闇に香る嘘 の商品レビュー
こう来るか!このネタがここまで…!と思うとすごい。全く思いつきもしなかった。引き込まれてあっという間に一気読み。このミス本ミス投票前に読んでおかなかったことが悔やまれてならない。 ミステリとしてだけでなく、視覚障害や腎臓障害、中国残留孤児のことを知る機会にもなり興味深かったし展開...
こう来るか!このネタがここまで…!と思うとすごい。全く思いつきもしなかった。引き込まれてあっという間に一気読み。このミス本ミス投票前に読んでおかなかったことが悔やまれてならない。 ミステリとしてだけでなく、視覚障害や腎臓障害、中国残留孤児のことを知る機会にもなり興味深かったし展開に飽きることがない。しっかりとした下調べのもとで書かれているのだろう。今まで考えることのなかった分野について、ミステリを使って読ませてくれた著者は本当に凄いし次回作にも期待したい。 盛りだくさんで贅沢だがミステリから外れることなく、非常におもしろかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
全盲の老人が、中国残留孤児の兄の正体に疑問を持ち、懸命に謎を解いていくミステリー。 真実に迫っていく終盤の展開には引き込まれたが、何よりストーリーを引っ張っていく主人公が魅力に欠ける。 目が見えないこと、残留孤児の話であるという地味な設定とはいえ、それでもいぶし銀のような渋さがあるとか、頑固さの中にも温かさやユーモアがあるなど、主人公にはもっと人間臭さや厚みを持たせてほしかった。 キャラクターが生きていないと、がんばっていろいろ調べました、難しい設定にチャレンジしましたで終わってしまう。ただ暗いのと重厚感があるのとは別物なんだな、と感じた。 ともあれ、5回目のチャレンジでの受賞とのこと、これからですね。
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60回目の記念すべき江戸川乱歩賞受賞作です。 全ての伏線が、最後に、見事につながります。 読み応えがあります。 60回目にふさわしい作品でした。
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選者評にもあるように、主人公がチャレンジド、じゃなくて、チャレンジングな設定で、あんまり共感できなくてドキドキした。
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まず、主人公である、村上和久は目が見えないという設定。 そのため、和久が手探りででも一歩を踏み出さないと 読み手側も一歩を踏み出すことが出来ない。 白杖を使い、コツコツと慎重に進む和久。 その先に、何があるのか分からない。 まさに闇の世界。 もしかしたら、転倒をして怪我を負うかも...
まず、主人公である、村上和久は目が見えないという設定。 そのため、和久が手探りででも一歩を踏み出さないと 読み手側も一歩を踏み出すことが出来ない。 白杖を使い、コツコツと慎重に進む和久。 その先に、何があるのか分からない。 まさに闇の世界。 もしかしたら、転倒をして怪我を負うかもしれない。 もしかしたら・・もしかしたら・・・そういう、負の過程がいくつもいくつも浮かび上がる。 散りばめられた、いくつものなぜ?なぜ? それらの伏線は、まったく違和感なく回収されていく。 満州開拓団、結果として中国残留孤児が生まれた史実 孤児の抱える苦悩、怒りも胸に響いてくる。 読み応えのある作品だった。 次回作も期待!!
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すごく期待して読んだ分ちょっと ハードルが上がってしまったのもあるけど 主人公の人格が悪すぎるのと 中国残留孤児についての国に対しての 妬みが半端なく、 しつこ過ぎてついていけなかった。 ミステリとしては、まぁ、予想範囲内の ものだったしなぁ。 でも、盲目の方の不自由さは改めて...
すごく期待して読んだ分ちょっと ハードルが上がってしまったのもあるけど 主人公の人格が悪すぎるのと 中国残留孤児についての国に対しての 妬みが半端なく、 しつこ過ぎてついていけなかった。 ミステリとしては、まぁ、予想範囲内の ものだったしなぁ。 でも、盲目の方の不自由さは改めてよく分かった。
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第60回江戸川乱歩賞受賞作品。 選考委員の絶賛を浴びたと言うこともあり大いに期待して読む。 うーむ、正直いってそんなに絶賛するほどの作品なのだろうか。 いやね、面白く読めましたよ。 特に後半なんて明日に障ると思いつつ寝る間を惜しんで読んじゃったもの。 40代で失明した盲目の男性...
