糸を手繰れば 結び屋おえん の商品レビュー
志川節子さん「結び屋おえん 糸を手繰れば」、2014.5発行です。いわれなき離縁状を出され、11歳の幸吉を置いて、大店の奥様から六畳一間の長屋に移り住んだおえん32歳の物語。人と人の縁を結ぶ仕事をしながら長屋に溶け込んでゆく連作6話。糸を手繰れば、まぶたの笑顔、しょっぱいふたり、...
志川節子さん「結び屋おえん 糸を手繰れば」、2014.5発行です。いわれなき離縁状を出され、11歳の幸吉を置いて、大店の奥様から六畳一間の長屋に移り住んだおえん32歳の物語。人と人の縁を結ぶ仕事をしながら長屋に溶け込んでゆく連作6話。糸を手繰れば、まぶたの笑顔、しょっぱいふたり、化けの皮、明日、それぞれの春、しっとりとした話で爽やかな読了感です。離縁した男はいただけませんが。
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夫や姑にあらぬ疑いを掛けられ、商家を追い出された女のお話。 長屋の住人や、元番頭の支えがあるからこその生活。
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主人の文治郎から不倫の疑いを掛けられたおえんは長屋に引っ越すが、そこの住人と上手くいかない.おりつを恭太郎を結びつけるお世話をすることで、次第に長屋連中と良い関係を持てるようになる.この話が表題作だが、彩乃と弥之助を結びつける「まぶたの笑顔」では、おえんがはぐれてしまった友松の話...
主人の文治郎から不倫の疑いを掛けられたおえんは長屋に引っ越すが、そこの住人と上手くいかない.おりつを恭太郎を結びつけるお世話をすることで、次第に長屋連中と良い関係を持てるようになる.この話が表題作だが、彩乃と弥之助を結びつける「まぶたの笑顔」では、おえんがはぐれてしまった友松の話しが何とも悲しい.「化けの皮」の薮田権之助のかつらの話は面白かった.でも最後の「それぞれの春」でおえんの息子・幸吉の言葉に大人たちが自分たちの立場を弁える場面が秀逸だ.昔の行事の描写、とくに餅つきのそれは、私自身が子供の頃にやっていたのと全く同じで懐かしく感じた.
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
図書館返却本、芝居見物後、身に覚えのない不義の罪で味噌問屋で大店の妻の座を追われたお嬢様育ちのおえん。実兄にも嫌われ実家の元番頭の世話で魚河岸近くの長屋に住むことになる。ひょんなことから同じ長屋に住む女仲買いと葉茶屋の若旦那の縁談を取り持つことに、でも商家の奥には、手ごわい姑が構えていて…。男女と呼ばれ、いなせな女仲買いおりつと知り合って打ち解け、娘らしく手ほどきするうち、囲い者と勘違いしていた長屋のおかみ達共親しくなり打ち解けていく。おえんを取り巻く市井の長屋人情・情景が見事に描かれている。
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