歴史と私 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
これぞ歴史学者、というのが良く分かった。ただ過去の文献を調べるだけではなく、目録作成などアーカイブもしっかりやろうとするあたりが一流の歴史学者だということを感じさせる。実際にその人物から話を聞いて調べる「オーラル・ヒストリー」という言葉は初めて知った。 岸信介や中曽根康弘、渡邊恒雄へのインタビューなどはこれらの人物を知っているので生々しさが伝わってきて面白かったが、知らない人物へのインタビューの部分はイマイチピンとこなかった。自分の知識がもっと豊富になって読み直すと、もっと面白いと思える本かもしれない。
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日常の何気ない選択が人生を決定的に変えることがある。もしもデモに参加していなければ樺美智子は長生きしたことだろう。ブントと訣別していた可能性もある。国史を研究していたわけだからひょっとすると保守論客になってもおかしくはない。今日の行き先次第では自分が死ぬこともあり得るのだ。 ht...
日常の何気ない選択が人生を決定的に変えることがある。もしもデモに参加していなければ樺美智子は長生きしたことだろう。ブントと訣別していた可能性もある。国史を研究していたわけだからひょっとすると保守論客になってもおかしくはない。今日の行き先次第では自分が死ぬこともあり得るのだ。 https://sessendo.blogspot.com/2020/09/blog-post_52.html
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東大名誉教授の日本近現代史学者である伊藤隆氏の自伝というか、オーラル・ヒストリー。1人の歴史家の人生として、非常に面白かった。 著者は、学生当初こそマルクス主義を信奉していたが、その後、反マルクス主義、実証主義を貫き、反対の立場の歴史学者からは、「反動歴史学者」や「御用学者」と非...
東大名誉教授の日本近現代史学者である伊藤隆氏の自伝というか、オーラル・ヒストリー。1人の歴史家の人生として、非常に面白かった。 著者は、学生当初こそマルクス主義を信奉していたが、その後、反マルクス主義、実証主義を貫き、反対の立場の歴史学者からは、「反動歴史学者」や「御用学者」と非難されてきた。著者の主張は、「マルクス主義の一般法則、発展段階説と階級闘争論で日本近代史を読み解こうとすると大変な矛盾が生じる。それを解決するためには、前提(=マルクス主義;評者注)を取っ払わなければならない」というもので、今から思うと至極当然のことと感じるが、マルクス主義史学が歴史学会を席巻していた当時に一貫してこのような主張をしてきたことは大変勇気がいることだったろうと思うし、敬意を表する。ただ、東大受験生の入試答案を採点していると、受験生の大半が過激な左翼としか思えないという感想も述べられていたが、それは言い過ぎではないのかと感じるなど、著者にも「反共」というバイアスが結構かかってるのではないかという印象も持った。また、「新しい歴史教科書をつくる会」に関わったのは著者にとってあまり良い判断ではなかったのではないかと考えるが、そのことについてあまり触れられていなかったのはちょっと物足りなかった。 本書で述べられている、歴史学者の人的つながりの話や、オーラルヒストリーのインタビュー等での人間模様はなかなか興味深く、面白いものだった。特に、平泉澄氏へのインタビューのエピソードが印象深かった。 本書を読んで、近現代史史料の開拓と蒐集の重要性もよくわかった。近現代史史料の整備という点で著者の功績は大きなものがあると感じた。著者がいなければ、今頃、散逸して所在不明になっていた史料がたくさんあったのではないかと思われる。
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日記・書簡の史料収集、歴史観論争、そして政界、官界へのオーラル・ヒストリー。近現代史を切り開く。 日本近現代史を牽引してきた大家が、八十年以上にわたる自らの歩みを語る。その秘話やエピソードは、歴史の面白さを伝えると同時に、史料を集め、次代へ引き継ぐ歴史家の責任の重さをも物語る。史...
日記・書簡の史料収集、歴史観論争、そして政界、官界へのオーラル・ヒストリー。近現代史を切り開く。 日本近現代史を牽引してきた大家が、八十年以上にわたる自らの歩みを語る。その秘話やエピソードは、歴史の面白さを伝えると同時に、史料を集め、次代へ引き継ぐ歴史家の責任の重さをも物語る。史料を駆使して近現代史を切り開いた泰斗の稀有な回想録。(2015年刊) ・まえがき ・第一章 共産主義との出会いと訣別 ・第二章 昭和史へー史料収集事始め ・第三章 木戸日記研究会のことなど ・第四章 革新とは何か ・第五章 ファシズム論争 ・第六章 近衛新体制をめぐる人々 ・第七章 戦前・戦中・戦後の連続性 ・第八章 茨城県議会史と東大百年史 ・第九章 明治の元勲から岸・佐藤まで ・第十章 昭和天皇崩御 ・第十一章 インタビューからオーラル・ヒストリーへ ・第十二章 竹下登、松野頼三、藤波孝生 ・第十三章 海原治、渡邉恒雄、宝樹文彦 ・終 章 史料館の挫折と人物史料情報辞典 ・あとがき ものすごく明け透けに書かれており、めっぽう面白い。残念なのは人物索引が欲しいところ。
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法学部の武田先生をはじめ知り合いが沢山登場していた。ちょっと驚いたのは、先年亡くなった経済学部の加藤瑛子先生(日本経済史担当)が登場していたこと。東大100年史の編纂に携わったことがあるらしい。また東日本大震災時の佐賀香織さんとのエピソードも出て来る。 また116ページに後藤隆...
法学部の武田先生をはじめ知り合いが沢山登場していた。ちょっと驚いたのは、先年亡くなった経済学部の加藤瑛子先生(日本経済史担当)が登場していたこと。東大100年史の編纂に携わったことがあるらしい。また東日本大震災時の佐賀香織さんとのエピソードも出て来る。 また116ページに後藤隆之助保管の海軍省調査課の史料がうちの大学に移管されたことも記してある。 著者がおこなった数々の聴き取りのエピソードが面白いのはもちろんだが、現役研究者とのさまざまな人間関係とか諸々が色々と滲み出ていて(時にははっきり出ていて)、そっちのほうがむしろ業界的には興味をそそられる部分があることは否めないかも。
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歴史観への賛否はいろいろあろうが、この著者の史料収集・インタビューの積み重ねなくして、今日の日本近現代史研究はありえなかった。その歩みが凝縮された一冊となっている。 若き日の共産主義との関わりなど、「こういうことが知りたかったんでしょ」と言われているような気分に浸りながら、久々の...
歴史観への賛否はいろいろあろうが、この著者の史料収集・インタビューの積み重ねなくして、今日の日本近現代史研究はありえなかった。その歩みが凝縮された一冊となっている。 若き日の共産主義との関わりなど、「こういうことが知りたかったんでしょ」と言われているような気分に浸りながら、久々の夜なべで読了。 しかし、終章が「史料館の挫折」となるなど、決して順風満帆ではなかったというのが実は意外で、何か物悲しい感じがした。
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実質的に歴史学界裏面史の回想禄。著者の破天荒ぶりと同時に、東大法学部の岡義武が真面目な人だったということが印象的であった。
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