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ヨーロッパの電力・ガス市場 の商品レビュー

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2021/08/08

500ページ近く、かなり気合の入った分量のため、休みのまとまったGWに読もうと前々から決めていた。ページ数は多いが、原著は初学者向けに書かれているので、文章は平易で分かりやすい。(ただし、内容が的に自分にとっても頭にスッとは入ってこなかったが…) 仕事柄、第8章の「小売市場と最終...

500ページ近く、かなり気合の入った分量のため、休みのまとまったGWに読もうと前々から決めていた。ページ数は多いが、原著は初学者向けに書かれているので、文章は平易で分かりやすい。(ただし、内容が的に自分にとっても頭にスッとは入ってこなかったが…) 仕事柄、第8章の「小売市場と最終顧客の関係」が先行する欧州の自由化でどのようになっているかという観点で、最も関心の高いところであった。 エネルギー関連サービスのコラムでは、消費者に対して以下の四本の柱からなるサービスを開発してきたという。顧客支援サービス、技術サービス、エネルギー効率改善サービス、エネルギー設備総合管理サービス。 「2011年には、産業利用の分野において、エネルギー小売事業者の提供するサービスのなかで、エネルギー供給に深く関連した顧客支援サービスが(程度の違いこそあるが)大きく発展したように思われる。  一方で、技術サービス(主として既存設備のメンテナンス)と効率改善サービス(必然的に投資を伴う)は、エネルギー小売事業者にとってはまだ手探りの段階であり、当然ながら、サービス・メニューのなかに単発的に見られるだけである。たとえば、セントリカ社はイギリスで個人顧客向けのボイラー保守・修繕を提案しており、GDFスエズ社はフランスでエネルギー診断・省エネ工事用資金調達のためのローンを提案している。」 また、「個人消費者は小売市場をどう見ているか」というコラムでは、欧州委員会の2010年の調査が紹介されている。これは興味深い。本コラムによれば、小売事業者を変更する主な理由は、価格(52%)、近親者の勧め(10%)、顧客サービスへの不満(8%)となっている。価格というのはさもありなんであるが、近親者の勧め、顧客サービスへの不満というのは、来年4月の電力小売り全面自由化に向けて、経済産業省や広告代理店をはじめ、日本でもさまざまな調査がなされているが、想像の領域を出ない日本の調査とは異なる結果であり、最大の関心を向けるべきだと思う。 また、第5章では、各国の概況を紹介しているが、欧州とひとくくりに行っても、随分事情が異なるものだと実感した。

Posted byブクログ