ハイジ神話 の商品レビュー
スイス人研究者によるヨハンナシュピリ作の『ハイジ』研究書。 スイス人なら誰でも知っている『ハイジ』、のみならず世界各国でも絶大な人気を誇る『ハイジ』を徹底分析。 ハイジ好き、ハイジ信者にはたまらない一冊です。 アルプスの少女ハイジを何度も見返して育ってきた私にとってはめちゃく...
スイス人研究者によるヨハンナシュピリ作の『ハイジ』研究書。 スイス人なら誰でも知っている『ハイジ』、のみならず世界各国でも絶大な人気を誇る『ハイジ』を徹底分析。 ハイジ好き、ハイジ信者にはたまらない一冊です。 アルプスの少女ハイジを何度も見返して育ってきた私にとってはめちゃくちゃ読み応えがあり面白い内容でした。 原作も読んでいたので、色々な読み方ができました。 日本でアニメ版ハイジが国民的アニメである(今もそうなのかはわからないが)のと同じく、スイス人にとっては実写版のハイジが国民的ドラマで、各々の心の中に自分だけのハイジ像があるほどだとか。そしてそのハイジは金髪のおさげ髪なんだと。しかしそのハイジは原作のハイジ像とはイメージが違いすぎていて…とどの視点で読んでも面白いなと思いました。 スイス人に安易に日本版ハイジをイメージした上でハイジを語ってはいけないのだということがよくわかりました。 日本のアニメ版ハイジでは、国民性に合わせてか宗教的要素をほとんど省いていて、当時見ている分には違和感なく見ていたけれど、この本を読んで改めてアニメ版ハイジを見たいと思いました。 原作についても、その中の宗教的な意味や作者ヨハンナの経歴や執筆時の時代のことを知った上でまた読み返したいと強く思いました。
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アルプスの少女・ハイジはまさに神話化していまも崇める人が多いという。 舞台と原作者の話、ハイジととりまく人々の心を追い、そして人気のあまりに多く出された類似品、二次創作品などを解説する…のだけど、実はハイジのことはよくしらない。 って妻に言ったら、どうしてそんな本読んでる...
アルプスの少女・ハイジはまさに神話化していまも崇める人が多いという。 舞台と原作者の話、ハイジととりまく人々の心を追い、そして人気のあまりに多く出された類似品、二次創作品などを解説する…のだけど、実はハイジのことはよくしらない。 って妻に言ったら、どうしてそんな本読んでるの?って…。うーん、ハイジのうんちく知ってるとモテそうだから、かなあ…。 日本というのはハイジにとって特別な国であるようで、本書でもページを割いて解説がされている。原作にあった祈りと暴力の要素は薄められ、ただただ善意と生きる喜びだけが描かれる、と評されている。原作者シュピーリのメッセージは、やや薄められているが結局はとどいているだろう、と。 暴力と祈り、という2つが排除されるというのは、なんとも日本的だなあ、と感じる。そして日本では「かわいい」と「自然回帰」が望まれて、だからこそハイジは人気があるのだ、とも。 ところで暴力といえば、原作にはペーターがクララに嫉妬して車いすを破壊してしまうシーンがあるそうだ。そのシーンは日本のアニメにはない、という記述を妻に話したら、いやそのシーンあったよ、と。じゃあ暴力シーンで差し替えられたのか、とネットで調べてみたら、同じような疑問がたくさんあって、一応の解決を見た。 ペーターは日本のアニメでは原作よりずっと感じ良く描かれているというから、そんなシーンは似つかわしくなかったのかもしれないし、他にも原作の人たちは一様にそっけないように読み取れる。これはヨーロッパならではだろうと今では理解できるが、きっと子どもだったらショックとして刷り込まれるだろう。 幼いころ触れたものは、心に大きな跡を残すけれど、けっこう忘れていることや入れ替わっていることもあるということだ。 ハイジは読書好きで、読んだことをすべて事実だと思う感受性(とは違うか?)を持っている。うらやましい。 いまや日本では記号化しているアルプスの少女だが、やはり記号ではなく感情を持った人間として描かれているはずだ。読んでみよう。
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