1,800円以上の注文で送料無料

日本の反知性主義 の商品レビュー

3.9

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    19

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/08/16

なんとなく昨今の「大人のための教養」の押し付け、そこへの誘導への違和感の正体が掴めたような、掴めなかったような。 「大人の教養」≒「これだけ学んでおけば間違いない、恥ずかしくない、話題に困らない」っていう感じが、どうも自分の中の【知性】や【知的人物像】とはかけ離れていて。でも...

なんとなく昨今の「大人のための教養」の押し付け、そこへの誘導への違和感の正体が掴めたような、掴めなかったような。 「大人の教養」≒「これだけ学んでおけば間違いない、恥ずかしくない、話題に困らない」っていう感じが、どうも自分の中の【知性】や【知的人物像】とはかけ離れていて。でも、そういった類の書籍を買い求める人は、同時に【知的人物像】を追い求めている(…強制的にかは定かではないけれど)。そして、大抵そういう人と対峙した時に自分感じるのは、胡散臭さや、無自覚な短絡的思考回路、曖昧さへの耐久の無さだったりして。 上手く言葉にできないけれど、幅広く知識を脳味噌に詰め込んでいて、それによって会話のバリエーションに富んでいる人と、確固たる自己の思想を持ちつつ、柔軟に人の意見も聴き入れる(それに賛同するかは別として)から、会話を豊かに運ぶことができる人って、似て非なるものなのだけれど、その解釈…というか、なんだろう、何かが、全然違うんだよな〜と。笑 また各々の先生方の著作を読んだ上で、読み返したい一冊。

Posted byブクログ

2024/01/05

「日本の反知性主義」というテーマで、 ・内田樹 ・白井聡 ・高橋源一郎 ・赤坂真理 ・平川克美 ・小田嶋隆 ・想田和弘 ・仲野徹 ・鷲田清一 などが論じたもの。内田樹と名越康文の対談も収められている。 「反知性主義」のもともとの意味は「知的な生き方を否定し、それを極小化しようとす...

「日本の反知性主義」というテーマで、 ・内田樹 ・白井聡 ・高橋源一郎 ・赤坂真理 ・平川克美 ・小田嶋隆 ・想田和弘 ・仲野徹 ・鷲田清一 などが論じたもの。内田樹と名越康文の対談も収められている。 「反知性主義」のもともとの意味は「知的な生き方を否定し、それを極小化しようとする傾向」のことだが、単に「日本人の知的レベルの下降」について、平たく言えば「なぜ日本人はこんなにもバカになったか」について論じているものが多い。 その中にあって、白井聡の文章だけが反知性主義の原義から解きほぐしていく本格的な論考で、それゆえに一番読みづからかった。ここで止まっていたために読了が遅れた。 日本人はバカになった。電車に乗れば、老いも若きもスマホとにらめっこをしている。本を読んでいるような人はわずかだ。別に読書が知性の証というわけではないが、スマホでゲームに興じていて賢くなるとも思えない。 民主主義は人間一人ひとりの価値を等しくするところから始まる。誰しもが平等に尊いという平等主義だ。 しかし、格差社会である。賃金の格差、年収の格差は厳然とある。それはどこから来たのか。それが知性の格差から来ていることを認めたがらないのが反知性主義で、ゆえに安易な手段を求める傾向でもある。『ファスト教養』(レジー)や『動画を早送りで観る人たち』(稲田豊史)で指摘した現代の風潮はまさにそれであろう。

Posted byブクログ

2021/02/20

内田樹さんの定義する反知性主義が1番なるほど!と思いました。 どうして、内田樹さんはこのように物事を捉えることが出来るのか?? 内田樹さんの文章には、自分にない視点がいつもあり、新しい発見があります。 ほんと、毎回、読むことが楽しみです。

Posted byブクログ

2020/11/15

内田樹の最初の評論が一番面白い。 全体的には各論者が書きたいことを書いている印象。故に、全体としてはまとまりがない。何を持って反知性主義とするかについても事前の整理もされていないが、まだ反知性主義に対する論点を世間全体が手探りしている段階に出されたものなのかもしれないと思った。

Posted byブクログ

2020/07/26

難しかった 無知とは知識の欠如ではなく、知識に飽和されているせいで未知のものを受け入れることができなくなった状態 自分を基準に選んだ、都合の良い歴史の語りを好む 間違っているかもしれない、というグレーの状態に置いておけること、そんな感じでしょうか

Posted byブクログ

2020/06/04

反知性主義をテーマに、10名の論客がそれぞれの立場から論じている一冊。とにかくめちゃくちゃ面白かった。 「わからない」「わかりにくい」ことの拒否、「否認」「対立」の拒否、「不確実性」の拒否。反知性主義は時間をかけることを拒否し、手間をかけることを拒否し、意見を戦わせることを拒否す...

