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日本の反知性主義 の商品レビュー

3.9

38件のお客様レビュー

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2015/04/30
  • ネタバレ

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誰にも、いつでも反知性は舞い降りて、支配される。グローバル化や合理化が反知性を生み出す要因というのは少し飛躍しすぎかもね。読みどころは内田先生と名越先生の掛け合いのところかな。

Posted byブクログ

2015/04/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 「歪み」を見つけること、そして、その「歪み」を描くこと。それが「知性」だ。「歪み」が見えることを、「知性」がある、っていうんじゃないかな。クラムには、「知性」があった。「知性」は考える前にある。それは「視力」なんだ。だから、(目が見えない)誰よりも、「速い」ってわけさ。(p.124) 「ヤンキー論」が論壇を一回りした後に、恣意的な引用や聞きかじりのコピペをネタに語られはじめている「ヤンキー2.0」は、事実関係の当否や論理の整合性よりも、ページビューを呼びこむ見出しのどぎつさや、読み物としての刺激の強さを重視している分だけトンデモ方向に舵を切った物語になっている。 よって、「ヤンキー」という言葉を無批判に大量使用している文章は、信用できない。参考にすらならない。(p.183) 知性は大切なものだ。 そして、学問はありがたいものだ。 私たちはそれらを自分たちの手に取り戻さなければならない。 テストの成績をネタに友達と引き離されたことを、私たちは、心の奥底で恨んでいる。 で、犬のクソを踏まされた子供が犬嫌いになるみたいにして、学問に敵意を抱いたりしている。(p.198-9) 僕がレヴィナスを読んだときに感じたのは、いくら文章を読んでもわからないけれど、レジなすが今思考している一番中心の、核の部分で熱く脈打っているものに直接触れたいという渇望だったんだと思う。理解できないけれど、触れたい。だから、写経するような気分でずっとレヴィナスを読んで訳してきたわけですよ。でも、写経していると、どこかの段階で自他の同期が起こるんですよね。僕自身の考え方や語り口がレヴィナスに感染して、レヴィナスに憑依されてしまう(笑)。僕は確かにレヴィナスの読み方をレヴィナスから学んだのだと思う。レヴィナスのテクストの解釈の仕方をレヴィナス自身から学んだ。(p.229) どうしてもその杭を中心とする同心円から出てゆけない。どんな新しい経験をしても、全部古い経験のスキームの中でしかその意味を解釈できない。トラウマって、そういう種類の病気ですよね。このスキームへの固着からどうやって自分を解き放つか。僕の眼には、今日本全体がある種のトラウマ的な状態に陥っているように見えるんです。みんなが「今・ここ・私」に居ついている。(p.240) いろいろなことがほんとうに便利になってきた。標準化や定型化により、それぞれの研究室からでデータを比較検討することがたやすくなるのだから、科学の進歩という面ではすばらしいことばかりである。しかし、標準化や定型化といった方向性が示されていれば、それにしたがって研究をおこなうことが前提になる。考える必要がないとまでは言わないが、創意工夫のはいる余地が少なくなってきてしまっている。すなわち、型が大事になって、個人の「知性」があまり必要ではなくなってきているのだ。(p.264-5)

Posted byブクログ

2015/04/10

反知性主義や反教養主義に警戒感を覚えている人たちの寄稿集。「アメリカの反知性主義」は読んでないのでわからないが、アメリカは周期的に反知性主義が吹き出るようだ。ただ現代はグローバル化というか、世界がアメリカ化して、新自由主義に闊歩されている流れなので、反知性主義はアメリカや日本だけ...

