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女装して、一年間暮らしてみました。 の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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2021/08/07

著者はドイツ人、元映像プロデューサーとしてかなりの成功を収めた後、自動車事故で九死に一生を得てから東洋哲学にはまったという人物。1959年生まれというからもう50代。そんな人が足もとの冷えにストッキングってよさそうだなと思ったことをきっかけに、女装してみたらいろんなことが見えてき...

著者はドイツ人、元映像プロデューサーとしてかなりの成功を収めた後、自動車事故で九死に一生を得てから東洋哲学にはまったという人物。1959年生まれというからもう50代。そんな人が足もとの冷えにストッキングってよさそうだなと思ったことをきっかけに、女装してみたらいろんなことが見えてきたという本。 男らしさを手放すことによる解放感や自由。一方で、女装することで、人から見られることを意識したり、気弱になったりする。ただ女装するだけではなく、「女子会」に出てみたり、婦人科検診まで受けてみたり、いろいろチャレンジしているところがおもしろい。ホルモンの分泌まで変わったということには驚いた。通りで襲われたときの描写は生々しくて、こんな大男が女装するだけで襲われる危険があるのかと思うと、実際女性は大変だなぁとへんなところで感心したり。  読み物としてまとまっているとは言いがたいし、一個人の例であって一般化できるものではないが、実体験ならではのおもしろさがある。

Posted byブクログ

2015/08/28

女装してみたかったからしてみた。女装で得られた男性性からの自由を、女装しなくても維持できると思えたからやめた。そんな話。性同一性障害者の記録ではない。 常に「自分は能力がある」「すぐれている」と表現し続ける必要がある男性のつらさ、見知らぬ人からも性的存在として見られ続ける女性のつ...

女装してみたかったからしてみた。女装で得られた男性性からの自由を、女装しなくても維持できると思えたからやめた。そんな話。性同一性障害者の記録ではない。 常に「自分は能力がある」「すぐれている」と表現し続ける必要がある男性のつらさ、見知らぬ人からも性的存在として見られ続ける女性のつらさ、そんなことが説得力をもって語られるから、女性が読んでも男性が読んでも、どこか思い当たることがあるんじゃないかな。 女子会で知り合った女友達と男装で出会ったら、女同士の親密性は失われ、「クリスチアーノ(女装していた時の名前)の方が好き」と言われてしまったあたり、女装しないと無くなってしまう女性性もある証でしょう。 しかし、実験したことを後悔していないなら、こんな半端な写真をジャケ絵にしないで、クリスチアーノとしてスカートとハイヒールで闊歩する写真を使えばよかったのに。 あと一つ、納得が行かないことがある。クリスチアーノがレイプされそうになったことを「セクハラ」にあったと表現するのは、事実の歪曲で、実験の公正を欠く。 ドイツでは見知らぬ相手からの性的な暴力を「セクハラ」と呼ぶのか? そんなはずないだろうと思う。

Posted byブクログ

2015/08/20

女性はよいというのが 著者も自認するように すこし極端だが ちょっと女装してもいいかな と思えてくる程度には 女装の魅力が伝わる 女装するだけで 女性と仲間意識?が生まれ 女子会に呼ばれてしまう いかに服装、化粧、格好で 人を判断しているかということか

Posted byブクログ

2015/07/03

この本は、高野秀行さんがツイッターに感想を書いていたので知った。自分ではまず目がいかない本がよく紹介されていて、それが好みではなくてもインパクト大であるものが多い。これもそんな一冊。 ゲイというわけではなく(妻もいる)、女装趣味でもない、世間的には成功者である男性が、一年間女性...

