武道館 の商品レビュー

朝井リョウ(著者)

2024/06/15

2015年の書籍

当時のAKBやモーニング娘。、ももクロを思い浮かべながらサクサク読めた。

中高生のアイドルたちが武道館を目指し、学校生活も送りながら日常と非日常との狭間で揺れる。
少しづつ知名度が上がって移動手段が変わったり、ダイエットに苦しんだり……すごくリアリティがあって良かった。

と同時に、今のアイドルはもっとプライバシーもないし、SNSはつつかれるし、可哀想だな……

そして心理描写が優しくて穏やか。
主人公愛子の目指す武道館と、幼なじみ大地の目指す武道館を掛け合わせてあるのもなるほど。
そうですよね、武道館って本来武道をする場所。

最後の別な時間軸での武道館の描写もいいなあ。

読みながら後悔したのは、出版された当時に読まなかったこと。
朝井リョウさんの作品は旬な時に読むのがベストな気がする……
時代背景など、その時読むとまた感慨深いのかもしれない。

2024/05/21

「アイドル」
限られた少女が、限られた時間で、ファンに夢と希望を与える仕事。
そんな輝かしいポジションの陰で繰り広げられる、女の子たちの苦悩と葛藤が詰め込まれている。
本当に実在するアイドル？と錯覚してしまう程、一人一人の人間性が描かれていて、物語の中盤には既にファンになっていた。
最近は「推し活」という言葉が広まったように、アイドルという存在がより世間に定着した。
それと共に以前よりアイドルとファンとの距離が近すぎているように感じる。

彼女たちは、「アイドル」を選択したと同時に何かを捨てている。その上で、私たちに笑顔とパフォーマンスを届けてくれている。
ファンはそれを理解し、適切な立場で適切な行動をしなくてはいけない。

アイドルに関心がない方が読んだら、ちょっと特殊な青春物語になるのかな？
誰かを推してるオタクに読んでほしい。

2024/04/27

世の中には正しいものなんてなくて、正しかったものだけがあるっていうのがパンチラインだった。朝井リョウ作品の終盤に出てくるキラーワードに毎度ゾクッとさせられる。
アイドルに憧れた女の子が自分のままアイドルを目指し、そのうちにアイドルとしての自分と一人の女性としての自分を選ばざるを得なくなったという話。アイドルではなくなった登場人物はアイドルではなくなった瞬間、一人称が滑り落ちてモノローグで語られる存在になる構成も面白かった。
碧はきっと自分の選択を正しかったものにできたのかもしれない。

2024/04/01

アイドルの心情を読み取るのが上手すぎる笑
ももクロ、エビ中、フルーツジッパーあたりを想像しながら読んでた

限りあるものをどう使うかにその人らしさが出る、って大地良いこと言うなぁ
無料で多くの情報が手に入るからこそ、
自分にとって価値のあるもの=お金を払ってまで得たいもの　の意味合いが強くなるんですね…

愛子・碧の苦しみも理解できるけど、自分の意思ではどうにもできない問題で悩まされるるりかも辛いよね

恋愛禁止、体型管理、進学やブランド品を持つことを嫌がられたり、ここまで自由がない上に有名税まで受け入れなきゃいけないなんて因果な商売すぎる

2024/03/28

3日で読み終われた。
ここ最近で一番面白かった。
・その事を好きだからこそその事について馬鹿にされると怒りが湧いてくる。というのが自分にとってもあればいいなと思う。
怒りっぽい人というのは自分を大切にしている人なのかもしれないと思った。

・今は色んなことが無料で手に入れる時代なので、色んなことが自分と等しい距離に置いてあるので、自分が何かを捧げることなく簡単に手に入れる事ができ、簡単に好きになれる、そして何が良いのかも簡単に分からなくなる。という事をは考えさせられた。

2024/03/20

過去のスキャンダルも脱退も、時間が経って集まればファンに"エモ"として消費されてしまう。いちアイドルファンとして、人の人生を消費している趣味であることを痛感してしまう。
ラストシーン、碧と愛子のその後は垣間見れたが、るりかはどうなっただろう。彼女も報われているといいんだけれど。

2024/03/03

人前に出る仕事は本当に大変だと思う。SNSがいちばん怖いような気がする。平気できついコメントを書く人もいるし、写真も載せられちゃうし。
どんどん新しいアイドルグループが出てきてそれぞれ魅力があって、推し活という言葉ができて、時代とともに好まれるアイドル像も変化していく。
共感する部分はなかったが、正しいと信じていたものが時代の変化によって、正しくなくなるという部分はほんとそうだと思った。また自分の考え方も変わるから、その時は正しかったけど今は間違いということもありそう。毎日選択の連続で振り返ってる余裕もないけど、正しかった選択として、自分がやってきたことを認めて生きていきたい。

•怒るということは、自分の中にある器の許容量や、形をさらけ出すということだ。

2024/02/02

アイドルファンじゃないからプライベートぐらい好きにしても良いのではと思うが、ファンからしたら自分の推しが熱愛とか言われたらやはりショックなものなのかな？

どちらにせよ自分が結婚できるわけでは無いのだから推しが幸せならそのほうが良いのでは？と思うのはアイドルを好きになったことがないから言えることなのかなぁ。

アイドルという仕事は自身が目立ちたがりなため気持ちよさそうな仕事だなぁと興味はあるが、やはりそれだけでなく大変なことも多いんであろうなぁ。

2024/01/23

最後切なすぎるストーリー
アイドルも女の子で生活するし、恋もする。
その恋や日常が暴露されるとやっぱりファンは嫌だよね。年をとった今ならわかるけど、10代の私ならわからないだろうな。
愛子の恋。小さい時からずっと想ってて私は何も変わらないのにって気持ちわかるなんだ。
でも、アイドルなんだよ。複雑。
最後に作者は、モーニング娘。それともAKB
ももクロ、そんな事を考えてたw

2024/01/07

仕事のため、やりたいことのためにどこまで自分の気持ちや情動を抑え込めるのか、それが尊いことなのか、おかしいのかといったことに思いを巡らせました。
正しいことなんてない、正しかったことだけがある。
そのセリフに自分が正しい生き方を求めすぎてしんどくなってしまっているようなことを感じる。自分のしたいこと、そういうものに素直になれるように生きたい。