江戸日本の転換点 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
新田開発によって循環型社会の維持には、江戸時代の技術力では限界があったと述べられています。ものを作ることにおいて、人々の苦労は絶えなかったでしょう。だから知恵を出して、物の使い方から人の所作に至るまでそれぞれ深い意味があったのだと思います。今は便利な世の中で、お金を支払えば何でも手に入るので物をあまり大事にしないように思います。飲食店での食べ残しの量には驚きますし、空き家が放置されどんどん増えるいっぽう、新築住宅の建設が後を絶ちません。無駄なことが溢れている、今を感じます。
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「水田にささえられた江戸時代の社会は、その根底において持続可能ではなかった」というのが本書の結論。新田開発のため、本来であれば牧草地として残さないといけない土地まで水田になってしまい、結果的に農耕を助ける牛馬を維持できないようになったこと。実りを多くするために肥料が必要だが、人や...
「水田にささえられた江戸時代の社会は、その根底において持続可能ではなかった」というのが本書の結論。新田開発のため、本来であれば牧草地として残さないといけない土地まで水田になってしまい、結果的に農耕を助ける牛馬を維持できないようになったこと。実りを多くするために肥料が必要だが、人や家畜の排泄物ではとうてい足りず、油かすや大量の鰯が投入されていたことなどが明らかになる。百姓が、年貢としておさめる白米のほか、自分たちで食べるようには赤米(インディカ種)をつくっていなんてことも初めて知った。
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朝日の柄谷行人さん書評から読んでみました。 エコ社会とかTPPとか今の農業や社会を考えるのに役立つ作品だと思う。
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恵贈に与る。耕地面積がグングン伸びた「開発の17世紀」と、耕地も人口も頭打ちとなった18世紀とを切り分けて、それぞれに生じた問題を多面的に論じた好著。大開発の時代から停滞の時代へ、という流れは様々な教科書で指摘されているが、武井さんは停滞の要因を土地拡張の限界だけに求めない。むし...
恵贈に与る。耕地面積がグングン伸びた「開発の17世紀」と、耕地も人口も頭打ちとなった18世紀とを切り分けて、それぞれに生じた問題を多面的に論じた好著。大開発の時代から停滞の時代へ、という流れは様々な教科書で指摘されているが、武井さんは停滞の要因を土地拡張の限界だけに求めない。むしろ、土地が開発され尽くしたことによって生じた問題(草山の枯渇、肥料多投型農業へのシフト、水害・土砂災害など)を直視する。江戸時代の本、農業史の本という枠を超えて、文明史を考える本として有益。
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