なずな の商品レビュー
殊の外、と言っては失礼か。でも、メチャ良かった!堀江敏幸氏のイメージに無かった作品。(ただの偏見に過ぎないけど。)それにしてもなずなちゃんの瑞々しさよ。命と、成長と、なずなちゃんの周りの人々や町並みや事柄の全てが、何とも繊細。
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読み進めれば進めるほどジワジワとはまっていく様なお話でした。 なずなが大きくなった時に、この温かな生活を話してあげたい〜!!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
汚れたものをきれいにするか、きれいなものを上手に汚すかは見方次第であって、やっていることに変わりはないだろう。しかし、そういう視点を持ちうるかどうかで人生のなにかが決定的にちがってしまうような気もするのだった。(P.9) ベルトが肩にかかる瞬間の重み。そしてやわらかいものが胸にぺたっと張り付いてくる瞬間のあたたかみ。裸で猫を抱いても、こんな感覚は味わえない。(P.29) 小さな子どもがひとり身近にやってきただけで、ものごとを見る心の寸法は変わってしまうのだ。(P.36) 誰かと誰かを結ぶ距離って、まっすぐなのが最短なわけじゃないのよ(P.99~100) 世の中、目安ほど目安にならんものはない、個人差があるから面白いんだ(P.111) なずなが、ちょっとだけ、身体をよじる。また、反対によじる。寝返り、という言葉が思い浮かぶ。嫌な意味にも使われる言葉がこんなにも肯定的に響くのは、赤ん坊だけに許された特権なのだろうか。(P.129) 頬を寄せるなんて、人間にとっては最高の贅沢ではないか。向き合う努力と苦しみを乗り越え、真横に密着して、おなじ方向をながめることのできるたったひとつの姿勢。(P.334) 「誰かが、誰かから、なにかを聞いている。それが世の中というものだ」(P.370) 急激に深まってくる眠りの前で身体が言うことを聞いてくれない。玄関のドアの下から冷えた空気が床を這うように流れ、頬の横を通り過ぎていく。その上から、なずなの身体でほのかにあたたかくなった空気が覆い被さって、私の顔を包む。私は守っているのではなく、守られているのだ、この子に。なずなに。(P.435)
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思わぬことから姪を預かることになった主人公 赤ちゃんを通じて 周りの人と交流し 自らも成長していく 温かい気持ちになれる小説 日常が描かれ 特に大きな出来事もないため 長編過ぎる気も…
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堀江さんはおとぎ話のようなふわっとしているというか心情と言葉がかっちりとは噛み合わないような書き方をすると個人的に思っているんだけど、赤ちゃんに関わる文章だけほんの少し解像度が高い。実際に育児してたのかなと思う。 突然ポッと赤ちゃんが現れたような言い方は悪いけど拾った猫のような感...
堀江さんはおとぎ話のようなふわっとしているというか心情と言葉がかっちりとは噛み合わないような書き方をすると個人的に思っているんだけど、赤ちゃんに関わる文章だけほんの少し解像度が高い。実際に育児してたのかなと思う。 突然ポッと赤ちゃんが現れたような言い方は悪いけど拾った猫のような感じなので普通は夫婦の愛情とか血縁関係とか家族の話がメインになるけどそうではなく近所の人や仕事ときどき赤子の柔らかさという感じで切り口の違う温かさを感じる。 p6 指の一本一本が、指と指のあいだの影が、いつもよりくっくりと見えるのはなぜだろう。 p167 そして、どこで眠っていても、彼女は空間を自分中心に変容させる。なずなだけではなく、赤ん坊にはそういう力が備わっているのかもしれない。とすれば、この世界には、赤ん坊の数だけ中心があるということになる。 p312 丸い鏡に、なずなの、どこか困惑気味の顔が宇宙船からの中継画像のようにぽつんと浮かんでいた…。
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40代の地方紙記者の独身男性が、弟夫婦の入院をきっかけに彼らの娘なずなを預かることに。まだ生まれて数ヶ月の姪っ子の成長にいちいち驚き、ちょっとした異変におろおろする日々。周りの人に助けられながら、なずなを中心に動く生活が綴られる。赤ちゃんがいるだけでその場の空気がふわっと柔らかく...
