ペンギンが教えてくれた物理のはなし の商品レビュー
動物(魚、鳥、哺乳類など)の行動や生態を「バイオロギング」の手法で調査研究し明らかにする研究者の著作。 バイオ=(bio=生物)+ロギング(logging=記録)の意味 生物学の研究手法としてこの人はあえて「異例からあぶりだす」という今までの普通に取られてきた「典型を掘り下げる」...
動物(魚、鳥、哺乳類など)の行動や生態を「バイオロギング」の手法で調査研究し明らかにする研究者の著作。 バイオ=(bio=生物)+ロギング(logging=記録)の意味 生物学の研究手法としてこの人はあえて「異例からあぶりだす」という今までの普通に取られてきた「典型を掘り下げる」手法でないやりかたをとっている。 5章からなっている本であるが、それぞれに物理の法則をもって動物の生態を説明してくれているところもおもしろい(物理の難しい理論は分からなくても問題なし) 各章のフィールドワークの例はそれぞれに興味深い。第五章のインド洋に浮かぶフランス領ケルゲレン島でのヒメウ(鵜)の研究では世界で初めて鳥の飛行速度を測定することに成功している。この島での4ヶ月に渡る生活の記述もユーモアタップリでとても楽しく読める記述でした。
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バイオロギングの話、大好きです。動物の観察のために、ハイテクからローテクまでさまざまに駆使して記録を取る、バイオロギング。 そのバイオロギングで動物の行動がわかってくると、いろんな面白いことがわかってきます。代謝速度は体重の四分の三乗で増え、水の抵抗は体重の三分の二乗で増える。...
バイオロギングの話、大好きです。動物の観察のために、ハイテクからローテクまでさまざまに駆使して記録を取る、バイオロギング。 そのバイオロギングで動物の行動がわかってくると、いろんな面白いことがわかってきます。代謝速度は体重の四分の三乗で増え、水の抵抗は体重の三分の二乗で増える。体が大きくなれば代謝速度の余剰ができるわけで、その余剰分で大きな動物は速く泳ぐことができる。動物がどう燃費を節約しているか。 生態学は多様性を重んじ、物理学は普遍性を重んじる。これを空の容器にいれてガラガラポン、そしたらダイナミックな学問になるんじゃない? というのが著者の考え。 バイオロギングによってわかる生物の生態や、そのログ回収の苦労などのストーリーももちろんだけど、物理のはなしを盛り込んで、そうだったのか! という持っていきかたに、なかなかエキサイトしてしまいます。 タイトルも表紙もペンギンだけど、ペンギンだけの話じゃないし、物理コテコテの話でもないよ。幅広く楽しめる本です。よい。
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最近はバイオロギングという手法で動物の行動を追うことができる。アホウドリが46日間で地球一周したり、アザラシが741メートル潜ったりとする生態がわかってきた。生き物ってすごいねと純粋に思った。機能美の集大成って感じだ。著者のユーモラスな文体が読みやすく、それでそれで?とどんどん話...
最近はバイオロギングという手法で動物の行動を追うことができる。アホウドリが46日間で地球一周したり、アザラシが741メートル潜ったりとする生態がわかってきた。生き物ってすごいねと純粋に思った。機能美の集大成って感じだ。著者のユーモラスな文体が読みやすく、それでそれで?とどんどん話を聴きたくなるところがいい。中に生き物のイラストとかあったら、もっとわかりやすかったかも。そこがちょっと惜しい。
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ペンギンそのもの、というよりバイオロギングについての本。渡り鳥の生態はどうやって調べるのか、世界で一番のろい魚は? アザラシ回収装置って何? と、バイオロギングを使って謎に満ちた生き物の生態を調べる方法についていろいろなエピソードを交えて面白く紹介してくれています。個人的に興味の...
ペンギンそのもの、というよりバイオロギングについての本。渡り鳥の生態はどうやって調べるのか、世界で一番のろい魚は? アザラシ回収装置って何? と、バイオロギングを使って謎に満ちた生き物の生態を調べる方法についていろいろなエピソードを交えて面白く紹介してくれています。個人的に興味のある生き物ばかり登場して、バイオロギングの方法もとても興味深かったので、とても楽しく読めました。
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「ぺんぎんは、なんでもぐるのですか?」 この本はバイオロギングという新しい分野について、とても分かりやすく説明しています。技術の発達により渡り鳥やペンギンアザラシの生態を追跡することができるようになった。とは言っても相手は野生動物であって、追跡装置をつけたり、回収したりは、そう簡...
