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長いお別れ の商品レビュー

4.2

134件のお客様レビュー

  1. 5つ

    49

  2. 4つ

    47

  3. 3つ

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2017/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一話ずつ『オール讀物』に発表しているせいか、一冊の本としてまとまったとき、時の経過の記載が不十分(まして発表順でなく入れ替えてまである)。 なんだか妻であり母である曜子さんの書き方に不自然を感じる。妻としては普通だが、母としてはずいぶんな書き方である、なんだか著者の母っていい人ではなかったのかなぁと勘ぐってしまうほど。 なんだか『最期は自宅で過ごしたい』『馴染んだ地元で』言うのはたやすい。半分以上の人が自宅で最期を迎えたいというが、たぶんそれは男性の意見だと思う。夫は妻に看取ってもらいたいだろうが、女は男の介護などに期待などできない。お粗末な介護よりプロの介護士にお願いし気分よく過ごしたい。自宅介護も結局は家族の負担になり続かず、施設入所の順番待ちの間の訪問介護になる。大変だねぇ 超超高齢社会。

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2017/12/14

認知症が進む父親と、父親を明るく囲む家族。暖かく良い小説だった。作中でだんだん症状が進み、徘徊する様子、会話すらできなくなる様子がリアルだけど、それぞれの章の終わりがちょっとしたほほえみの情景で締められていて、希望が持てる。

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2017/07/03

何か覚えのあるタイトルで既読だ思っていたのですが、レイモンド・チャンドラーの同名小説ですね。 認知症になった中学の元校長とその介護に明け暮れる妻、そして3人の娘たちの話。 亡くなった私の祖父や父母の時の思い出や、将来の自分達夫婦のこともあって、少々身につまされて、むしろ暗澹たる...

何か覚えのあるタイトルで既読だ思っていたのですが、レイモンド・チャンドラーの同名小説ですね。 認知症になった中学の元校長とその介護に明け暮れる妻、そして3人の娘たちの話。 亡くなった私の祖父や父母の時の思い出や、将来の自分達夫婦のこともあって、少々身につまされて、むしろ暗澹たる気分で読み始め。でも途中から面白くなってきました。何なんでしょうね、この中島さん特有のユーモアは。真面目にシリアスな話題を取り上げても、妙な可笑しみがにじみ出てくる。 さらりとしたエンディングで心地よく読了。

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2022/05/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

*帰り道は忘れても、難読漢字はすらすらわかる。 妻の名前を言えなくても、顔を見れば、安心しきった顔をする――。東家の大黒柱、東昇平はかつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめたが、十年ほど前から認知症を患っている。ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう、迷子になって遊園地へまよいこむ、記憶の混濁--日々起きる不測の事態に右往左往するひとつの家族の姿を通じて、終末のひとつの幸福が描き出される。著者独特のやわらかなユーモアが光る傑作連作集* 泣きながら読みました。 けれどもそれは、温かく湧き出る涙で。 こんなにも愛情たっぷりに、あたたかく、優しく、凛とした強さで書かれた物語に出会えたことに、心から感謝します。 そう、忘れたとしても、お別れがきたとしても、そこには確かに存在する何かがある。見えないけれど、大切なあたたかい何か。それを、いつも心に留めておきたい。

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2017/06/19

私の父親が認知症なので、自分と重ねて読ませていただきました。 私の知る父親ではないのが切ないですが、少しでも長生きして欲しい気持ちは変わりませんね。

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2017/06/15

認知症の父を巡る三姉妹、そして支え続ける妻の物語。認知症の家族がいるだけで、全ての予定や生活が狂い、苦しさがやってくるのは当たり前。その大変さは訥々と書かれているのであるが、なぜか悲壮感はない。それはきっとネガティブな表現が少ないからだ。特に妻である曜子さん、パワフルさとなんとし...

