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「ゆらぎ」と「遅れ」 の商品レビュー

4.5

4件のお客様レビュー

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2017/03/05
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※このレビューにはネタバレを含みます

今年一番と言っても良い。良書。 一般的にミクロの物理現象である「ゆらぎ」「ノイズ」「遅れ」という不確実性についてのお話。普通の人は興味がない事柄を具体例と抽象をうまく結び付けていて興味深い本となっている。 ゆらぎ ・・・共鳴により増幅する。スポーツで言えばサーフィン、ブランコ(リズムとタイミングで力を得る) ラジオは回路の振動数と電波の周波数を合わせる共鳴運動だし、吊り橋の崩壊は吊り橋の固有振動数と行進の振動数が一致した時にしばしば起こる。その他、共鳴を利用した器具として電子レンジがある。 共鳴が好ましくない場合、ゆらぎをゆらぎで止める制振という方法が伝統的にある(五重塔など) ノイズ・・・ブラウン運動やランダムウォークなど 適度なノイズがあるほうが生体の機能に有効になりえる(確率共鳴) 遅れ・・・マイクのハウリング、経済のJカーブ効果 バランスが良いとは「ゆらぎ」による「遅れ」が少ない事を示している。この時に大事な考え方はゆらぎでゆらぎを切る(フィードバック制御を止める回路を持つ)という事が大事なようだ。ゆらぎを切る為には制振構造である事と遊びやリラックスという言葉がキーとなる。 条件付き確率→ベイズの定理

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2015/11/15

タイトルに魅かれて購入。「渋滞学」的な新しさがあるのではないかと期待したが、そこまでではなかった。おもしろそうな話題が満載かと思ったが、誰かに話したいと言えるほどのものを新しく入手することはできなかった。モンティ・ホールの問題なんかは、たぶん野崎先生の本で知ったときはとても新鮮で...

タイトルに魅かれて購入。「渋滞学」的な新しさがあるのではないかと期待したが、そこまでではなかった。おもしろそうな話題が満載かと思ったが、誰かに話したいと言えるほどのものを新しく入手することはできなかった。モンティ・ホールの問題なんかは、たぶん野崎先生の本で知ったときはとても新鮮ですぐに人に話した。そして、たぶんそのときは「腑に落ちる」形で理解した。今回は数式を追って説明を納得することはできたが、分かった!という思いにはなれていない。実を言うと、著者が、難解になることを避けようとして数式が登場する章を1つにまとめておられるのだが、その6章だけが印象に残っている。おそらく、数式を追うために時間をかけて読んだからだろう。「ゆらぎ」というのは以前からよく聞く言葉だけれど、「遅れ」というのはたぶん初めてで、ここに何か新しいものが期待できるような気はいまもしている。本書を通してその実感がもっと得られれば良かったのだが。ネタの選び方かな?文章の書き方かな?野崎先生の本は、本当に何冊読んでもわくわくするんだけどな。西成さんの本も、渋滞・無駄・誤解とだんだん「わくわく度」が落ちていってるのだけど、それはどこから来るのか?私だけでしょうか?

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2022/06/01

不確実なものは、不確実だからいいんじゃないか、と思うけど、それをも数理学で解こう、ということか。でも著者は、高校は文系コースでありながら、リベラルアーツで物理を学ぶことになり、大学で数学を教えるという、実は文系タイプだというから、期待が持てる。 「ゆらぎ」は悪ではない。これはな...

不確実なものは、不確実だからいいんじゃないか、と思うけど、それをも数理学で解こう、ということか。でも著者は、高校は文系コースでありながら、リベラルアーツで物理を学ぶことになり、大学で数学を教えるという、実は文系タイプだというから、期待が持てる。 「ゆらぎ」は悪ではない。これはなんとなくわかる。しかし、「遅れ」もかならずしも悪ではないという。ゆらぎが空間的な概念であるのに対して、遅れは時間の概念である。じゃあ、ゆらぎの感覚を遅れに持ち込んだら。時間の流れ自体が前後するようなことがあったら。この概念は著者の力量を超えているというから、僕も届かないところにあるが、こういう話だと食いついてしまうなあ。 数式も出てくるが、そんなに堅苦しい本ではない。ゆらぎの説明では、刑事が犯人を追うときに、一斉に追うのか手分けして別々に追うのがいいかが説明の引き合いにでてくるし、遅れの説明には、イグ・ノーベル賞受賞作品である「スピーチジャマー」も出てくる。うるさいやつに、自分の喋った内容を0.2秒遅らせて聞かせると、どうにもうまくおしゃべりができなくなってしまうという。 さて、ゆらぎと遅れを合わせてかんがえる、という当たりから、少し理解があやしくなってくる。 時間が絡むと、学術の世界では「重い」のだそうで(そりゃそうだ)、だからこそ、わかるともわからないともいえない思索が幸せだ、と。同意です。

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2018/10/19

振動とノイズとフィードバック遅れが、工学から社会・生命にいたる様々な現象の原理に存在することを、数式を極力使わずに、読みやすく紹介している。 シカゴ大学での、南部陽一郎の孤高かつ穏和な知性の雰囲気についてのエピソードが興味深かった。

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