革命前夜 の商品レビュー
昭和が終わった日から、ベルリンの壁が崩れるまでのほぼ一年間の話。 DDR(東ドイツ)に音楽留学した一人の青年が経験した東側の国の現実はあまりにも過酷で。 ひたすら自分の音を探し求めるために留学したはずが、そこで出会う人々と音楽を通して向き合うなかですべてを見失ってしまう。なぜみな...
昭和が終わった日から、ベルリンの壁が崩れるまでのほぼ一年間の話。 DDR(東ドイツ)に音楽留学した一人の青年が経験した東側の国の現実はあまりにも過酷で。 ひたすら自分の音を探し求めるために留学したはずが、そこで出会う人々と音楽を通して向き合うなかですべてを見失ってしまう。なぜみな覚悟を問うのか。何が足りないのか。いつでも帰ることができる、逃げても誰も責めはしない。なのに、なぜそこまで音楽に固執するのか。 すべてを壊し、なにもかも失くして初めて新しい何かを生み出すことができるのか。 ほんの一年弱の物語なのに、この世界は限りない広がりを見せる。広く深い世界が心の中にしみこんでくる。静かで激しいラスト。
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平成元年からベルリンの壁が壊されるまで。 その短い間に東ドイツの音楽大学に留学した日本人が主人公。 日本では天才と言われていても、レベルの高い留学生たちの才能と自分を比較して打ちのめされ、また歴史に翻弄され・・・ 帰ることができない、追い詰められた状態の人は強い。 そして、何も得...
平成元年からベルリンの壁が壊されるまで。 その短い間に東ドイツの音楽大学に留学した日本人が主人公。 日本では天才と言われていても、レベルの高い留学生たちの才能と自分を比較して打ちのめされ、また歴史に翻弄され・・・ 帰ることができない、追い詰められた状態の人は強い。 そして、何も得意なものを持たない私は、そんな学生たちがとてもうらやましい。 でも、逃げ場がないって苦しいだろうな~
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東西冷戦末期の東ドイツを舞台にした青春小説。 サスペンス要素のあるメロドラマ、という感じか。音楽も重要なテーマのひとつであるが、存在感という意味ではそう大きくはない。 ミステリ……というか謎解きっぽい仕掛けもあるにはあるのだが、こちらはもっと影が薄かったw
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今から25年ほど前、ベルリンの壁が崩壊する少し以前に東ドイツにピアノ留学した主人公が旧体制に巻き込まれるような形で音楽と向き合う物語。自分の音楽を築き上げるのに学び悩む“音楽の物語”よりも、旧体制下の政治的背景に否応なく翻弄される内様の方に重点が置かれてる感じでしたが、それでも十...
今から25年ほど前、ベルリンの壁が崩壊する少し以前に東ドイツにピアノ留学した主人公が旧体制に巻き込まれるような形で音楽と向き合う物語。自分の音楽を築き上げるのに学び悩む“音楽の物語”よりも、旧体制下の政治的背景に否応なく翻弄される内様の方に重点が置かれてる感じでしたが、それでも十分読み応えがありました。同作者の『神の棘』もラストはミステリーだったのか!と驚かされましたが、こちらのラストに至る過程もなかなか。
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