夜の写本師 の商品レビュー
いま日本でこんな重厚なファンタジーが書かれているのだね。技巧的な構成に比してストーリーは結構単純で神話っぽくあり。
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右手に月石、 左手に黒曜石、 口の中に真珠。 カリュドウは三つの品を持って生まれてきた。 この印象的な一節から始まる物語に、 思えば冒頭から掴まれていた様な気がする。 本好きならきっと、誰もが持ってるだろう 自分と相性の良い作品を嗅ぎ分ける嗅覚。 いわゆる第六感が働いた。 表...
右手に月石、 左手に黒曜石、 口の中に真珠。 カリュドウは三つの品を持って生まれてきた。 この印象的な一節から始まる物語に、 思えば冒頭から掴まれていた様な気がする。 本好きならきっと、誰もが持ってるだろう 自分と相性の良い作品を嗅ぎ分ける嗅覚。 いわゆる第六感が働いた。 表紙の装丁も素敵だったので、 見た目でも惹かれていたわけだけど。 初めて出会う作家さんの本は買う前に必ず数ページ読んでみる。 でも、この作品は冒頭の4行だけで良かった。 そしてまず、タイトルが美しい。 ファンタジーは大好きだけど幾多あるファンタジーの中には駄作も多い。 それも巧妙に取り繕った"さもそれっぽく作りました"的な似非本格派ファンタジーも最近ではたまに見かける。 ましてや和製(異国モノ)ファンタジーはハンデがありすぎる気はする。 そんななかで、この作品。実に良く出来ている。 乾石智子さんは根っからのファンタジーファンなのだろうと思われる。 読んでいると様々な名作ファンタジーのエッセンスをしばしば見かける、けれどクサくない。 自分の世界観を確立されてるんだな、と感じた。 よく出来たファンタジー作品は実在はしないけれど存在はしている。どこかにこの世界が(パラレルワールドの様に)在る、若しくは在ったんだと感じさせてくれる。 魔術の世界と輪廻転生と、何より本が好きなら、 "言葉の持つチカラ"を信じる人なら、 きっと好きになる作品。 ただ、 乾石さんは若い作家さんなのかな? 文章で時々気になる部分があって、そんな時だけふと現実に戻ってしまったなぁ。 続編も期待。 単行本の装丁もとても素敵なんだけど 予算の関係上、文庫化を大人しく待ちたいと思います。 ちなみに、 キアルス→ケルシュ 紫水晶(アメジスト)→アムサイスト→エムジスト→アンジスト この辺りは途中で気づいて霧が突然晴れたかの様な爽快感を感じたけれど、 ブリュエ→ガエルクはわからなかったなー(笑)
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高校時代に読んだ《イルスの竪琴》シリーズ以来の感動をおぼえました。 実にファンタジーらしいファンタジーであり、しかもオリジナル溢れる世界が拡がっている。これがデビュー作とは思えない完成度です。 日本のファンタジーもついにここまで来たのか!
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その筆力に圧倒され、ぐいぐいと読まされた。読みながら、頭の中でずっとジブリ調のアニメで再生されてしまうのが止められなかった。しかし、内容が重いため、何度も読み返す派としては、心に余裕が無いと読み返せない本。
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いわゆる、竜とか魔法とか剣とかの、王道的なファンタジーは苦手です。 でもこれは、まずタイトルが美しいじゃないですか! タイトルに心奪われて読み始めて。 このお話、好きだ・・・!と思い、時間を無理やり作り出して、それでも3日かけて読みました。おかげで遅刻しかかった(笑) 特徴...
いわゆる、竜とか魔法とか剣とかの、王道的なファンタジーは苦手です。 でもこれは、まずタイトルが美しいじゃないですか! タイトルに心奪われて読み始めて。 このお話、好きだ・・・!と思い、時間を無理やり作り出して、それでも3日かけて読みました。おかげで遅刻しかかった(笑) 特徴のある文章は美しいけれど、内容は結構ダークな復讐譚。苦手なはずのグロテスク表現も決して少なくはありません。 本の厚さのわりに内容が濃いというか、このときに主人公カリュドウはこう思った、こう思うに至るまでに彼はこんな日々をこんなことを感じながらこんな行動をとった、などの人物の細かな描写はあまりないんですね。何(どんな思い)を理由に、何をして、何が起こったか、が淡々と語られる。 そこに若干の物足りなさを感じながら読んで、エンドまでたどり着いて、やっと納得。これは、「口承の伝説」なんですね。神話などで「英雄だれそれはどんな人物で何をしたか」は重要だけど、個人の細かな心の動きなんかは必要じゃないのと同じ。この作品、カリュドウの物語でありながら、実は「この世界(この国)の物語」です。 そして、「この世界の物語」でありながら、最後に訪れる客とのやりとりに、カリュドウという人物にやっと触れられたような安心感がありました。 同じ世界を舞台に何作もあるようです。触れてみたいような、この物語ひとつをそっと大切にしまいこみたいような、なんとも複雑な読後感です。
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悠久の時の流れの中で積み重ねられる魔道師の物語。薄い本だけど、小さな活字でギュッと濃縮された復讐譚は、詳らかに描かれる架空の世界や写本師の仕事に縁取られ、独自の世界を作る。 この本の全体の世界観みたいなものを感じながら物語の世界に浸ろうとすると、一気に読み下すのが良いような気がす...
悠久の時の流れの中で積み重ねられる魔道師の物語。薄い本だけど、小さな活字でギュッと濃縮された復讐譚は、詳らかに描かれる架空の世界や写本師の仕事に縁取られ、独自の世界を作る。 この本の全体の世界観みたいなものを感じながら物語の世界に浸ろうとすると、一気に読み下すのが良いような気がするのだけど、仕事が忙しくてゆっくり本を読むのもままならず、時空を超えて語られる筋立てやそこに沈殿する怨念や宿願を十分に感じ取ることが出来なかったような気がして、我ながら残念。
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読み応えがあった。 終盤に向けて止まらなくなる感じ。 続きが文庫本ででたら買ってしまうだろうと思う。
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ふわぁ~すごいもの読んだぁ…という読後感でした。 壮大などファンタジー。 http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-1062.html
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話の広がりの割にはさくさく進むので読みやすい。 本来はこれ1冊だけで『指輪物語』並みの分量で書けると思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
右手に月石、左手に黒曜石、口の中に真珠をもって生まれてきたカリュドゥ。魔法では勝てない相手に対抗するために選んだ手段が、魔法ならざる魔法を操る「夜の写本師」というのが面白い。甘いファンタジーかと思って読み進めると冒頭からかなりダークだが、文章のうまさや美しさにどんどん物語に引き込まれていく。復讐の物語だけどそれだけではない余韻のあるお話だった。3つの品がどんな意味を持つのかも、物語のなかで自然に理解できる。私はとても気に入ったので、これからもこの作家さんを追いかけたい。
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