それとは別に)、やり抜く力とか、集中する力とか、自生する力とか、そういうものを育成するのが大切。 ・上の能力を伸ばすには、筋力のようにトレーニングをする(つまりは、集中して勉強するてきな) + メタ的な認知を働かせたり、やっていることを記録するモニターすることが大切。 ・教員研修・少人数教室→そんなに成果は上がってない。 ・子供の学力を伸ばしたいなら、「勉強しなさい」ということは全然効果がない。それよりも、一緒に勉強をしてあげるのが効果的だ。(男の子の場合は父親が、女の子の場合は母親がいい)
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費用対効果で教育問題を考える.本当に当たり前の話なのに,教育となると精神論が幅を利かすのが普通にある状況だ.お役人に読んでもらいたいところだが,なかなか政策というのは難しいところがあるので,自衛のために,特に小さな子供を持つ親は,読んでおいて損はないと思う.
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「教育にもエビデンスを」ということで、教育においての社会実験の大切さを解いており、けっこう重要な示唆だと思う。最近は政策にも「社会実験」が用いられることも増えてきたし、ネットではいわゆるA/Bなんて当たり前になってきている。教育なんて、それこそ机上だけでは最適解は見つからないと思...
「教育にもエビデンスを」ということで、教育においての社会実験の大切さを解いており、けっこう重要な示唆だと思う。最近は政策にも「社会実験」が用いられることも増えてきたし、ネットではいわゆるA/Bなんて当たり前になってきている。教育なんて、それこそ机上だけでは最適解は見つからないと思うので、こうした考え方は必要でしょう。
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データを用いて教育を経済学的に分析するというのがこの本のコンセプト。 因果関係と相関関係をごっちゃにしてはいけない。読書をすると学力が上がるというのは因果関係がありそうだが実は学力が高い子は読書をするとか親が教育に熱心なために子が読書をするようにもなるし成績も上がるということかも...
データを用いて教育を経済学的に分析するというのがこの本のコンセプト。 因果関係と相関関係をごっちゃにしてはいけない。読書をすると学力が上がるというのは因果関係がありそうだが実は学力が高い子は読書をするとか親が教育に熱心なために子が読書をするようにもなるし成績も上がるということかもしれない. 何でもすぐ因果関係と決めつけるのは良くない。 学校の点数は認知能力(読み書きや知識)。社会に出て役立つのは非認知能力(意欲、忍耐力、自制心、社会性など)。それを子供のうちからしっかりと学ばせることは重要。それを養うことを教育の柱に置きたいものである。約束を守れたこと、我慢して人に譲れたこと、感謝と謝罪ができたこと、続けて一つのことを出来たこと。それを親は子供に教育していかないといけないと思う。 うちの子は誠実さや優しさ好奇心、自制心はある方だと思う。対して社会性や外向性、忍耐力は比較的低い気がする。それをこれから無理のない範囲で学ばせてあげたい。 子供が頑張るようにご褒美を与えることは悪いことではない。ただし重要なのは子供がきちんとやるべきことが分かるように仕向けること。アウトプット(テストの点数)に対してご褒美をあげるのはダメ。子供は何をすれば良いか分からない。それよりはインプット(本を読むなど)にご褒美をあげ、それが出来たことに対して褒めるようにする。 またご褒美がが例えお金であっても良い。きちんとそれにより金銭感覚を学ぶことができれば問題ない。
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発見、疑問点はブログにまとめました http://lostgarden343.blog.fc2.com/blog-entry-35.html
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題名を読んで、学力と親の経済力の関連などについて書かれているのかともった全く違い、通説と教育政策に科学的な根拠に基づくエビデンスをもとに実際との違いを説明している。 テストでよい点を取ればご褒美と本を読んだらご褒美では、本を読んだらご褒美(インプットに対してインセンティブ)のほ...
