虐殺器官 新版 の商品レビュー
情報軍の米軍大尉が主人公。彼は情報軍と言いつつ、スパイ、暗殺を担う部隊に所属し、命令されて諸外国の平和に対する罪を持つ人物を暗殺していた。時代は9.11以降で核爆弾のテロも起こった近未来。先進国では徹底的な管理社会となり、発展途上国では内戦が激化している。その内戦の影でジョン・ポ...
情報軍の米軍大尉が主人公。彼は情報軍と言いつつ、スパイ、暗殺を担う部隊に所属し、命令されて諸外国の平和に対する罪を持つ人物を暗殺していた。時代は9.11以降で核爆弾のテロも起こった近未来。先進国では徹底的な管理社会となり、発展途上国では内戦が激化している。その内戦の影でジョン・ポールという人物が常に関わっていることを米軍は把握、主人公は虐殺者である男の行方を追う…という内容。 虐殺器官とは何か、人の意識、内戦の犠牲に成り立つ先進国など様々な要素を描いている。言葉が人に及ぼす影響などは全て理解できたかあやしいけど考えさせられた。ラストはドライだね…
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「手段」の壮大さ、冷徹さが目を引くが、その壮大で冷徹な手段を手にしたとき人は何を選択するのか。人はどこまでも救いがない。
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かなりの読み応え、長文が多く、専門用語、アルファベットの略称、設定上の架空の科学技術、文学、映画等からの引用や比喩、サラっとはとても読めない。近未来SFというジャンル分けになるのだろうが、かなりに哲学的、宗教的表現が多く、読後感は重い。 いろいろ思うことは多かったがまとまりそう...
かなりの読み応え、長文が多く、専門用語、アルファベットの略称、設定上の架空の科学技術、文学、映画等からの引用や比喩、サラっとはとても読めない。近未来SFというジャンル分けになるのだろうが、かなりに哲学的、宗教的表現が多く、読後感は重い。 いろいろ思うことは多かったがまとまりそうにない、まとまったら続きを描こうと思う。
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ハーモニーと読む順番が前後してしまったがこちらもよかった。 彼の描くSFは、現在より進んだ技術はあれど想像できる質感があり、またそれを扱う人々の情緒的な部分も我々から断絶された「未来人」ではなく、私たちにもこういったところがあるかもしれないと思わせるものだった。 感想が書きにくい...
ハーモニーと読む順番が前後してしまったがこちらもよかった。 彼の描くSFは、現在より進んだ技術はあれど想像できる質感があり、またそれを扱う人々の情緒的な部分も我々から断絶された「未来人」ではなく、私たちにもこういったところがあるかもしれないと思わせるものだった。 感想が書きにくいけれど、読書体験によって得たイメージがぼんやりと残り続けるような作品。 私はこれを読んで、感想を書く時に脳のどのモジュールを使用しているのだろうか。
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友人に勧められて読んだ「ハーモニー」と対になっているような作品だと聞いて、読了。 「虐殺器官」というタイトルから、虐殺、殺戮のストーリーなのかと思い込んでいたが、描写はあるものの、意味合いは異なる。 「ハーモニー」のときに感じた、キリキリするよう切迫した感じ、急がなければ!と急...
友人に勧められて読んだ「ハーモニー」と対になっているような作品だと聞いて、読了。 「虐殺器官」というタイトルから、虐殺、殺戮のストーリーなのかと思い込んでいたが、描写はあるものの、意味合いは異なる。 「ハーモニー」のときに感じた、キリキリするよう切迫した感じ、急がなければ!と急かされている感じはこの作品においては受けなかったように思う。 読み始めてみると、確かに目の前にある文字を読み、作品の中へ投下しようとしているにも関わらず、その文字のもっと向こうに作者が「言いたい何か」があるように思えてならない。 ことばによって自らの息を詰め、その苦しさによって生きている喜びを感じる。人としてのあり方なのか、作者の皮肉なのか……? 後半に進むにつれ「生への執着」のようなものを強く感じるようになった気がする。
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オモロかった〜!作り上げられた世界が繊細で没入できる物語に唸る。良心とは?言葉とは?ジョン・ポールが微かにも疑いなく狂っていて、逆にリアルなんだよな。罪の意識に押しつぶされていく主人公も良い。誰かを愛するのって人によっては脆くする要因のような。虐殺のディティールのリアルさが好きだ...