この本は、高野秀行さんがツイッターに感想を書いていたので知った。自分ではまず目がいかない本がよく紹介されていて、それが好みではなくてもインパクト大であるものが多い。これもそんな一冊。 ゲイというわけではなく(妻もいる)、女装趣味でもない、世間的には成功者である男性が、一年間女性の格好をしてすごし、その間の自らの内面や周囲の反応などを綴っている。読む前は多少ユーモラスなフェミニズムからのアプローチかなと思ったが、そうではなくて、あくまで個人的な探究心、シビアな内面への問いかけから始まったものなのだった。 著者は、寒い日にデパートで女性用ストッキングを買ったことをきっかけに、自分の中の「女性性」ととことん向き合っていく。これがまあおそろしく徹底している。妻とは(一時的にだが)深刻な危機を迎え、友人のほとんどは去って行く。偏見かもしれないが、このあたりの突き進み方がいかにもドイツ人だなあという気がする。曖昧なごまかしを許さない感じで。 自分の行動や周囲についてもとことん考察する。くどいくらいに、もう考えに考える。さすが哲学の国の人だ。このあたりを面白がれるかどうかが評価の分かれ目かもしれない。私はちょっと胸焼けしました。それと、ドイツでも女性ってこんなセクハラや暴力にさらされているのかというのがちょっとした衝撃。187センチという長身で、細身とはいえ骨太の筆者が、常に性的な視線で見られ、声をかけられ、挙げ句の果てあわやというピンチに陥るのだ。うーん、オソロシイ。

Posted byブクログ

2022/06/01

男の子だから自動車が好き、女の子だから人形遊びが好き、そういうレッテル、カテゴリーが幼い頃からどうにも嫌いだった。けれど、いわゆる性的マイノリティーにはならずに、「普通の」性癖で今日まで過ごしております。 LGBTの問題もよく見聞きするようになってきて、LGBとTは同じ土俵...

男の子だから自動車が好き、女の子だから人形遊びが好き、そういうレッテル、カテゴリーが幼い頃からどうにも嫌いだった。けれど、いわゆる性的マイノリティーにはならずに、「普通の」性癖で今日まで過ごしております。 LGBTの問題もよく見聞きするようになってきて、LGBとTは同じ土俵で語っていいのかな、違うんじゃねえかなあ〜、なんて思ったりもするのだけど、この本は、もしかしたらTのことが少しぐらい理解できるかもしれないが、全然違うかもしれない。なにしろ僕はそっち方面は勉強不足で。 だが、タイトルにもあるように「女装」がスタート。女物の服飾品を見ていたら気になっちゃって、買っちゃって、それがだんだんエスカレートしていって、妻にもカミングアウトしちゃって…という顛末記。 「初めてのストッキング」「初めてのおっぱい」「初めての化粧」「初めてのむだ毛剃り」「初めての女子会」などなど。好奇心としての女装を皮切りに、男を演じる、という役割から開放されていくさまは、なかなか痛快である。けれどレイプまがいの被害もあったりして、よいこともそうでないことも、男のままでは味わいにくい体験が次々にあらわれる。 読みながら、「女装してえなあ〜」と言ったら娘に不審な顔で見られた。「普通」の反応なのだろう。 村上龍の「走れ!タカハシ」に、女装するトラック運転手の話があって、娘にバレるのだが、娘の反応が素晴らしかった、ような気がする。真似してみればよかった。 ちょっと重い扉なのだろうけど、開いてみると、ずいぶん開放されるのだろうなあ。 「これ以上、狭い世界に押し込められるのはごめんだ!」という著者の言葉が象徴的だ。結局のところ、なんらかの役割に押し込められる。とくに男の世界は狭い。女物の服やらなにやら、存在さえも知らないものや、使い方、サイズなど、まったく理解できないものがごまんとある。僕も狭い世界に入ってしまっているのだ。 1年間、とタイトルにあるから期限がくるのだろう、ということはわかっていても、先の展開が読めなくて楽しい。だが、なにか敗北感というか、取り残された感が残る。

Posted byブクログ

2015/11/27

初めてのストッキング、おっぱい、化粧、ハイヒール、デート…現代社会における新鮮な経験、新たな視点、人間関係の変化。心の中の足かせが外れる。 ちょっとした興味と好奇心レベルで、だれもが気軽に試せるようになれば、世界の風通しが良くなりますね。

Posted byブクログ