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看護師の歴史 ヴィジュアル版 の商品レビュー

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2021/02/14

絵画や実在した看護師の写真などをふんだんに使い、古代から欧米を中心に現代に至るまでの看護師の姿と歴史を記した一冊。 看護師の歴史の大きな流れとしてあったのは、看護師および女性の権利の向上、そして医学の発展による専門化。古代においては修道会の尼僧が慈愛の精神を持って病人や怪我人の...

絵画や実在した看護師の写真などをふんだんに使い、古代から欧米を中心に現代に至るまでの看護師の姿と歴史を記した一冊。 看護師の歴史の大きな流れとしてあったのは、看護師および女性の権利の向上、そして医学の発展による専門化。古代においては修道会の尼僧が慈愛の精神を持って病人や怪我人の看護にあたり、近世、戦争の時代になると従軍看護の概念が生まれる。 そしてフローレンス・ナイチンゲールの登場により、看護師という職は社会的にも注目を集めるようになり、看護師とは何か、どうあるべきか、が問われるようになっていきます。 看護師の専門的な側面を強調することで、人間的な情緒の面が置き去りにされるという懸念。また看護師には貧困家庭出身の女性も多く、そうした要因が重なったことで、看護師の認定制度が実現されるまでは、看護師の活躍が認められるようになってからも長い時間がかかったそう。 また医師の中には看護師は医者の仕事を邪魔するという考え方を持ち、看護学校の設立を反対する者もいたらしいです。 そうした逆風を看護師たちは自分たちの仕事ぶりで跳ね返し、そして20世紀にはいると看護師の役割はさらに大きくなる。医学の発展で人間の寿命は延び、人間の活動範囲が広がるごとに、看護師の活動範囲も広がっていきます。 19世紀から20世紀にかけてはアメリカやカナダでは、僻地や辺境の地の十分な医療を受けられない人たちのために尽力した看護師たちがいて、その活躍もこの本には記録されています。まさにリアル『Dr.コトー診療所』。単なる職業意識以上の信念がこの人たちにはあったのだろうな、と感じさせられる。 もう一つ印象的な看護師のエピソードは、エディス・カーヴェル。イギリス人看護師だった彼女は、第一次世界大戦時、ベルギー・ブリュッセルの地下組織で、各国の兵士の治療と逃亡を手助けしたため、ドイツ軍にとらえられます。彼女は処刑のされる前『愛国主義は不十分です。私は誰に対しても、憎悪や憎しみを抱きません』と言葉を残したそう。 最終章では現在第一線で活躍する看護師たちが紹介されています。彼女たちは現場での実績もありつつも、一方で研究者としても活躍していたり、専門知識を活かして、治療や看護だけでなく同僚看護師への教育やアドバイスなど、看護師全体を監督するナースコンサルタントという役職についたりと、医者の補佐役としての看護師のイメージから大きく離れた活躍をしています。 看護師の権利向上および、また看護職に就いた女性の権利向上が訴えられ続け、結果、医師とはまた違う、看護師という職業が欧米では独自の発展を遂げてきたのだな、と思います。 2020年から2021年の現状において、大変な状態にある看護師の人たちですが、そうした人たちの闘いをまた違った観点から考えられました。

Posted byブクログ

2014/07/16

 写真と挿絵をふんだんに盛り込み、古代文明から現在までの看護師と看護の歴史を分かりやすく解説したもの。傑出した看護師たちの活動や無名ながら職分に尽くした看護師の足跡を紹介しつつ歴史を辿り、看護師の現状を説明する。 川嶋みどり日本赤十字看護大学名誉教授推薦。

Posted byブクログ