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十二の肖像画による十二の物語 新装版 の商品レビュー

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2015/08/02

15世紀から17世紀にかけての中世ヨーロッパで描かれた十二枚の肖像画に、人間の十二の負の感情を仮託し、それぞれについて想像を大きく膨らませて十二の物語に編み上げた連作短編集です。 装丁が綺麗で絵も見栄えするように仕上がっていましたので、思わず購入してしまいました。(笑) 第一の...

15世紀から17世紀にかけての中世ヨーロッパで描かれた十二枚の肖像画に、人間の十二の負の感情を仮託し、それぞれについて想像を大きく膨らませて十二の物語に編み上げた連作短編集です。 装丁が綺麗で絵も見栄えするように仕上がっていましたので、思わず購入してしまいました。(笑) 第一の物語  鬱ぎ(ふさぎ)  「ある男の肖像」(ロヒール・ファン・デル・ウェイデン) 第二の物語  妬み(ねたみ)  「老婆の肖像(ラ・ヴェッキア)」(ジョルジョーネ) 第三の物語  怖れ(おそれ)  「自画像」(ティツィアーノ) 第四の物語  疑い(うたがい) 「ヤーコブ・ムッフェルの肖像」(デューラー) 第五の物語  傲り(おごり)  「エラスムスの肖像」(ホルバイン) 第六の物語  偽り(いつわり) 「黄金の兜の男」(レンブラント) 第七の物語  謀み(たくらみ) 「婦人の肖像」(ポライウォーロ) 第八の物語  驕り(たかぶり) 「ラウラ・バッティフェルリの肖像」(ブロンツィーノ) 第九の物語  吝い(しわい)  「レオナルド・ロレダーノの肖像」(ジョバンニ・ベルリーニ) 第十の物語  狂い(ものぐるい)「美しきフェロニエール」(レオナルド・ダ・ヴィンチ) 第十一の物語 婪り(むさぼり) 「フェデリコ・モンテフェルトロの肖像」(ピエロ・デラ・フランチェスカ) 第十二の物語 誇り(ほこり)  「婦人像」(バルトロメオ・ヴェネト) どの作品も肖像画に魅せられるように幻想的な物語に仕上がっています。その肖像画にはあえて負の感情のタイトルが付与されており、どの物語もそれに合わせて余韻が続くような結末となっていて、絵とタイトルと物語が三位一体となって印象深くなるように導かれていると思います。これはこの短編集の構想の勝利であるといえますね。 それにしても、人間の負の感情とはいかに細分化可能で雑多なことか!「誇り」などは正の感情にもなりえますが、あえて負の感情に含めているところなどは作者の深慮が窺えると思います。 実は第一の物語「鬱ぎ」などを始め、以前に読んだデジャヴの作品もあるのですが、こうやって十二の短編として並べられてみると、また違った味わいがあると思いました。 作者の構想と想像力に敬意を表することができる短編集です。これは是非ともハードカバーの単行本で味わってほしいですね。

Posted byブクログ

2015/07/25

12枚の肖像画の物語。アンデルセンなどの童話を読んでいるように感じた。 どの物語も少し恐ろしくなったり、安堵したり、おもしろいものばかりでしたが、第五の物語『傲り』が特に心に響いた。

Posted byブクログ