40代の地方紙記者の独身男性が、弟夫婦の入院をきっかけに彼らの娘なずなを預かることに。まだ生まれて数ヶ月の姪っ子の成長にいちいち驚き、ちょっとした異変におろおろする日々。周りの人に助けられながら、なずなを中心に動く生活が綴られる。赤ちゃんがいるだけでその場の空気がふわっと柔らかく感じることがあるけど、そんな優しい雰囲気に満ちた物語。
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ようやく出会えてようやく味わえた『なずな』 Smallcountryさんのブログで知ったのはいつだったっけ? 伯父さんが生まれたばかりの姪っ子をあずかることになる。 3men and a babyのような慌ただしくも滑稽な日常が綴られるかと思いきや、実際に生きたニンゲン相手には...
ようやく出会えてようやく味わえた『なずな』 Smallcountryさんのブログで知ったのはいつだったっけ? 伯父さんが生まれたばかりの姪っ子をあずかることになる。 3men and a babyのような慌ただしくも滑稽な日常が綴られるかと思いきや、実際に生きたニンゲン相手には滑稽なんて言っていられない。死なせちゃならない、傷つけちゃいけない、病気になるのも困る、毎日と言わず、毎分、毎秒が真剣勝負。そりゃそうだ。 伯父さんの目線や意識はきっと父母のそれとは違うだろう。 ものすごく、Detailなところに目がいく。呼吸の一つ一つだったり、視線の動き、というより瞳孔の開き方、みたいなところまで仔細に観察。というか、よく全身が目になると言うけれど、そんな感じで新しくこの世に誕生した生き物がそこにいることに興味と憧れと理想と全てを見ているようだ。 とにかく暖かい、優しく柔らかい空気が流れている。 悪意のかけらがほんの1mm角もない。 守っているようで守られている。 そんな気持ちを一瞬でも感じたら、自分が生きている理由になりえるだろう。 人生に疲れたら、どうにもやりきれなくなる日が来たら、この本を開こう。生きることのなんたるかを小さな生き物が教えてくれるだろう。
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この本を読み始めた時、娘は8ヶ月くらいで、なずなの年齢を少し過ぎたくらいの時だった。 なずなの様子に関するみずみずしい描写や、なずなの世話をする主人公の心情、取り囲む周りの人たちの反応、子供を育てる行為の側面に現れるさまざまな事象を正確に、かつ繊細に描いている本書を読んでいると...
この本を読み始めた時、娘は8ヶ月くらいで、なずなの年齢を少し過ぎたくらいの時だった。 なずなの様子に関するみずみずしい描写や、なずなの世話をする主人公の心情、取り囲む周りの人たちの反応、子供を育てる行為の側面に現れるさまざまな事象を正確に、かつ繊細に描いている本書を読んでいると、特に幼い月齢の育児を追体験しているように思えて楽しかった。 この頃の育児について、携帯の動画とかでは残っているけど、もっと文章で残していればよかったなぁと後悔する。 自分はこの頃27歳で、自分の人生における独身フェーズが終わったことを(後から思い返すと)全く受け入れられてないかったなと振り返って思う。 受け入れて育児を楽しめるようになるフェーズには、もうすぐ2歳を迎える最近になってようやく入っていけてる気がする。 子供を育てるということは自己犠牲であり、かつてない親密さを帯びた人間関係(周囲の人々含む)の構築であり、社会との新たな接点の持ち方であり、….. と挙げればキリがないのだけど、そういった行為であることと、今までの人生では訪れる可能性がなかったものを持ち込んできてくれる機会だと、この本を通して改めて思った。
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作中に出てきた本、おっとあぶないとけんこうだいいち(マンロー・リーフ) 子どもの時持っていて大人になってからわざわざ復刻版を購入したので、出てきて嬉しかった^_^ 子育ての日々の繰り返し、地道な食と排泄の世話、大変なんだけど少しずつ成長していく喜びと周りのひとも幸せな気持ちにす...
作中に出てきた本、おっとあぶないとけんこうだいいち(マンロー・リーフ) 子どもの時持っていて大人になってからわざわざ復刻版を購入したので、出てきて嬉しかった^_^ 子育ての日々の繰り返し、地道な食と排泄の世話、大変なんだけど少しずつ成長していく喜びと周りのひとも幸せな気持ちにする赤ん坊の力に力をもらえた。 実際、伯父が2ヶ月の姪を預かるってすごく大変だろうなぁ!しかも育児経験なしとは。 ななくさなずな
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小さな赤ん坊をひとり世話することでものごとを見るスケールが変わる より多くの視点を獲得したいとおもうし すべては無理だという限界を感じて想像力をがんばる必要がある
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