認知症の父を巡る三姉妹、そして支え続ける妻の物語。認知症の家族がいるだけで、全ての予定や生活が狂い、苦しさがやってくるのは当たり前。その大変さは訥々と書かれているのであるが、なぜか悲壮感はない。それはきっとネガティブな表現が少ないからだ。特に妻である曜子さん、パワフルさとなんとしても夫の世話をしたい、単純な愛では片づけられない夫への思い。これこそ「絆」なんだろうと感じた。言葉を忘れても、人物認識できなくても絆は残る。それを描ききってるのが素晴らしい。迎えるラスト。校長先生繋がり。意外な展開。でも心温まる。

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2017/06/11

Twitterで、評判になっていると知ったこの本 歳をとっていくと、認知症まではいかなくても 物忘れや、人に説明すること、理解することが 少しずつ難しくなっていくのかなと親を見ていて思う でも、だからといって、それを責めたり馬鹿にしたくないし 長生きすることに後ろめたさや不安ばか...

Twitterで、評判になっていると知ったこの本 歳をとっていくと、認知症まではいかなくても 物忘れや、人に説明すること、理解することが 少しずつ難しくなっていくのかなと親を見ていて思う でも、だからといって、それを責めたり馬鹿にしたくないし 長生きすることに後ろめたさや不安ばかりになって欲しくない 一生懸命生きてきたんだから、堂々と生きていて欲しい この本の東昇平さんは、すっかり認知症で 老老介護の奥さんや、娘3人を振り回しているけど 周りの人間の優しさや、本人のユーモア、 反抗期盛りの孫の人間性などに影響を与えたり 人生に無駄なことは無いんだよねと思える 身に積まされることもたくさんあるけど、 読んでよかったなと本当に思った

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2017/05/30

定年退職し、3人の娘も独立、妻と平穏な隠居生活を送っていた元教師。認知症と診断された彼を中心とする妻や娘たちとの家族ドラマを描いた連作短編集。認知症家族の介護という現代の重いテーマをとりあげているが、深刻さはなく、どことなくユーモラス。10年間もの介護の時間を「長いお別れ」と称し...

定年退職し、3人の娘も独立、妻と平穏な隠居生活を送っていた元教師。認知症と診断された彼を中心とする妻や娘たちとの家族ドラマを描いた連作短編集。認知症家族の介護という現代の重いテーマをとりあげているが、深刻さはなく、どことなくユーモラス。10年間もの介護の時間を「長いお別れ」と称して、皆が楽しんでいる風。 作者の言いたいことは、介護老人を抱える家族にだって、介護以外にそれぞれの人生があるってことなんだろう。高齢出産や子供の不登校、海外生活、失恋、自身の病気、そして「3・11」、家族の中心話題は常に認知症老人じゃない。妻や娘、義理の息子たちはそれぞれ人生の問題を抱えつつ、その時々で介護に向き合いながら生きている。 夫が家族のことを忘れていくことに周囲は同情するが、妻は「それがどうした」と言い放ち、世話を続ける。そんな割り切りができる強さが、介護には必要なんだろう。

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2017/05/05

アルツハイマーを患った父と、その妻そして3人の娘たちの10年にわたる物語。 いちばん最初は「そうだったか?」と「すぐ忘れちゃう」程度のお父さんだったのが、章が進むにつれ、症状は進む。10年であるから、娘たちの人生も進むし、明るく元気な母の時間も過ぎる。 「お別れ」への道を歩んでい...

アルツハイマーを患った父と、その妻そして3人の娘たちの10年にわたる物語。 いちばん最初は「そうだったか?」と「すぐ忘れちゃう」程度のお父さんだったのが、章が進むにつれ、症状は進む。10年であるから、娘たちの人生も進むし、明るく元気な母の時間も過ぎる。 「お別れ」への道を歩んでいるのだし、お父さんが昔どおりではなくなっていく姿をつぶさに見るのは胸ふさがれるものがあるのだが、なぜか不思議と暗さはない。それどころか、ところどころに思わず笑っちゃう箇所も多い。 それはひとえに、明るく気丈な母と、なんだかんだ言いながら連携プレーがしっかりしている娘たちによるところが多い。こういう家族は、いいなあ。

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2017/05/01

現代版、恍惚の人、か。やはり女は大変。忙しく動く曜子さんのチャーミングさに救われる。 網膜剥離の術後に夫の病室を訪れる部分が泣けた。

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