国境のインテリジェンス の商品レビュー
『アサヒ芸能』に連載中の佐藤優氏の時事エッセイ『ニッポン有事!』を書籍化第3弾です。国境問題。沖縄。外務省及び外務官僚。永田町。霞ヶ関。政治や外交をテーマに下世話な話も交えつつ鋭く切り込んでいきます。 週刊『アサヒ芸能』にて絶賛連載中の佐藤優氏の時事エッセイ、「ニッポン有事...
『アサヒ芸能』に連載中の佐藤優氏の時事エッセイ『ニッポン有事!』を書籍化第3弾です。国境問題。沖縄。外務省及び外務官僚。永田町。霞ヶ関。政治や外交をテーマに下世話な話も交えつつ鋭く切り込んでいきます。 週刊『アサヒ芸能』にて絶賛連載中の佐藤優氏の時事エッセイ、「ニッポン有事!」著作化第3弾です。相変わらず佐藤先生の筆は冴え渡っているなと再認識しました。 実を言うと僕はこの時事評論と西村賢太氏のエッセイのおかげでいまやアサヒ芸能の熱心な読者になってしまいました。こうなると日々『オッサン街道』を驀進していることにいやおうなく気づかされます。 やはり、掲載している雑誌の性質上、同じ時事を語るでもものすごく下品なテイストが満載で、その辺もまた、僕の好みに合致しております。 しかし、語られている事象の内容は他の掲載論文に比べても一切クオリティの劣化は認められず、その辺はさすがだなと思っております。 「3.11」以降、弱体化した日本の『国境』をめぐってロシアのメドヴェージェフ首相が北方領土に、韓国では竹島に李明博大統領(当時)が上陸したときの『裏事情』はこういう風になっているのかと思い、どこでこうした情報を取っているのかと、さらには佐藤氏の『分析力』が相変わらず冴え渡っていることを実感しました。 やはり、ここでの最大の『特色』は今や不倶戴天の敵同士となったかつての古巣であり、かつての同僚であった外務官僚の『実態』。特に下半身をめぐるスキャンダルの暴露はここでも開陳されており、外務省に一度も女性を知らないで入省したキャリア官僚がロシアで結婚した女性がこれまたとんでもない人間で…。 件のキャリア官僚がとった『規格外』の行動とそれを『表に出ない形』で「オネェ言葉」を話す公使と『解決』へと向かった話は思わず大笑いしてしまいました。 そんな話も交えつつ、沖縄の問題が以下に深刻化していることや、政権再交代の現況となったかつての民主党の閣僚、特に外務大臣であった玄葉光一郎氏に対する『筆誅』は人を散々にこき下ろすレトリックの豊富さに感心しつつ、当時の民主党政権の執り行っていた外交がどのような姿だったのかを詳細に解説していて、今読むとつくづく『なるほどなぁ』と感じ入ってしまうのでした。 雑誌で読むのは気が引けるという方は、単行本を是非、手にとっていただけたらなとそんなことを願ってやみません。 ※追記 本書は2015年2月6日、徳間書店より『国境のインテリジェンス (徳間文庫カレッジ さ 1-1)』として文庫化されました。
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"2011年~2013年の民主党政権(野田首相)と自民党政権(阿部首相)時代の国事について佐藤優さんのコラムをまとめたもの。 外務省ロシア地域の個別人事案件や女性問題など三面記事的な内容も交えて読者を楽しませるサービス精神旺盛の内容。 著者の博識の高さに目を見張る。&q...