題名を読んで、学力と親の経済力の関連などについて書かれているのかともった全く違い、通説と教育政策に科学的な根拠に基づくエビデンスをもとに実際との違いを説明している。 テストでよい点を取ればご褒美と本を読んだらご褒美では、本を読んだらご褒美(インプットに対してインセンティブ)のほうが結果がよかった。 →ご褒美はテストの点数などのアウトプットではなく、本を読む宿題するなどのインセンティブに与える まず勉強の仕方を勉強することが重要 子供をほめるときには、もともとの能力ではなく具体的に達成した内容を挙げる事が重要 1日1時間までならテレビもゲームも問題ない。2時間以上だと学習時間などへの負の影響が大きい。 勉強しなさいはエネルギーの無駄使いで、効果があるのは、「勉強したか確認している」「勉強を見ている」「勉強する時間を決めて守られている」事が効果がある。 男の子は父親、女の子は母親が係るのがよい。 一歩社会に出たら学力以外の能力(非認知能力)が圧倒的に重要で、自制心やり抜く力が大切。またこれらの能力は成人になってからでも伸ばす事が出来る。 目の前の定期試験のために、部活や委員会をやめさせることには慎重であるべき。
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子育てに正解はない。 ただミクロの視点からマクロの視点に立つことによって、 こうしたほうがよさそうだという傾向は少なくとも見える。 子どもにとっての大人である、親、そして時間を過ごす学校であり、先生。 この質が子どもに強い影響を与えることは、 直感的でもそうであり、また数値的に...
子育てに正解はない。 ただミクロの視点からマクロの視点に立つことによって、 こうしたほうがよさそうだという傾向は少なくとも見える。 子どもにとっての大人である、親、そして時間を過ごす学校であり、先生。 この質が子どもに強い影響を与えることは、 直感的でもそうであり、また数値的にもそう出ている。 (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋) ○どこかの誰かが子育てに成功したからといって、 同じことをしたら自分の子どもも同じように成功するという保障は、どこにもありません。(P.15) ○学力テストの結果がよくなったのは、 インプットにご褒美を与えられた子どもたちだったのです。(P.35) ○テレビやゲーム「そのもの」が子どもたちにもたらす負の因果効果は 私たちが考えているほどに大きくないと結論付づています。(P.54) ○ゲームの中で暴力的な行為が行われていたとしても、 それを学校や隣近所でやってやろうと考えるほど、子どもはおろかではないのです。(P.55) ○1日に1時間程度のテレビ視聴やゲーム使用が子どもの発達に与える影響は、 まったくテレビを観ない・ゲームをしないのと変わらないことが示されています。 一方、1日2時間を越えると、子どもの発達や学習時間への負の影響が 飛躍的に大きくなることも明らかになっています。(P.57) ●マシュマロ実験 大人が戻ってくるまで我慢できたら、マシュマロが二個食べられる。 追跡調査の結果、我慢できた子は全国共通試験のスコアが相対的に高かった。 非認知能力のひとつの自制心の高さが、認知能力に影響を与える例の一つ。 ○非常に遠い先にあるゴールに向けて、興味を失わず、努力し続けることができる気質(P.91) ○35人学級を40人学級に戻すと、86億円の費用を削減できるそうです。(P.100) ●スタープロジェクト 1985年から89年にかけて米国テネシー州政府が 少人数学級に学力向上に効果があるか明らかにするために実施した実験。 結論としては、因果関係あると思われるが、効果が高いわけではない。 親の考えを改めるほうが効果的。(P.103-106) ○宝くじで1億円が当たることを夢見なくても、 大学へ行けば生涯で稼げるお金は1億円は高くなるのですよ(P.109) ●少人数学級に支払った費用を、 少人数学級を受けた子どもの収入増加によって取り戻せるか推計したところ、 生涯収入は26万円から55万円のロスとなる。(P.109-110) ○神戸大学の伊藤准教授らの研究では、 学校で平等を重視した教育-「手をつないでゴールしましょう」という方針の運動会など-の 影響を受けた人は、他人を思いやり、親切にし合おうという気持ちに「欠ける」大人に なってしまうことが明らかになっています。(P.133) ○データを開示すれば、政府がわざわざ雇用しなくても、 世界中の優秀なエコノミストがこぞって分析をしてくれる(P.139) ○スタンフォード大学のハヌシュク教授によると、 もともとの学力の水準が同程度の子どもたちに対して、 能力の高い教員が教えた場合、子どもたちは1年で1.5学年分の内容を習得できたのに対して、 能力の低い教員が教えた場合は、0.5学年分しか習得できませんでした。