漫画編集者 の商品レビュー
▼図書館で「衝動借り、ジャケ借り」した一冊。2015年の本のようです。至極単純明快な仕掛けの本で、複数の漫画編集者の方々にインタビューをして、それをまとめたもの。聞いているのは、キャリアの初めからの成り行きや、仕事への思いなど。 ▼そう書くとなんだか芸の無い本に思えますが、かな...
▼図書館で「衝動借り、ジャケ借り」した一冊。2015年の本のようです。至極単純明快な仕掛けの本で、複数の漫画編集者の方々にインタビューをして、それをまとめたもの。聞いているのは、キャリアの初めからの成り行きや、仕事への思いなど。 ▼そう書くとなんだか芸の無い本に思えますが、かなり面白かったです。衝動借り、ジャケ借りした、「これは面白いんじゃないかな」という期待を裏切られなかったです。そもそも、インタビュー本って僕は好きです。実は、<ノンフィクション>という形式の最も充実した、最も魅力的な形式なんじゃないかなあと。「ヒッチコック×トリュフォー」などなど…。 ▼とは言いながら、正直、それほどの「漫画読み」ではないです。ここで言及された漫画はほぼ100%読んでいません。ただなんとなく、「編集者っていうのは、一概に言えないけれど、こういう商売なのかなあ。どうなんだろうなあ」という、さほど切迫性のまったくないぼんやりとした好奇心が満たされた、と言えば良いでしょうか。 ▼インタビューですから。語り手は現役でご活躍の方ですから。当然言えないことも山ほどあるでしょうし、どこかのポイントではどうしても自慢めいたことにもなります。だって、箸にも棒にもかからない、ダメダメな編集者だったらこの企画で取り上げられることはないでしょうから。それを若干差し引いても、それぞれの方の職業の喜怒哀楽みたいなものは伝わります。それは、自分が知らない職業の世界だったら、なんであれ、かなり面白い。 ▼村上春樹さんの「アンダーグラウンド」もインタビュー本ですが。この手の本を作るのは実は聞き手/作り手/編集者の側の姿勢や矜持や道徳が問われます。この「漫画編集者」の一冊は、そこのところが好感を持ちました。 第1章の編集者さんが、アマチュアの漫画好きからそのまま漫画特集雑誌の作り手に、そして漫画編集者にと変遷していった人物で。いわゆる超大手出版ではない。この人をトップに持ってきたことが、この本の作り手側の、全てのインタビューを終えた後の<思い>だったんだろうなあ。 ▼この本の中の、とある漫画編集者さんが、「知らない人にも漫画単行本を買ってもらいたい。タイトル、表紙デザイン、帯につけるコピー。これが全てで、これ次第で変わってくるから」と言っていて。「へええ、そんなもんかなあ」と何気なく読んだんです。よく考えたら、この「漫画編集者」を手に取って読んだのも、まさにタイトル、表紙デザイン、表紙に乗ってるコピー的な言葉。その三つしかなんの手がかりも無く、でもその三つで「面白そうだな」と思ったのでした。プロの仕事。これはつまり、本を作る人について、本を作る人が作った本なんですね。
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漫画編集者ってバクマンに出でくるような新人マンガ家の並走者というイメージでした。本書でインタビューされている方々も優秀な職能の発揮者としてピックアップされているからでしょうが、本当に表現者に負けないくらいに「悩み、考え、決断し、喜び、傷ついて」編集者という存在になっていった人ばか...
漫画編集者ってバクマンに出でくるような新人マンガ家の並走者というイメージでした。本書でインタビューされている方々も優秀な職能の発揮者としてピックアップされているからでしょうが、本当に表現者に負けないくらいに「悩み、考え、決断し、喜び、傷ついて」編集者という存在になっていった人ばかりです。昔は江上英樹さんのエピソードが語られているように大御所漫画家の原稿を夜の仕事場に取りに行く、マネージャーには会えるけど作家には会えない、みたいな役割だったのかもしれませんが(それでも得ることを多かった…)たぶん漫画雑誌の種類が爆発的に増え、読者から作者への移行が大量に進んだ80年代にその存在を確固たるものにしたのかも、と想像しました。ならば漫画雑誌の数が減少し、ネットによって表現そのもののハードルが下がった現在、漫画編集者は何をする人であるのか?そのためのキーワード「生きている無駄」。表現者の表現したいことを時代の受け取りたいことにしていくための「あーでもないこーでもない」というコミュニケーション。最初の読者という立場はこれからさらに深いものになっていくことになるのだと思いました。それが出版社のサラリーマンかどうかはわかりませんが…
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今更手に取ったんだけど、マンガ関連の産業/研究に関わる人にとって良質なインタビュー集だった。研究目線で思わず読んだけど、サラリーマンが表現者と向き合うにあたっての心意気みたいなものとしても読める。
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全てを読むのはしんどかった。特に最後の方。 しかしそれこそこの本で語られた「他の人の物語を受けて、思考を深める」ということに繋がっているのかと、今読み終わって思う。 漫画家さんが編集者を漫画にしているのも良かった。漫画が1人の作品ではないと伝わる。 色んな味のマカロンの詰め合わせ...
