革命前夜 の商品レビュー
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツに留学した若き日本人ピアニストの葛藤を描いた物語。前半は音楽的な内容でちょっと何言ってるかわからない状態だったけど、中盤以降は仲間との政治的な衝突と葛藤が描かれていて、怒涛の展開で読み進める手が止まらなくなった。須賀さん、この作品の前はライトノベル...
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツに留学した若き日本人ピアニストの葛藤を描いた物語。前半は音楽的な内容でちょっと何言ってるかわからない状態だったけど、中盤以降は仲間との政治的な衝突と葛藤が描かれていて、怒涛の展開で読み進める手が止まらなくなった。須賀さん、この作品の前はライトノベル書いてたらしい。幅広いなあ。
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久しぶりに めちゃくちゃ面白い本に出会った。 ストーリーが序盤からテンポ良く エンディングまで引き込まれてっぱなしだった
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
凄く濃密な作品でした。 けれど、主人公以外はしっかりと自分の戦いに立ち向かっていたのに対し、主人公は振り回されてばかりで、結局最後まで進展なしで、甘ちゃんのまま終わってしまったのが残念でした。 東西分断、自由、社会主義、シュタージ等、様々な問題を抱え、日本とは同じ敗戦国でも全く違う戦後を歩んできたドイツ。当時の光と陰を少しばかり垣間見れたような気がします。 再読したい一冊です。 余談ですが、 自分の生まれた国が社会、共産主義国家でシュタージが実在したとしたら、、、おっと、余談では済ませられないくらい難しい問題ですね。笑
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ベルリンの壁が崩壊したのは1989年今から32年前という事になります。 僕がちょうど15歳の頃でとてつもなく凄い事が起こっているという感覚はあれど、世界の状況が全然わかっていない状況だったので、TVから伝わってくる熱気等は感じていなかったと思います。 そんなベルリンの壁崩壊前夜の...
ベルリンの壁が崩壊したのは1989年今から32年前という事になります。 僕がちょうど15歳の頃でとてつもなく凄い事が起こっているという感覚はあれど、世界の状況が全然わかっていない状況だったので、TVから伝わってくる熱気等は感じていなかったと思います。 そんなベルリンの壁崩壊前夜の東ドイツに音楽留学したピアニストの青年の目から見た、共産主義の崩壊とそこに住まう人々の絶望と希望。妬みや嫉み。友情と裏切り等色々な物がどろどろと渦巻く中、希望や夢が切り花のように飾られた美しさをちりばめられています。 恋といっても、そこにはこの世界から脱出できるかもしれないという打算も含まれていて、ひりひりするような葛藤を誰もが抱えています。どんなに純粋に考えていたとしても、どこかで頭をもたげる東側社会から抜け出す手段としての結婚や恋愛・・・。 密告を奨励している世界では、どんなに信頼関係が有っても、人と人の関係を蝕んでいくものですね。 重厚で安易に衝撃的なものに頼らない、背骨のがっしりとした物語で読みごたえがありました。
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音楽家として、読むととても面白いです。 ただ、普通の、音楽を専門にしてない方には説明が足りないかも? ベルリンの壁崩壊直前の東西ドイツやハンガリーの切羽詰まった感じに巻き込まれていく音大生たち。 そもそも、東ドイツでのクラシック音楽の立ち位置など、とても興味深く読みました。
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書店員さんのお勧めポップを見て読んだ。 広い世界の厳しさ、優しさ、そこで生きていくことの意味を考えさせられる。 あのポップがなかったら読むことはなかったかもしれない。ありがとう。
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話が進むにつれて、ぐいぐいと引き込まれ、最後は展開に目が離せなかった。 ベルリンの壁が崩壊する前の東ドイツに音楽留学をした日本人男性 眞山柊二。 当時の東ドイツは、「二つの人間関係しかない。仲間か、そうでないか。」それは、すなわち「密告しないか、するか」ということ。 そんな...
