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「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? の商品レビュー

4.1

57件のお客様レビュー

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2019/02/09

高学歴、高収入の総合職女性が、現場でどういったプレッシャーを与えられ、結果として職場を去る決断やキャリア実現に対するモチベーションを一部下げる(諦める)ようになってしまうのかを、様々な論点に渡り議論している良書。 現在の15人の女性を調査する形式で、彼女たちの育った環境(家庭、教...

高学歴、高収入の総合職女性が、現場でどういったプレッシャーを与えられ、結果として職場を去る決断やキャリア実現に対するモチベーションを一部下げる(諦める)ようになってしまうのかを、様々な論点に渡り議論している良書。 現在の15人の女性を調査する形式で、彼女たちの育った環境(家庭、教育面)、現在の環境(職場、夫、両親)等に光を当て、幅広く分析している。 私の年齢層よりは若干上の方々が、どういったことに悩み、そうなってしまったのかを知る上で非常に参考となった。 女性に限らず、男性にも、あらゆる年齢層の人にも読んでほしい。そして、思うだけでなく小さなことからでも行動していってほしい。 以下、雑感。 ・女性には現在、制度があるがゆえの「産め、働け、育てろ」プレッシャーがある。聞いただけで辛い。 ・夫の家事参加が非常に低い。今の社会の現状を変えていくには、女だけが訴えるのではなく、働く女性と同じ目線に立った男性たちにも声をあげてほしい。 ・女性は諦めて職場を去ってしまう。それでは今の世の中は変わらないと思う。高学歴、高収入の仕事についている恵まれている層の女性にこそ、社会の変革に立ち向かい、声を上げる義務があるのでは?諦めたり逃げても何も変わらないと思う。絶対辛いことが予想されるけれど、私も逃げずに立ち向かう人でありたい。世の中を少しでも変えるための努力をしたいと思った。 ・高学歴な女性ほど、家事育児に協力できない男性と結婚してしまうという現実には非常に納得。男性のみなさんには、働き続けたいと考える女性からすると、育児家事をやらない男性は非常に魅力が下がるという事実を男性にも気づいてほしい。一方で、そういったプレッシャーが男性たちにもかかっていることは過剰であるとも思う。 ・結論として、日本人は働きすぎだから、短時間で効率良く成果を出し、男も女も家庭のことを普通にできる未来にしていかなければならないと思う。この意味では、日本はすごく遅れてる。今住んでいるイギリスではあり得ないことだ。 ・アカデミックな見方をすると、研究としてよくまとまっていると思う。reserach questionのまとめ方。reserach methodの選択、limitation、考察、過去の研究事例などを踏まえたliterature reviewなどなど。社会科学分野の学生には良い研究手法の手本になる本だと思う。文庫本にしては内容が非常に充実しているし、限定的ではあるものの、深い部分まで洞察していると思う。

Posted byブクログ

2018/05/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

共働き世帯が半数を超えた今、 各家庭のぎりぎりの努力で毎日が紡がれている。 夫婦間でも、実は、 お互いの辛いところや悩みを共有できていないかもしれない。 現状をデータから語り、分析した本。 管理職に特に読んでほしい。

Posted byブクログ

2018/05/09

1番面白かったのは、あとがき、巻末部分だと思う。総合職女性の言語化できないモヤモヤ。1番すべきは、夫が定時で当たり前に帰る事、それに付随する社会的影響。応援したいと思いました。

Posted byブクログ

2018/04/09

制度が整った以降の総合職で、出産した15人の環境やライフヒストリーと選択結果を分析。男並み平等教育のままの意識で就職し、適応戦略を取り損ね、結果退職に至る状況がある。企業に残りやすいのはジェンダー秩序に従う・利用する方。 頑張る、能力の高い女性ほど退職しがち、という構造があるの...

制度が整った以降の総合職で、出産した15人の環境やライフヒストリーと選択結果を分析。男並み平等教育のままの意識で就職し、適応戦略を取り損ね、結果退職に至る状況がある。企業に残りやすいのはジェンダー秩序に従う・利用する方。 頑張る、能力の高い女性ほど退職しがち、という構造があるのがわかりました。社会における能力の浪費、その余裕がなくなってきているのが、改善へのプレッシャーでしょうか。

Posted byブクログ

2017/05/06

出産を経験した女性総合職にターゲットを絞り、彼女たちが抱える葛藤を研究した一冊。 総合職として働く道を選択した女性たちは、なぜその道を選択し、 入社、結婚といったライフイベントを経て、仕事や家庭への感じ方や考え方どう変わり、 出産を機にどんな道を再選択し、その選択にはどんな理由...