全てを読むのはしんどかった。特に最後の方。 しかしそれこそこの本で語られた「他の人の物語を受けて、思考を深める」ということに繋がっているのかと、今読み終わって思う。 漫画家さんが編集者を漫画にしているのも良かった。漫画が1人の作品ではないと伝わる。 色んな味のマカロンの詰め合わせみたいな本。 上顎にひっつくし、パサパサもする。けど味や中のクリームの深さとその細やかさがどうにも美味しい。 きっと、もっと漫画の将来を案じたり難しく考える人にとっては良い材料だと思った。 単純に漫画の趣味が高じた人には最後の方は重すぎるかも。けれど読み切ったとき、漫画をもっと愛せると思う。触りだけでも大丈夫。読んでみて
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漫画編集者という黒子をインタビューすることによってこれからの出版業界は何が必要で、何をしていかなければならないかが浮き彫りにされている。 それは筆者の地の文を借りれば 漫画とは何を信じるかである。 インターネットやスマホの普及により 時間を何かがとりあう状況が続いている。 何...
漫画編集者という黒子をインタビューすることによってこれからの出版業界は何が必要で、何をしていかなければならないかが浮き彫りにされている。 それは筆者の地の文を借りれば 漫画とは何を信じるかである。 インターネットやスマホの普及により 時間を何かがとりあう状況が続いている。 何かに追われるかのような 生活を多くの人がしている。 それをどうなんですか?やめませんか? と一言で言うと、 そんな簡単に今を捨てられないよと 誰かが答える。 漫画という大いなる蛇足は 現状ではスマホには負けている。 要約された要素だけを取り出した「まとめ」こそが時間をかけて読むべきもの至上主義なのである。 ただここに出てきている市井の人々である漫画編集者の言葉は漫画家という天才を相手にしてきただけあってすぐに日常生活に反映できる言葉はないけど深く胸にささって思い出す言葉は投げかけてくれている。
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「調理場という戦場」、「善き書店員」の木村俊介氏の新刊は漫画編集者へのインタビュー集。コミックリュウの猪飼幹、ビックコミックスピリッツの山内菜緒子、ヤンマガの三浦敏宏、Gファンタジーの熊剛、IKKI・ヒバナの江上英樹を相手にした長回しのインタビュー。舞台に上げられた彼らにピンスポ...
「調理場という戦場」、「善き書店員」の木村俊介氏の新刊は漫画編集者へのインタビュー集。コミックリュウの猪飼幹、ビックコミックスピリッツの山内菜緒子、ヤンマガの三浦敏宏、Gファンタジーの熊剛、IKKI・ヒバナの江上英樹を相手にした長回しのインタビュー。舞台に上げられた彼らにピンスポットが当たり、自分たちの人生を読者個人に向けて語っているかのような独特なインタビューのつくりは著者ならではといえる。 ちょうど私自身が月に2〜30冊の雑誌を買って読んでいた頃と重なる時代の話も多く、あの雑誌、あの作品にはそんな裏話があったのか……と驚くことも多かった。ヤンサン休刊前後の小学館社内の話とか、スクエニの編集者・漫画家大量移籍の頃の苦労話とか。 編集者は漫画を描けない。個人出版やネットで直接配信する作家も現れ、これからの時代、不必要な職業となるかもしれない。大企業の中でどうマネタイズするかを大変苦心している声も聞こえる。けれど作家と二人三脚で作品を作り、読者と作家の橋渡しをする彼らの仕事ぶりには、読んでいてたびたび目頭が熱くなった。
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5人の漫画編集者のインタビューで構成されている本。私が尊敬している猪飼幹太氏のインタビューが50ページ以上も掲載されており、迷わず購入した。猪飼さんは、ずっとまんが情報誌「ぱふ」の編集長を務めていた方。私が好む漫画は周りの友達と毛色が全然違っていたこともあり、私は「ぱふ」から「漫...
5人の漫画編集者のインタビューで構成されている本。私が尊敬している猪飼幹太氏のインタビューが50ページ以上も掲載されており、迷わず購入した。猪飼さんは、ずっとまんが情報誌「ぱふ」の編集長を務めていた方。私が好む漫画は周りの友達と毛色が全然違っていたこともあり、私は「ぱふ」から「漫画の読み方」を学んだといっても過言ではないのである。当時の「ぱふ」が紹介する漫画は、そのくらい私の琴線に触れるものばかりであった。私が「ぱふ」を読んでいた時期と猪飼さんが編集長だった時期がちょうど重なっていることもあり、猪飼さんは私の師匠のような存在だと勝手に思っていたりする。高河ゆんの漫画の素晴らしさを書かせたら、猪飼さんの右に出る人はいないと断言できるし。(私の中で伝説となっている「記事」について本書で触れられており、それだけでも買って良かったと思った) 猪飼さんは、現在は徳間書店「コミックリュウ」の編集者として、12本の連載を抱えているとのこと。ヒット作やアニメ化作品も手掛けており、今後の益々の活躍を期待してやまない。
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マンガ編集者とはなんぞや。 漫画編集者のインタビューを通じて一般的な仕事論にまで通じる哲学にもふれることができる。 あつい本でした。
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