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レンブラントの帽子 の商品レビュー

3.6

28件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    8

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2018/02/11

短編3編。いずれも男性2人(美術学校の同僚講師、タクシー運転手と旅行客、父と息子)のやりとり・行き違いが描かれる。選ばれた3編がたまたまそうなのか、オリジナル8編もそうなのか。「レンブラントの帽子」は日常いかにもありそうな(そんな悪いこと言ったっけ?)なお話。絡まった糸が徐々にほ...

短編3編。いずれも男性2人(美術学校の同僚講師、タクシー運転手と旅行客、父と息子)のやりとり・行き違いが描かれる。選ばれた3編がたまたまそうなのか、オリジナル8編もそうなのか。「レンブラントの帽子」は日常いかにもありそうな(そんな悪いこと言ったっけ?)なお話。絡まった糸が徐々にほどけて行き、最後には心温まった。「引出しの中の人間」はユダヤ的なものと冷戦時のソ連の様子が相待って寓話的な、でも実際にはありそうな内容で、少しばかり恐ろしさを感じた。「わが子に、殺される」はちょっと印象に残らなくて、翌朝どんな話か思い出せずもう一度読み返した。マラマッドの面白さはこれだけでは正直よくわからず、他の作品も読んでみたい。

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2016/02/22

私が尊敬する方が愛する作品だからといって、私も同じように好きになれるわけではないのよね…( ˘ω˘ )無念… 訳との相性かもしれませんが、読んでる間ずっと、目が文字の表面を追う感覚がツルッツルに滑りまくってたんですよね〜特に表題作…(謎)。何度も同じ場所に戻っちゃって、ただただ...

私が尊敬する方が愛する作品だからといって、私も同じように好きになれるわけではないのよね…( ˘ω˘ )無念… 訳との相性かもしれませんが、読んでる間ずっと、目が文字の表面を追う感覚がツルッツルに滑りまくってたんですよね〜特に表題作…(謎)。何度も同じ場所に戻っちゃって、ただただ疲れました…。 いつかリベンジ…するかなァ…(汗

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2016/02/06

3作どれも繊細な心理描写が美しく、話に引き込まれました。 レンブラントの帽子は青春小説みたいで爽やか。最後まで読むと凄く微笑ましいです。 他2作は灰色な雰囲気で、感傷的な気持ちになるといいますか。 心の動きが文字を通してじわじわ染み渡ってきました。 話もとても読みやすく、さらり...

3作どれも繊細な心理描写が美しく、話に引き込まれました。 レンブラントの帽子は青春小説みたいで爽やか。最後まで読むと凄く微笑ましいです。 他2作は灰色な雰囲気で、感傷的な気持ちになるといいますか。 心の動きが文字を通してじわじわ染み渡ってきました。 話もとても読みやすく、さらりと読めてしまうので、パッと手にとれるいい本だと思います。

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2019/04/01

和田誠さんの装丁による表紙が象徴的。 写実的ではないけど、独特な線と色彩のイラストは、人が心の奥に隠して他人に見せようとしない感情すらも滲み出させるかのよう。この本におさめられた作品も同じだと思う。 人付き合いを避けるかのような美術学校で古参の彫刻家… 旧ソ連でタクシー運転手の...