「ぺんぎんは、なんでもぐるのですか?」 この本はバイオロギングという新しい分野について、とても分かりやすく説明しています。技術の発達により渡り鳥やペンギンアザラシの生態を追跡することができるようになった。とは言っても相手は野生動物であって、追跡装置をつけたり、回収したりは、そう簡単なことではなくて、研究者は日々悪戦苦闘して動物たちを追いかけている。最先端の研究について、その成果だけでなく、研究のための苦労や感動がそのまま綴られているので、臨場感を持って読むことができます。 追跡する方法は主に三つあるそうで、人工衛星で電波をキャッチして測位を特定するアルゴス。渡り鳥につけるために開発したジオロケータ。これは数分間に一度照度(明るさ)だけを記録して、そこから経度と緯度を計算する。それからマグロやホオジロザメの回遊を分析するために開発されたポップアップタグ。これは深度や水温、照度を記録してある一定の時間が経つと魚体から切り離されて水面に浮かび上がる。 位置を計測するならGPSだろうと思っていたが、動物の生態に合わせて機器の性能向上や小型化を進めるために多くの努力が払われてきた。その結果、見えてきたのは、今まで知られていなかった動物達の運動能力は想像を超えるものだった。そしてそのような能力を身につけた理由はどこにあるのか。動物達の知られざる生態に迫る。 このような研究ができるようになったのも、ICT技術の発達によるもので、発信器と人工衛星で位置を計測してコンピュータで解析する。そこに動物達がいることは知っていたけれども、どのように行動しているのかは、ようやく分かってきた。研究者達のわくわく感が伝わってきて、面白く読み進めることができました。科学を知りたい子供(中高生?)にもお薦めです。
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タイトルで予想したのとは違って、どっぷり動物たちの本。主役はバイオロギングという、動物の移動を調査する手法。マグロは時速80Km以上で泳ぐとよく言われるが(そういうサイトがいっぱいある)実際には平均で時速7km、瞬間的に出すスピードでも20-30kmがせいぜいだそうだ。もちろんそ...
タイトルで予想したのとは違って、どっぷり動物たちの本。主役はバイオロギングという、動物の移動を調査する手法。マグロは時速80Km以上で泳ぐとよく言われるが(そういうサイトがいっぱいある)実際には平均で時速7km、瞬間的に出すスピードでも20-30kmがせいぜいだそうだ。もちろんその根拠にはバイオロギングによる科学的な計測結果があるわけで、大変説得力がある。マンボウが浮袋がないわけも興味深かった。 動物に計測器を取り付けてトレースするバイオロギングはいろいろ楽しいことを教えてくれそうだ。いずれ機器が小型化して、すずめとかセミとか野良猫とかにつけられるようになったらきっと楽しいだろう。
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研究者本。バイオロギングの話。最新の研究者の話なので興味深い話が多い。しかし、文章ばっかりで、データや図や地図などが全然無い。データを示すなら図は必須でしょう。また、タイトルとは異なり、物理の話はほとんど出てこない。別の分野のやり方を持ち込む、世の中の技術進歩に乗る、蛸壺化しない...
研究者本。バイオロギングの話。最新の研究者の話なので興味深い話が多い。しかし、文章ばっかりで、データや図や地図などが全然無い。データを示すなら図は必須でしょう。また、タイトルとは異なり、物理の話はほとんど出てこない。別の分野のやり方を持ち込む、世の中の技術進歩に乗る、蛸壺化しない、フィールドに出る、などの筆者の研究に対する姿勢はとても参考になる。
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ペンギン、アザラシ、クジラ、ウミガメ、アホウドリなどの様々な生き物のバイオロギングでの研究結果が、分かりやすく書かれており、とても面白かったです。 物理の話も、簡単に書かれていて、私のような物理苦手な人間でも理解出来たし。バイオロギングの歴史も、楽しくて、分かり易かったです。 章...
ペンギン、アザラシ、クジラ、ウミガメ、アホウドリなどの様々な生き物のバイオロギングでの研究結果が、分かりやすく書かれており、とても面白かったです。 物理の話も、簡単に書かれていて、私のような物理苦手な人間でも理解出来たし。バイオロギングの歴史も、楽しくて、分かり易かったです。 章の最後に、その章のまとめをしてくれるのも、良かったです。 そして、これからのバイオロギングの行方も楽しみになりました。
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各章で「ここまでの内容のまとめ」がある。研究の話と調査旅行の話などがうまく織りまざっていて,サイエンスライティングとしてうまいなあと。
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独創的な研究をされている科学者である著者のユーモアあふれる調査の記録。 動物の体の構造については、とても不思議に感じていたが、どれも理に適っているところが、ただ単純にすごいと思う。
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