第60回江戸川乱歩賞受賞作品。 選考委員の絶賛を浴びたと言うこともあり大いに期待して読む。 うーむ、正直いってそんなに絶賛するほどの作品なのだろうか。 いやね、面白く読めましたよ。 特に後半なんて明日に障ると思いつつ寝る間を惜しんで読んじゃったもの。 40代で失明した盲目の男性が主人公。 戦後、満州から引き揚げてきたのだがその際に兄と生き別れになっている。 その兄が残留孤児として帰国し20年以上もの月日がたっていた。 ところがあることをきっかけにその兄が本物の兄かどうか不審に思うようになった。 真実を知るために動き出した彼には様々な困難が待ち受け時には自分の命さえ危機にさらされてしまう。 果たして兄は、あの兄なのか・・・。 全盲の人がどんな生活をしているのかこの本を読むと良く分かる。 描写がリアルで(果たして本当にリアルか分からないが)、読んでいる私まで暗闇に包まれたような重苦しい閉塞感が襲ってくる。 さらに中国残留孤児の現状がこんなに厳しいものとは思いもしなかった。 テレビで残留孤児たちの肉親捜しが行われていたのは遠い昔の記憶でしかなかったが、今なお当事者たちは様々は問題を抱えているのだ。 それにしても政府の対応もひどい。 こういった社会的背景の描写は緻密な取材に基づいているのだろう。 ただ、肝心の人物描写がいかんせん浅い。 この辺りが良くなったら物語に深みが出るのにと思うと非常に惜しい。 最後の大団円のオチもちょっとね。 さほどミステリーを読まない私がこんなこと言うのもなんですが。 でもデビュー作でこれだけ読ませるのは手放しですごい。 今後に期待したいと思います。
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むー、なかなか面白かったしトリックも鮮やかだったんだけど、69歳全盲の主人公って時点で物語に派手さは無いよな。ただこのトリックを使うには今のタイミングだとこの設定しかないのもよく理解できた。練られてる。目が見えない人の世界をほんの少しでも垣間見えた気がして描写にはいちいち感心した...
むー、なかなか面白かったしトリックも鮮やかだったんだけど、69歳全盲の主人公って時点で物語に派手さは無いよな。ただこのトリックを使うには今のタイミングだとこの設定しかないのもよく理解できた。練られてる。目が見えない人の世界をほんの少しでも垣間見えた気がして描写にはいちいち感心した。しかし70代の兄貴屈強過ぎでは?
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江戸川乱歩賞受賞作。中国残留孤児問題をテーマに、盲目の主人公がもったとある疑惑を描いたミステリ。 中国残留孤児問題って、聞いたことはあるけれどあまり詳しくは知りませんでした。誤解していた面もあるように思います。彼らの悲愴さはなんとも言い難いです。 そして主人公が盲目ということもあ...
江戸川乱歩賞受賞作。中国残留孤児問題をテーマに、盲目の主人公がもったとある疑惑を描いたミステリ。 中国残留孤児問題って、聞いたことはあるけれどあまり詳しくは知りませんでした。誤解していた面もあるように思います。彼らの悲愴さはなんとも言い難いです。 そして主人公が盲目ということもあって、サスペンス的な色合いがかなり効果的。ラストはいろいろ都合がよすぎる気もするけれど、「家族の絆」を描いた物語でもあるので、これでいいかな。
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第60回江戸川乱歩賞受賞作。 主人公が全盲である。視覚による情報が第三者からもたらされる情報であるため、真実と嘘の境が全くわからないなか、文字通り手探りで、兄の正体を突き止めてゆくー。 娘との関係と兄への疑惑を解いてゆく工程が互いに共鳴し合い、物語に膨らみをもたせているだけでな...
第60回江戸川乱歩賞受賞作。 主人公が全盲である。視覚による情報が第三者からもたらされる情報であるため、真実と嘘の境が全くわからないなか、文字通り手探りで、兄の正体を突き止めてゆくー。 娘との関係と兄への疑惑を解いてゆく工程が互いに共鳴し合い、物語に膨らみをもたせているだけでなく伏線としても機能している。冒頭に出てくるカッコウ時計(鳩時計)がこの先の展開の暗喩になっている。カッコウは果たして誰であったのか・・・
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