和田誠さんの装丁による表紙が象徴的。 写実的ではないけど、独特な線と色彩のイラストは、人が心の奥に隠して他人に見せようとしない感情すらも滲み出させるかのよう。この本におさめられた作品も同じだと思う。 人付き合いを避けるかのような美術学校で古参の彫刻家… 旧ソ連でタクシー運転手の一方で、小説を書き溜め、日の目を見ない自作の発表機会を何とか得ようと考えている男… 父に一言も話そうとしない息子と、息子との会話の糸口がつかめない父親… 確かに、私たちの日常での遭遇はめったにないかもしれない。でも、登場人物の心の動きの描写は、はじめのうちはぼんやりだけど、次第に輪郭をもって、まるで独特の線や色彩で描かれた人物画のように私たちの心に印象をもたらし、最後には、それぞれの登場人物が親しみのある、身近な友だちみたいに感じられるだろう。 私がB.Malamudの作品に出会ったのは、原書を読むNHKのラジオ番組で「魔法の樽(The Magic Barrel)」を聞いた時が最初。この本の3作品も魔法の樽同様、悲しさが全体を包む話だけども、結末を読み終えた瞬間、一滴のインクが落ちて広がるように、何ともいえない心地よさに満たされることができた。 「感動」を売り言葉に、読者から涙を出さそう出さそうと、何となく作為すらうかがえる日本の現代小説よりかは、数倍ここちよい読後感が味わえることを保証したい。 (2011/4/16)

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2014/04/14

芯の硬い鉛筆で、一字一字書かれたような印象。 けれども同時に、ほの明るいユーモアも感じる。それはいわゆる、声を出して笑う類のものではないし、かと言って皮肉めいたものでもない。 思うに、これは「生きている」ということそのものが持つ滑稽さ、みたいなものではないだろうか。物事は全然う...

芯の硬い鉛筆で、一字一字書かれたような印象。 けれども同時に、ほの明るいユーモアも感じる。それはいわゆる、声を出して笑う類のものではないし、かと言って皮肉めいたものでもない。 思うに、これは「生きている」ということそのものが持つ滑稽さ、みたいなものではないだろうか。物事は全然うまくいかないし、自分の思っていることは全然相手に伝わらないし、なんだか哀しいことばかりだし。 けれどそれは悲劇でもあり、喜劇でもある。全然楽しくないけれど、どこかしら滑稽で、普遍的で、それでいて個人的だ。 淡々とした筆致に潜む、繊細な感情に耳を澄ます。生きていくということ、その哀しみと滑稽さに、目を凝らしてみる。

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2013/06/26

たまたま図書館の開架を散策していた時に背表紙に惹かれて手に取った本。 3作品の短篇が収録されているので、すぐに読める。 しかし、内容はかなり味わい不買い物がある。 1975年に集英社より刊行されたという『レンブラントの帽子』から3つの短篇を抜粋し、夏葉社が復刊した本。 「レン...

たまたま図書館の開架を散策していた時に背表紙に惹かれて手に取った本。 3作品の短篇が収録されているので、すぐに読める。 しかし、内容はかなり味わい不買い物がある。 1975年に集英社より刊行されたという『レンブラントの帽子』から3つの短篇を抜粋し、夏葉社が復刊した本。 「レンブラントの帽子」。 「引き出しの中の人間」。 「わが子に、殺される」。 表題作の「レンブラントの帽子」は、短い短編ながら、心の行き違いを上手に表現している作品。 個人的には、「引き出しの中の人間」がおもしろかった。 やや長めの短篇。 「わが子に、殺される」も不思議な語り・展開。 この作家が読まれたのは、本書の解説によると、1960〜1970年代。 「第三の新人」が活躍していた時代。 たぶん、今の時代に合わないのかもしれないが、でも、だからこそ、この精緻な文章を読んで欲しい。 おすすめしたい。

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2013/03/23

ブルックリン生まれのユダヤ系作家。フィリップロス、ソールベローと共にユダヤ系三羽ガラスと言われたマラマッドの傑作短編集。引き出しの中の作家はソ連を旅行したフリーライターの勇気が試される物語。わが子に殺される、は泣ける。しかしマラマッドってしゅごい作家なのね…(・ω・)

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2013/03/01

人と人がわかり合えぬまますれ違おうとする、それでもやはり去りゆく相手の方を振り返らずにはいられない、そんな物語。 著者、バーナード・マラマッドは20世紀半ばに活躍したユダヤ系アメリカ人作家である。1960~80年代あたりには日本でも訳書が何点か出て読まれていた作家であるようだが...