(P.142) ○サイト上で教員名を入力すると、 その教員がどの学校のどの学年を担当していたかという情報が表示されます。 さらに、その教員が担当していた子どもたちの週標準テストの結果から算出された付加価値と、 その教員がカリフォルニア州全体で どのくらいの位置にいるかということまでが示されます。(P.144-145) ○チェティ教授らは、付加価値でみたときに下位5%に位置する教員を、 平均的な教員に置き換えるだけで、 子どもたちの生涯収入の現在価値を、 学級あたり2500万円も上昇させることができると推計しています。(P.146) ○少子化が進んでいく中では、 少人数学級によって教員の「数」を増加させることよりも、 教員の「質」を高める政策のほうが、 教育効果や経済効果が高い可能性があるのではないでしょうか。(P.147) ○これまでの研究によれば、ティーチ・フォー・アメリカの教員が教えた生徒は、 教員免許を保有する教員らに教えられた生徒と比べて成績がよいか、 成績に差がないということが明らかになっています。(P.156)
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教育経済学なる学問を初めて知った。少人数教育などの政策の効果を統計学などを使って経済的に分析するものだ。これにより、一般的に効果があると思われていたものが、その効果を科学的に分析できるという。この本はそれを紹介したもの
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学力をデータで検証してみせたものであり、説得力がある。ただこのデータが日本には少なくほとんど外国のものであるのが残念だ。『ご褒美で釣るのはいけない?』に対してOKだが、釣り方によって効果の出具合がこんなにも違うということをきっちり科学的根拠を基に証明してくれる。子どもが小さい家庭...
学力をデータで検証してみせたものであり、説得力がある。ただこのデータが日本には少なくほとんど外国のものであるのが残念だ。『ご褒美で釣るのはいけない?』に対してOKだが、釣り方によって効果の出具合がこんなにも違うということをきっちり科学的根拠を基に証明してくれる。子どもが小さい家庭では一読の価値あり。
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できる限り純粋なデータに基づいて教育方法・教育政策について考察する。一見すると当たり前にも思えるこのような姿勢は、教育界においては実は意外と軽視されすぎていたのではないか。 伝説の教師や教育の専門家などをテレビで目にすることは多いが、彼らの言うことが絶対に間違っているとまでは言...
できる限り純粋なデータに基づいて教育方法・教育政策について考察する。一見すると当たり前にも思えるこのような姿勢は、教育界においては実は意外と軽視されすぎていたのではないか。 伝説の教師や教育の専門家などをテレビで目にすることは多いが、彼らの言うことが絶対に間違っているとまでは言わないものの、その多くが自身の経験のみに裏付けられた体験談の域を出ていない気がしていた。そのくせ彼らが「専門家」で少なくとも「現場を知っている」がゆえ、なんとなくそれに反論するのも躊躇われる雰囲気が醸成されていたような気がするのである。もちろん、経験が悪いと言っているわけでもなく、経験は重要だろう。でも、個人の経験だけに基づいて大局的に教育論を展開することは危険だ。いくら現場を知った専門家とはいえ、その経験は極々限られた範囲のものなのだから。 本書はそのような現場に一石を投じた良書だ。著書は、ある教育方法や教育政策を、純粋に科学的見地に立ってその是非を論じようと試みている。少人数学級の是非、褒めることによる効果、テレビやゲームの影響など、これまでほとんど感情論でしか論じられてこなかったこれらの点も、科学的根拠に基づいて現時点でのその是非が示されている。「もっとも収益率が高いのは、子どもが小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)です」「非認知能力への投資は、子どもの成功にとって非常に重要であることが多くの研究で示されています」「私たちが期待しているほどに、学校の資源は生徒の学力に影響を及ぼしてはいないかもしれません。そうだとすれば、学力テストの県別順位は、単に子どもの家庭の資源の県別順位を表しているにすぎない可能性もあるのです」などの指摘も印象的で興味深い。 逆に、科学的根拠が絶対的だとも言えないかもしれない。しかし、経験談、教育専門家や伝説の教師なるものが語る曖昧な教育論から脱するためには本書のような科学的思考方法が教育界にももっと持ち込まられるべきであると思う。
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