"2011年~2013年の民主党政権(野田首相)と自民党政権(阿部首相)時代の国事について佐藤優さんのコラムをまとめたもの。 外務省ロシア地域の個別人事案件や女性問題など三面記事的な内容も交えて読者を楽しませるサービス精神旺盛の内容。 著者の博識の高さに目を見張る。"
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皆さん、おひさ~。今日の書評は私も久しぶりの佐藤優先生です。題名が「国境のインテリジェンス」といい、佐藤先生の本質がギュギュっと詰まった一冊です。その中から、第一章のさわりだけをピックアップして取り上げたいと思います。 少し古い本なのでしょうがないが、まずはアベノミクスについて警告を発しています。 佐藤先生はアベノミクスの生みの親である、浜田宏一内閣官房参与(イエール大学教授)の取る立場に反対しておられます。 浜田教授の説を引用すると<囲碁では、打つ手の順序が重要になる。手順が前後してしまうと、勝てるはずの勝負も勝てなくなってしまう。経済も同じだ。財務省の好む消費税率引き上げを金融緩和の前に行ったら、(中略)デフレと円高に苦しむ日本経済が、需要増を伴わない消費財の価格高騰で、一層苦しむことになる。すなわち、デフレ下で増税して国民経済が回復した例は他にない。> しかし、もともとマルクス経済学を学んできた佐藤先生には、上記の説は強い違和感があるという。 仮に名目賃金(物価を加味した賃金)が上がっても、それ以上に物価が上がれば、労働者の実質賃金(物価を加味しない賃金)は低下する。浜田氏のようなケインズ政策の本質は、実質賃金を低下させることにより、資本の力を一層強くすることであると断じ、アベノミクスに批判的な野口悠紀雄・一橋大学名誉教授の説を紹介する。 <(アベノミクスにより)インフレが進行すれば、国債の残高の実質価値は低下する。(筆者註:借金は物価が上昇すると、実質的に減ずる)他方で家計が保有する定期預金の実質価値は下落する。(筆者註:貨幣(ここでは定期預金)はインフレで価値が減る)このようなメカニズムを通じて、家計から政府への所得移転が起こる。(筆者註:つまり、物価上昇により、定期預金の価値が減り、国債の実質段高が減る。すなわち政府が得をする) つまりインフレは税と同じ経済効果を発揮するのだ。これはしばしば「インフレ税」という表現が用いられる。 「インフレ税」は国民が国会の議決を通じて拒否できないという意味で、財政民主主義に反する財源調達法だ。憲法に定める「租税法律主義」の精神に反するものである。 (中略)インフレ税は、きわめて過酷で不公平な税である。負担の公平の原則とは無関係に生ずるからだ。まず低所得者に対して情け容赦なく襲いかかる。裕福な人は贅沢を我慢すればすむが、最低所得水準の家計は生存を脅かされる。 また定期預金のような名目資産に重くかかり、不動産のような実物資産にはかからない。このような事態が予測されると、資産の海外逃避が起こる可能性がある。それは円安をもたらし、輸入インフレをもたらす。(筆者註:日本の経済が弱くなると、日本円の価値が下がる=円安、そうなると日本の輸入品の実質価格が上昇する)つまり、事態が前倒しで(筆者註:日本の経済を強くする前段階として、日本が円安となり、景気に悪影響を与える)発生する可能性もあるわけだ。 どうです。皆さん。ウンウンと納得しますよね~しかし、日銀の金融緩和によっても物価が上昇しなかったのは事実。経済って面白いでしょう?みんな理屈は合ってますが、予言は外してますよね~皆さんも投資や貯蓄をする際は自己責任で行いましょう。マスコミ・識者のいうことをうのみにしないように。今回のブログはこれにて終了。なんでかって?取れ高が微妙なんだよん。
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元は2年前の本となります。 主な題材は2011年から2013年ころの、政局や国際情勢、 国内的には民主党崩壊と第2次安倍政権の始まり辺りまで。 インテリジェンス、対ロシア関係、沖縄問題、特亜関連、、 軸となる視座は他の著書とも相違なく。 知の巨人とも言われる事が増えてきた佐...
元は2年前の本となります。 主な題材は2011年から2013年ころの、政局や国際情勢、 国内的には民主党崩壊と第2次安倍政権の始まり辺りまで。 インテリジェンス、対ロシア関係、沖縄問題、特亜関連、、 軸となる視座は他の著書とも相違なく。 知の巨人とも言われる事が増えてきた佐藤優さん、 この方の“考え”を俯瞰するのにちょうどいいかな、と思います。 興味深いのは、心情的に、現在よりも若干“安倍さんより”との点、 これは“時の政権”には常に批判的でいるという感じでしょうか。 それでいて、認めるところは認める、 知識人として、至極真っ当なスタンスかと。 批判的な意見がないとの状況、それは危険と思いますから。
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