近代ドイツ史(1) の商品レビュー
みすず書房 ゴーロマン 近代ドイツ史 ドイツの国家変遷史、ヨーロッパ全体の国民国家へ変容、著者の歴史観により構成 著者は「一つのヨーロッパ」を理想とする複合国家を支持し、国民国家には 否定的な立場。オーストラリアを含めた大ドイツ主義が実現しなかった原因を 多民族性と宗教...
みすず書房 ゴーロマン 近代ドイツ史 ドイツの国家変遷史、ヨーロッパ全体の国民国家へ変容、著者の歴史観により構成 著者は「一つのヨーロッパ」を理想とする複合国家を支持し、国民国家には 否定的な立場。オーストラリアを含めた大ドイツ主義が実現しなかった原因を 多民族性と宗教改革に見出している。近代史を知るには ハイネの詩の理解が必須というのは 珍しい 著者の歴史観がわかる一文 「歴史とは、いかにあるべきだったかという理論でなく、現実的な成功、失敗など 事実について物語るものである。弱者は沈み、勝者は上に留まる。力の伴わない正義の上にたつものは愚者となる」 近代ヨーロッパがわかる一文 「19世紀のヨーロッパは、国民国家を目指していた〜フランス革命から 自由主義、民主主義、ナショナリズムの三つの動きが生まれた」 プロイセンとオーストリアが国民と一体とならなかった理由 「オーストリアのようなカトリック系君主制が、プロイセンのプロテスタント系権力と協調することは困難」 「ドイツ、オーストラリアともドイツの大部分を領有支配していながら、国民と一体化することを怠ったため永続できなかった」 国家観 「国家は権力を生み出し、絶えず多くの権力を追い求める機構である」 ナショナリズムについて 「ナショナリズムは神の掟に背く。それは種族という生物的なものを偶像視する。種族とは、言語の表現手法によってのみ規定される人間の集団にすぎない。ナショナリズムは 史的に生まれたあらゆる秩序を破壊し、ヨーロッパ文化を粉砕し、諸国民を隔離し、自己陶酔的な思い上がりと憎しみのなかで、彼らを相互にけしかける」 歴史観 「われわれの理解できるのは、過去だけである。現在は、現在のなかに止揚された過去の最終的産物であるという範囲でのみ理解できる。未来は理解することができない」 「国家、民族は決して静止せず、互いに衝突する〜平穏は歴史家の興味をそそらない。歴史は幸福、個人の牧歌的満足のためにあるのではない」 ★1848 三月革命 オーストリア、プロイセン、ドイツの三つの枠が生まれたが、これらは互いに重なり合っていた。オーストリアやプロイセンはドイツの枠内に含まれており、フランクフルト国民議会の決議事項は、すべてのドイツ諸国に適用された 近代化のための改革。ドイツ国民議会による全ドイツ憲法。ウィーン体制崩壊 ★1871 ドイツ帝国樹立 「プロイセンはドイツを征服する」 *ドイツ国民はやっと国民国家を持つことになった。しかしそれは民衆なしに、民衆に逆らってつくられた *北ドイツ連邦は、ドイツ国民でなく、プロイセン国家がつくりだしたものである *新しい帝国は帝国ではなく、連邦国家でもなかった。同盟を結んだ諸政府のうえに立つ中央権力はなく、権力の比重バランスが不均衡であった。国民国家でもなかった
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