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丸山眞男座談セレクション(上) の商品レビュー

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2023/12/30

評者の学生時代の恩師は典型的な保守派の政治学者だが、彼が丸山真男を評して語った言葉を思い出す。「大塚久雄は単純で論破するのは簡単だが、丸山真男はなかなか尻尾を出さない。」そうなのだ。『現代政治の思想と行動』に心情的な反発を感じ、保守的な政治思想を片っ端から乱読したが、丸山は読めば...

評者の学生時代の恩師は典型的な保守派の政治学者だが、彼が丸山真男を評して語った言葉を思い出す。「大塚久雄は単純で論破するのは簡単だが、丸山真男はなかなか尻尾を出さない。」そうなのだ。『現代政治の思想と行動』に心情的な反発を感じ、保守的な政治思想を片っ端から乱読したが、丸山は読めば読むほど簡単に論破できないことがわかってくる。底の浅い進歩的文化人とは比較にならない思想の奥行を見せるのだ。本書では座談の名手丸山の生の言葉を通じて、その思想の息遣いと手触りが伝わってくるが、30年以上前の恩師の言葉に今更ながら得心した。 上巻に収録された10篇は1948年~1965年という時代背景もあり、社会主義や革命といった今日的には賞味期限切れのテーマが多いのだが、対話の相手と比べて、丸山の思考が極めてラディカルでありながら、地に足の着いた堅固さを保持していることに驚かされる。その核にあるのは師南原繁から受け継いだカント的な普遍主義と人格主義、そしてそれとは一見対極的な福沢諭吉譲りのプラグマティズムである。自由と民主主義という普遍的理念への強固な信念、その担い手としての自律的個人という高い理想を掲げながらも、状況認識と実践においては冷徹なまでの政治的リアリズムを失わない。そこにはウェーバー的な責任倫理が一貫して流れているように思う。 こうした丸山の特質がよく表れているのが、ハンガリー動乱へのソ連の軍事介入を巡る会話だ。ソ連が平和勢力であるという幻想を打ち砕かれて右往左往し、観念論に終始して何ら具体的見通しを示せない左翼知識人に対して、イデオロギーがどうあれ、パワーポリティクス渦巻く国際政治の現実を前にしたソ連の国家理性を直視する丸山は動じる気配が全くない。社会主義の展望を巡る対話においても、既存の体制を一挙に破砕する革命モデルと、社会民主主義政党による議会内の漸進的改革モデルを共に峻拒し、資本主義が高度化する中にあって、労働者階級の前進が同時に後退であるという両義性を直視しつつ、制度、意識、習慣、モラルも含めたあらゆる局面でいかにして質的転換を図るかを具体的に論じていく。 丸山が座談の名手と言われるのは、驚嘆すべき教養の広さと深さもさることながら、彼の言葉が既製の概念や抽象に寄りかかるのでなく、極めて直裁な具体性を帯びているからであるように思う。複雑な事象を論じながら、丸山の話コトバは実に平明で誤魔化しがない。歴史への洞察力、議論のフォーカスを端的に提示する構想力もただものではない。丸山が単なるアカデミシャンではなく、言葉の真の意味での実践家である所以であろう。イデオロギーの相違を超えて政治的思考とはかくあるべしという生きたお手本を見るようだ。

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2022/03/22

1948~65年の10本が収録されている。対論者には、大塚久雄、竹内好三、開高健など錚々たる論客が並んでいる。のちに防衛大総長を務める猪木正道とも対談していたことを、本書で初めて知った(1949年)。まだこの頃は、論壇内の左右分断は今ほど深くなかったのだろう。 1965~93年...

1948~65年の10本が収録されている。対論者には、大塚久雄、竹内好三、開高健など錚々たる論客が並んでいる。のちに防衛大総長を務める猪木正道とも対談していたことを、本書で初めて知った(1949年)。まだこの頃は、論壇内の左右分断は今ほど深くなかったのだろう。 1965~93年の下巻(こちらは一昨年の夏に読んだ)に比べてかなり難しい内容が並んでいて、当時の雑誌の雰囲気も窺えた。例外的に読みやすかったのが、井上光貞との「日本神話をめぐって」で、砂漠の太陽と日本の太陽の違いなど、神話をめぐる仮説が披露されている。これは、中央公論社から刊行された『日本の歴史1 神話から歴史へ』の月報で、現在では中公文庫の『日本の歴史〈別巻〉対談・総索引』にも収録されている。

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2021/03/09

教育論のとこ。もうちょっと検討したいけど、まあ戦後教育学みたいなのの特殊さとかハイコンテクストさをおさえないとあれかな?

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2015/01/19

安保闘争以降ということもあって、内容がなつかしい。 あの頃は、こんなめんどくさい言語装置で時代を語っていたんだ。

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