話が進むにつれて、ぐいぐいと引き込まれ、最後は展開に目が離せなかった。 ベルリンの壁が崩壊する前の東ドイツに音楽留学をした日本人男性 眞山柊二。 当時の東ドイツは、「二つの人間関係しかない。仲間か、そうでないか。」それは、すなわち「密告しないか、するか」ということ。 そんな監視しあう町で、柊二はその二つの人間関係の渦中に巻き込まれて行く。 密告する側には密告する側の”正義”がある。 でも、密告される側からすれば、それは正義では全くない。 「底辺に落とされてもなお、安全な家畜であることよりも、自由な人間であることを選んだのです。自由とは必ずしも美しいものではありませんし、時に害悪ともなる代物です。ですが、知っておいていただきたいのです。音楽は自由な魂からしかうまれないということ。家畜となることを選んだ途端、その人間がつくる音楽は、ただの雑音になるのです。」(p250)とのヴェンツェルの言葉は辛辣だが、その通りなのかなと思う。 「どう生きたいか」それは、一人一人違う。その生きたい姿に向かって、生きていくことが大切なのだと思う。 後半の、 「どちらが正しく、どちらが卑劣かということではない。それでもやはり、選択をつきつけられた時、誰もがもがき苦しみ、そしてもう一方の道を選んだ者には複雑な思いを抱く。」(P320) との言葉が、この本の登場人物の心情を表しているのだと思う。
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1989年の東ドイツに留学したピアニスト・真山を軸に時代のうねりを翻弄される若者たちを描いた小説。 はじめての作家だが印象深いのは描写の上手さ。ドイツに行ったこともなければ、ベルリンの壁崩壊の頃は物心もついていないがしっかり作品の景色がイメージできる。曇天の重苦しい空、モノクロな...
1989年の東ドイツに留学したピアニスト・真山を軸に時代のうねりを翻弄される若者たちを描いた小説。 はじめての作家だが印象深いのは描写の上手さ。ドイツに行ったこともなければ、ベルリンの壁崩壊の頃は物心もついていないがしっかり作品の景色がイメージできる。曇天の重苦しい空、モノクロな街並み、荘厳なクラシック、共産主義社会の異質さ、革命前の静かな熱量。途中からバッハをBGMにして読んでみたが音楽の雰囲気と作品の世界観が非常にマッチする。
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あまり大した理由もなく、壁がある頃の東ドイツに音楽留学したピアニストの物語。 壁が崩壊していく当時の東ドイツをよく描写しているとは思うけど、そもそも読んでて、それほどおもしろくもないし、ラストも特に感動するわけでもない。この小説で何を著者は訴えたかったのか不明。
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音楽という文化によってドイツと繋がった日本人の青年が、閉ざされた東ドイツ国内から変革を目の当たりにする時代小説。 1989年、昭和が平成へ改まった日から物語が始まる。同年、冷戦下ドイツの東西分断の象徴であるベルリンの壁は壊される、緊迫した情勢のなかへ音楽学院の留学生としてやっ...
音楽という文化によってドイツと繋がった日本人の青年が、閉ざされた東ドイツ国内から変革を目の当たりにする時代小説。 1989年、昭和が平成へ改まった日から物語が始まる。同年、冷戦下ドイツの東西分断の象徴であるベルリンの壁は壊される、緊迫した情勢のなかへ音楽学院の留学生としてやってきた日本人、眞山柊史は、抑圧された東ドイツ社会のなかで苦悩し、戦い続ける人々を間近に見て、時に音楽を通じて東ドイツという国やそこに住む人々を見ていく。 クラシック音楽の本場を舞台に音楽を語るだけでも充分ボリューミーだろうと思うのに、そこに1989年の混迷極まる東ドイツの情勢まで盛り込もうというのだから、果たしてどうなるのだろうと楽しみ半分、不安半分で読み始めた。 音大生としては初っ端から優秀な学友に遅れを取る、外国人で学生という身分が邪魔をして東ドイツ情勢を主人公がくみ取るまでにも時間がかかり、始まりは鬱々としているが、ひとたび事態が動き始めると、主人公が音楽的にも社会的にも否応なく渦中に巻き込まれていくのと一緒に、ぐいぐいと本のなかの世界に引き込まれていった。 作中にはたくさんのクラシック音楽の演奏シーンが出てくるが、音楽を言語的に表現するのはどうしたって難しく抽象的になるが、それらを奏でる学生の個性的豊かな内面と絡めることで美しい心理描写になっていて、読みどころのひとつ。 学友として北朝鮮やベトナムといった東洋の東側諸国からの留学生がそれぞれの背景を抱えて登場し、西側の日本人留学生である主人公との違いについて言及されているのが面白かった。 読み応えも大きく、一度引き込まれたらあとはノンストップ。読了と同時に涙が出て、しばし呆然としてしまった。
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