オモロかった〜!作り上げられた世界が繊細で没入できる物語に唸る。良心とは?言葉とは?ジョン・ポールが微かにも疑いなく狂っていて、逆にリアルなんだよな。罪の意識に押しつぶされていく主人公も良い。誰かを愛するのって人によっては脆くする要因のような。虐殺のディティールのリアルさが好きだなぁ、グロい。ラストには罪の意識が狂って虐殺器官を行使する側に堕ちるのが何とも。
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伊藤計劃氏の作品には初めて触れる。早世のSF作家だということは知っていたが読み終えてなるほど、この作者の作品をもっと読んでみたかったと残念に思った。「言葉は器官である」という概念が面白い。結末についての予想はついていたものの、母親に関する終盤の展開が大変つらく、主人公があの選択を...
伊藤計劃氏の作品には初めて触れる。早世のSF作家だということは知っていたが読み終えてなるほど、この作者の作品をもっと読んでみたかったと残念に思った。「言葉は器官である」という概念が面白い。結末についての予想はついていたものの、母親に関する終盤の展開が大変つらく、主人公があの選択をするのもごく当然かと受け入れた。
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難しい、その一言に尽きる。 ジョン・ポールが出てくるまで内容がなんとなくわかるけれど…、いや本当にわかっているのか?どうなんだ、と自問自答しながら読み進める感覚だった。 中盤から後半にかけて、種明かしではないけれど虐殺の文法や仕組みについての説明があったことで、 なんとなくわ...
難しい、その一言に尽きる。 ジョン・ポールが出てくるまで内容がなんとなくわかるけれど…、いや本当にわかっているのか?どうなんだ、と自問自答しながら読み進める感覚だった。 中盤から後半にかけて、種明かしではないけれど虐殺の文法や仕組みについての説明があったことで、 なんとなくわかる本になれた気がする。 痛みがわかるけど、痛くないというのは、他者に対して私たちが感じる感覚と似ている気がする。 所詮他人に起きておることは他人事であり、自分自身ではないから痛みはわかるけど、それを感じることはできない、みたいな。 痛みだけが全てではないけれど、 こうなってしまうと、自分自身がなくなってしまう気がして、なんとも言えない気持ちになった。 もう少し知識をつけてから再読したい。
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いやー、感想を書くのが難しい。 劇的なことが、非現実的なディテールによって覆われて、頭がこんがらがっていたような、理解はできていたような。 虐殺描写のインパクトがさらにかぶさってしまってる。 読むのが止まりはしなかったけど。 SFで描いてる未来って結構現実になっているよなぁ。 ...
いやー、感想を書くのが難しい。 劇的なことが、非現実的なディテールによって覆われて、頭がこんがらがっていたような、理解はできていたような。 虐殺描写のインパクトがさらにかぶさってしまってる。 読むのが止まりはしなかったけど。 SFで描いてる未来って結構現実になっているよなぁ。 痛いと感じないが、痛いのは認識できる、ってなっちゃうのかな。 あまり手に取るジャンルではないけど、繊細な内容だったので、また面白そうな作品に出会えたら良いな。
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本作はアニメ映画化もされていますが、正直、その当時は興味が湧きませんでした。これを読む気持ちになったのは、文学や言語、音楽について興味を持ち、勉強する機会があったからです。その最中、この作品を元にしたアニメ映画の予告が頭をよぎり、「もしかして、言語や音声が争いを誘発することがあ...
本作はアニメ映画化もされていますが、正直、その当時は興味が湧きませんでした。これを読む気持ちになったのは、文学や言語、音楽について興味を持ち、勉強する機会があったからです。その最中、この作品を元にしたアニメ映画の予告が頭をよぎり、「もしかして、言語や音声が争いを誘発することがあるのではないだろうか?」と考えてしまったのでした。 もちろんこれはフィクションですし、もし本当にそのような手法や研究があるのなら興味半分に知りたいくらいです。しかし、この作品を読んで文学や言語、音楽についての興味を更に掻き立てられました。
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