人と人がわかり合えぬまますれ違おうとする、それでもやはり去りゆく相手の方を振り返らずにはいられない、そんな物語。 著者、バーナード・マラマッドは20世紀半ばに活躍したユダヤ系アメリカ人作家である。1960~80年代あたりには日本でも訳書が何点か出て読まれていた作家であるようだが、その後、日本では長く入手困難になっていたらしい。 本書は1974年に出版された同名短編集のうち、主要な3作を収めたものである。 出版社は夏葉社という小さい会社である(この会社自体、なかなかおもしろそうな会社だ)。 「レンブラントの帽子」と「わが子に、殺される」の短編2編に、中編「引出しの中の人間」が挟まれる構成。いずれも、余韻を残す不思議な味わいである。 「レンブラントの帽子」は、美術学校に務める彫刻家と美術史家の2人のちょっとした齟齬を描く。美術史家の発したひと言が思わぬ波紋を生じさせるのだが、この2人の行き違いは、作家と批評家=生み出さねばならぬ人と生み出されたものを評価する人の立場の違いを表しているようでもあり、あれこれと考えさせられる。 「わが子に、殺される」は、引きこもりがちな息子と、息子を心配しつつ手をこまねいている父の物語。親子というのは、いつの時代も、どこの国でも、なかなかに難しいものだ。 一番印象に残ったのは「引出しの中の人間」。米ソ冷戦中、ソ連に旅行に行ったアメリカ人のフリーランス・ライターと、密かに小説を書き綴るロシア人のもどかしいやり取りを描いている。ロシア人レヴィタンスキーは自分の才能を信じつつも、書いた小説を発表することが出来ない。たまたま出会ったユダヤ系アメリカ人のハーヴィッツに原稿を渡し、西側で発表するという夢を託そうとするのだが、なかなか承知してもらえない。一方のハーヴィッツはレヴィタンスキーの才能を感じつつも、当局を畏れ、原稿をソ連国外に持ち出す踏ん切りが付かない。そんな2人のぎこちない綱引きが延々と続く。 冷戦時代のソ連が本当に作中のようであったのか、不勉強でよく知らないのだが、そうであるならばもどかしさが非常によく描かれているといってよいだろう。またもしもかなりの誇張が入っているとしても、抑圧的でシュールな恐ろしさは、どこかカフカを連想させ、権威がもたらす普遍的な恐怖を鮮やかにすくい取っているように思われる。 作中作の「祈祷用肩掛け」が秀逸。しんしんと恐く、でも一方でどこか笑うしかないおかしさもある。

Posted byブクログ

2013/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人と人が関わることの難しさ、些細なことで行き違っていく哀しさを描いた三編。 とっても文学的。流れるような。でもやっぱり翻訳本は訳者の力量が如実に出る。 でも、表題作のように、自分ではなにをした覚えがないのに、相手からいつの間にか距離を置かれてしまうことってあるよね。それが大きな溝になってしまって。そういうところはよくわかるな。 二編目は、当時のソ連の緊張感が伝わってきた。 いずれも、最後ははっきりしない終わり方。それが余韻なんだろうけど。

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2012/07/19

人の相性って、わかりにくくて、悩むところだ。こっちが何の気なしに言った一言に相手が喜んだり、傷ついたり、怒ったり。しかも、こっちは相手の感情が変化したのか気づかないことだってある。 そんな一寸先は暗黒世界な「人間関係」の罠に落ち込んでしまった美術学校の教師2人が主人公の短編小説...

人の相性って、わかりにくくて、悩むところだ。こっちが何の気なしに言った一言に相手が喜んだり、傷ついたり、怒ったり。しかも、こっちは相手の感情が変化したのか気づかないことだってある。 そんな一寸先は暗黒世界な「人間関係」の罠に落ち込んでしまった美術学校の教師2人が主人公の短編小説。相手のかぶっている帽子を指摘しただけで、こんがらがってしまった2人の関係は修復されるんだろうか。

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