出産を経験した女性総合職にターゲットを絞り、彼女たちが抱える葛藤を研究した一冊。 総合職として働く道を選択した女性たちは、なぜその道を選択し、 入社、結婚といったライフイベントを経て、仕事や家庭への感じ方や考え方どう変わり、 出産を機にどんな道を再選択し、その選択にはどんな理由があるのか? といったことを、企業に総合職として就職し、20代で出産を経験した15人の女性へのインタビューを通じて研究した本です。 【感想】 私は今まで、「女だから損している」というような感じ方をしたことがないのですが、 出産や育児をもし今後経験するとしたら、もしかしたらそのとき初めて、「女だから」に直面するのかな・・・ と思い、予習(?)のためにこの本を買いました。 出産するのは女性しかできないことなので、「産休」を女性がとるのは仕方ないけど、 育児は男性がやっても女性がやってもいいはずなのに、なんで女性ばっかりが育休をとらされて、キャリアをあきらめなきゃいけないのか? ・・・というような葛藤が、筆者と15人の女性たちもには共通してあるようでした。 企業の側が、女性が働きやすい施策を打ち出せば打ち出すほど、 家庭の中では 「おまえ(女性)が仕事休めば/時短勤務すればいいじゃん」 という話になり、 男女差別を助長してしまう、というジレンマがあるのだと。 ・・・ほー。 確かに、女性が働きやすい施策というのは大事だけど、 女性だけが働きやすい施策は、結局女性を苦しめてしまうのかと、 なるほどと思いました。 本当の意味で女性が働きやすい会社になりたかったら、 女性だけが働きやすくなるための施策はだめで、女性も男性も働きやすくなるための施策が必要なのだということに、とても共感しました。 その他、なるほどと思ったこと。 ・男性は基本的に総合職しか選べないのに、女性は一般職という選択肢があるのは、女性の「特権」だと思っていましたが、  本書ではそのことを、男の仕事・女の仕事 という男女差別が、 総合職・一般職 という職種差別にすり変わり、より本質が見えにくくなったと書いてあり、  なるほど、そういう見方もあるのかと思いました。 ・女性管理職が少ないのを、女性の意欲の問題にするのはだめらしい。  「そもそも、男性は意欲があってもなくても管理職になっていくのに、女性の場合はなぜか意欲が問題にされる。」 というのはなるほどと思いました。 ・多くの企業における男女平等は、「女性と男性を同じように」ではなく、「女性を男性と同じように」扱おうとしているところに問題がある、という指摘。  それで 「男なみ」 の考え方や生き方をしている女性だけが上に上がれる仕組みを作っても、  結局 「男性」 と 「男なみ女性」 の意見しか経営に反映されないことになって、真の女性活躍とは言えないんじゃないの、という主張にナルホド。 読んでいるときは議論の粗さが気になり、あまり良い本じゃないような気がしていましたが (筆者が修士論文として書いたものを、一般向けに改訂した本だそうです。)、 感想を書いてみて改めて、色々感じるところのある本だったと気付きました。 研究としての精度より、多くの人に読んでもらいたくて書いたという筆者の狙いは、当たっているな! と思いました。

Posted byブクログ

2017/04/09

分析対象のサンプル数が少ないので定量的には説得力がなく、筆者の「書きたいこと」が色濃く出ているので嫌いな人もいるかもしれないけど、 こういう「日本社会における女性の働きにくさ」を実際に経験して、具体的に声をあげることは大事だと思う。 現代に働く女性の一人として、制度はどんどん新...

分析対象のサンプル数が少ないので定量的には説得力がなく、筆者の「書きたいこと」が色濃く出ているので嫌いな人もいるかもしれないけど、 こういう「日本社会における女性の働きにくさ」を実際に経験して、具体的に声をあげることは大事だと思う。 現代に働く女性の一人として、制度はどんどん新しいものができているのに、依然として変わらない男性優位社会に漠然と不安を感じていたので、そこをビシッと指摘してくれていたところがよかったな〜 こういう本に対して「フェミニストが!」とか「女は生意気」と言われることがあれば、日本は本当に終わってると思う。 自分だけがよければいい、既得権益を守りたい、なんて考えはモテないよ。 漠然と将来に不安がある時代だからこそ、共感力というか、寄り添える力が必要なんじゃないかな〜

Posted byブクログ

2017/02/05

産休・育休等の制度が徐々に整備されてきているが、仕事を辞める女性、意欲が低下したようにとらえられる女性がいる。まだまだ課題はたくさんある。

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2016/06/03

社会学の書籍としても、組織論の書籍としても、ジェンダー論の書籍としても優れた良書。現時点の日本では、女を受け入れ、女としてのキャリアで妥協している層がキャリアを積んでるとうのが皮肉だった。

Posted byブクログ

2016/05/20

なんでバリキャリ女性ほど出産を機に辞めてしまうのか、その辺の理由、背景が分かりやすい。 確かに、男性にも読んでほしい本。 自分が出産を控える立場になって感じることだが、復帰してバリキャリを続けるか、それなりに妥協して働くか、会社を変革してさせるようなパイオニア的なスーパーな女性...

なんでバリキャリ女性ほど出産を機に辞めてしまうのか、その辺の理由、背景が分かりやすい。 確かに、男性にも読んでほしい本。 自分が出産を控える立場になって感じることだが、復帰してバリキャリを続けるか、それなりに妥協して働くか、会社を変革してさせるようなパイオニア的なスーパーな女性を目指すか、戻る場所があることに感謝して淡々と与えられた業務をこなす日々を送るか、など、どんな立ち位置とかスタンスで行くべきか、将来の自分を想像しながらもまだまだ他人事として考えてしまう。 実際に、育休から復帰して、両立してみてはじめて見えてくるものもあるんでしょうね。 色々考えさせられた。

Posted byブクログ

2016/03/19

バリキャリには程遠いけれど、子育てと仕事の両立を目指すうえで 共感できる部分は多くあるのではと感じた。 完璧主義を捨てることが大事なのかもしれない。 15人のモデルケースしかなかったので、もう少し統計的にみてみたい。

Posted byブクログ