反知性主義や反教養主義に警戒感を覚えている人たちの寄稿集。「アメリカの反知性主義」は読んでないのでわからないが、アメリカは周期的に反知性主義が吹き出るようだ。ただ現代はグローバル化というか、世界がアメリカ化して、新自由主義に闊歩されている流れなので、反知性主義はアメリカや日本だけの問題ではなく、世界的な流れのようだ。本書は、それに対しての処方箋ではない。色々な著者がよって立つ思想背景で思ったことを、著者なりのスタイルで述べている。そのこと自体が知性主義ということなのだろう。

Posted byブクログ

2015/04/09

人が違うと、同じことを論じてもホンマいろんな解説の仕方や論理立てがあるなあと改めて実感。中でもオレは内田さんと名越さんの対談が一番興味深かった。名越さんの言葉は、いちいち刺さるんよな^^; 読んでて大変笑

Posted byブクログ

2015/04/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 すっと入ってくる論考、そうでない論考いろいろあったが、その多くが「反知性主義に飲み込まれることへの懸念(恐れ)」という視点からはじまっていることに感銘を受けた。対岸の火事のように反知性主義を眺めようとすると、途端にそれに囚われてしまうということを、多くの筆者に教えていただいた。 「知的フレームの不断の再編成」が、反知性主義から身をかわす手立てだということが、多くの論考で言及されていた。その件について考え込んでいるうちに、読了してからかなりの時間が経ってしまった。 「知的フレームの再編成」は、真新しい考えに触れたときだけでなく、未知のコンテクストを導入することで、既知の事項が今までとは違ったものに見えてくることによって起こる(というか、そちらの方が多い)のではないか。  しかし、そういう「目からうろこ」的現象は、新しい考えなりコンテクストなりを自分なりに咀嚼し、既知の事項を並べ直してみるくらいの能動的な努力が必要だ。おそらく、検索によるデータ収集だけでは「なるほど」とはなっても、パラダイム転換(それがどんなに卑小なものであったとしても)は起こらないだろう。そんな努力を不断に行わなければならないとなると、反知性主義から逃れきることは本当に難しい。  とはいえ、予断と予定調和に凝り固まった世界は、想像以上に恐ろしいということを、最近の世の中を見て思わずにはいられない。それゆえ、少しでも自分が反知性主義から逃れ続けられるよう、不断の努力を惜しまぬようにせねばならない。  陳腐な読書感想文のような文言で終わってしまったが、痛切なる本音であるので、このまま〆ようと思う。

Posted byブクログ

2015/04/06

反知性主義というのは現代に限らず、人類の歴史上繰り返しあらわれてきたもののようだ。内田樹と、その呼びかけに応じた9人の論客が現代の知性のありようについて語っている本書を読んでいるときの自分は、己の知性の欠落を痛切に感じながらも、おそらくそれを感じることのない人間こそが反知性主義と...

反知性主義というのは現代に限らず、人類の歴史上繰り返しあらわれてきたもののようだ。内田樹と、その呼びかけに応じた9人の論客が現代の知性のありようについて語っている本書を読んでいるときの自分は、己の知性の欠落を痛切に感じながらも、おそらくそれを感じることのない人間こそが反知性主義と呼ばれる状態に陥るのではないかと思った。自分と意見の異なる相手の中に、知性の存在を信じることができない時に、己の反知性主義が始まるのだという警句を胸に刻みたい。

Posted byブクログ

2015/04/06

レビュー消えた。だからこうして機器依存してることが危機的なのか。「無思考社会」や「ド地域力」というネーミングを思い起こして感覚的な知の感覚を再現してみる。「大学」や「地域」という(本来)それを寛容に涵養してくれるものが、あまりにも軽薄に効率的にあしらわれることが怖い。一方でそんな...

レビュー消えた。だからこうして機器依存してることが危機的なのか。「無思考社会」や「ド地域力」というネーミングを思い起こして感覚的な知の感覚を再現してみる。「大学」や「地域」という(本来)それを寛容に涵養してくれるものが、あまりにも軽薄に効率的にあしらわれることが怖い。一方でそんな90年という短期的な生において、わざわざ熟考し「人間的」になるなんて至極メンドクサイとも思う。反知性、反痴性、6枚切りのパンちっせい。広い深い90年は残酷にも短い。

Posted byブクログ

2015/03/31

著者たちの多くが、自分こそ反知性主義に陥っているのではないか、という疑問や躊躇いを出発点としている。そのことからだけでも、この本に満ちている知性を嗅ぎ取ることができる。

Posted byブクログ