反知性主義をテーマに、10名の論客がそれぞれの立場から論じている一冊。とにかくめちゃくちゃ面白かった。 「わからない」「わかりにくい」ことの拒否、「否認」「対立」の拒否、「不確実性」の拒否。反知性主義は時間をかけることを拒否し、手間をかけることを拒否し、意見を戦わせることを拒否する。そして易きに流れることで、人間の知性は徐々に劣化をしていく。 何故そうなったのかといえば、もともと人間はそういう流れに抗えない種族なのかもしれないし、あまりに便利になった現代文明のせいかもしれない。 いずれにせよ、この本が、それらの疑問を考えるためのヒントを与えてくれるはず。特効薬を求めてしまうとやはり反知性主義と同じ穴の狢になってしまう恐れがあるので、あくまで考えるためのヒントとして、この本を手にとってみてはどうだろう。

Posted byブクログ

2020/03/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

☆ホーフスタッターの「アメリカの反知性主義」から取った言葉という。ただ、反「知性」主義なのか、反「知性主義」なのか、どうもわからないな。何か、反のつかない言葉でいい替えできないだろうか。

Posted byブクログ

2018/10/28

【由来】 ・MediaMarkerで「反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 」を面白そうだと思い、amazonで検索かけていたら関連本で出てきた。市の図書館では4冊に対して48人。 【期待したもの】 ・ 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】

Posted byブクログ

2018/06/07

「反知性主義」をテーマにした9人の評論・エッセイと、内田樹・名越康文という名コンビの対談1編が収録されている。 個人的に「グッときた」のは巻頭の内田樹氏の「反知性主義者の肖像」、巻末の2編、仲野徹氏の「科学の進歩に伴う『反知性主義』」と鷲田清一氏の「摩擦の意味―知性的であるという...

「反知性主義」をテーマにした9人の評論・エッセイと、内田樹・名越康文という名コンビの対談1編が収録されている。 個人的に「グッときた」のは巻頭の内田樹氏の「反知性主義者の肖像」、巻末の2編、仲野徹氏の「科学の進歩に伴う『反知性主義』」と鷲田清一氏の「摩擦の意味―知性的であるということについて」の3編。ちなみに高橋源一郎氏の「どこかにいる『反知性主義者』を見つけて、それにレッテルを貼るのは~自分の『反知性主義』のヴィールスに冒されている気がする」という文句も大好き。 内田氏は評論は2016年に東京大学で入試問題として採用されている。「反知性主義」というなんだか分かったような分からないような曖昧模糊としたモノに、はっきりとした輪郭を与えてくれる。『寝ながら学べる構造主義』以来、この手の作業は本当に職人技だなあとありがたく思う。なんだか京極夏彦氏の描く中禅寺秋彦みたいだ。 仲野徹氏の文章は初めて読んだけれど、生命科学の研究者が生命科学の研究者として、身体的な実感を持って「反知性主義」について省察するという覚悟(?)のようなものがひしひしと伝わってきて、他の執筆者と比較して、文章そのものは何か堅苦しいところも感じたけれど、かえってその朴訥さのようなものが胸を打つ文章でした。氏が伝えようとしたことを文系バリバリでやってきた僕ごときがどれだけ理解できたかは全く自信がないけれど、すくなくともこの人は文系の僕のような者に対しても、生命科学研究者の責任を伝えようとしている、それだけは確信を持って感じることができて、読んでいてとても気持ちのいい文章でした。 鷲田清一氏はタイトルにある通り「摩擦」を通して「知性」という働きを明らかにしていくのですが、私情を抑え、引用を多用し(T.S.エリオットとオルテガ・イ・ガセットの引用が本文の大部分を占める)、です・ます調で語られる、なんというかその静かさに惹かれました(鷲田氏はむしろ情熱的な文章を書く人だと思っていましたし)。それが「摩擦」の起こす「煩雑さ」に耐える力こそ「知性」だという静かな覚悟によくマッチしていたように思います。

Posted byブクログ

2018/05/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久しぶりに内田樹さんの本を読んだ。 モヤモヤっと思っていていたことが的確に文章化されていることの心地よさよ…。 科学や情報の伝達手段が格段に発達し 得られる情報が格段に増えたことで、物事を簡略化して理解しようとする人がいる一方で、複雑を複雑なまま受け入れ理解しようとする人がいる。前者の分かりやすい言葉に人は流されがちだけど、情報に溢れている現代だからこそ、後者の姿勢がますます大切になってくるのではないかと感じた。

Posted byブクログ