鐘楼の蝙蝠 の商品レビュー
『探偵小説と黄金時代』(国書刊行会)のマーティン・エドワーズが、"The Story of Classic Crime in 100 Books"の一冊に選んだのが本作です。 ロラックは、これまで『ジョン・ブラウンの死体』(国書刊行会)と『悪魔と警視庁』(創元...
『探偵小説と黄金時代』(国書刊行会)のマーティン・エドワーズが、"The Story of Classic Crime in 100 Books"の一冊に選んだのが本作です。 ロラックは、これまで『ジョン・ブラウンの死体』(国書刊行会)と『悪魔と警視庁』(創元推理文庫)を読んだだけですが、「地味」な作風の印象。(『悪魔と警視庁』のオープニングは派手だったけれど。) そんな中で、本作はロラックの作品の中では派手な方に分類されるのではないでしょうか。(あくまでも、「ロラックの作品の中では」の分類ですが。)地味というより、「地道」なのかな。全体的には、まあまあ面白く読みました。 第一章では、多くの登場人物が何かよく分からない会話をしていて戸惑いますが、第二章からはスムーズに話が進行します。「鐘楼の蝙蝠」bats in the belfryの意味もすぐに分かります。
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ちょいオールドスタイルでたいへんまっとうなミステリー。 人物描写はあまりないし、あってもお決まりのパターン。地の文まできっちり書けていて読み進めるのが辛くない。 マクドナルド主席警部シリーズは47作(長編46、短編1)あるらしい。 このまま創元が邦訳し続けてくれれば長く楽しめるこ...
ちょいオールドスタイルでたいへんまっとうなミステリー。 人物描写はあまりないし、あってもお決まりのパターン。地の文まできっちり書けていて読み進めるのが辛くない。 マクドナルド主席警部シリーズは47作(長編46、短編1)あるらしい。 このまま創元が邦訳し続けてくれれば長く楽しめることになりそう、かな。 まだ2作しか読んでいないし、 またしても前作(『悪魔と警視庁(前述)』)のことをすっかり忘れているからなんともいえないものの、 本作を読んだ限り、シリーズとしての横軸的面白さは重要視されてない模様。 だからたぶん何作目から読んでもそれなりに楽しめるのではないだろうか。 ちょいオールドスタイル=フーダニットだからご注意を。
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ロラックのマクドナルド主席警部もの。『悪魔と警視庁』も読みましたが、図らずも刊行順にこちらを先に読み、そのあとに『悪魔と警視庁』に進みました(本作が1937年刊行、『悪魔と警視庁』は1938年刊行)。 この作品単体で見れば、舞台装置も登場人物もなかなか魅力的。イギリス古典推理小説としては正統派の作りで、舞台は例の如く霧に包まれた重苦しいロンドン。登場人物は、性格の悪い女優や鳴かず飛ばずの作家、いかにも英国紳士的な舞台関係者、若者ならではの向こう見ずな行動力を見せる男性、これまた「当世的」な物の見方をする若い女性など、それなりに役者が揃ってます。最終的に、登場人物全てが疑わしく見えてくるというのも推理小説としてはマル。 一方で、『悪魔と警視庁』と比較するとこの作品の物足りなさも見えます。 一つに、登場人物があまり多くなく、さらに(恐らくこの作者の癖なのでしょうが)主な登場人物として名前が挙がっている人たちですら数回程度で舞台から消えてしまうことがあるため(中には出てきた時点ですでに死んでる人も)、犯人の推理がしやすいという難点があります。推理がしやすいというより、消去法をしていったら「この人しか残らんよな」という事態に陥ってしまう。こうなると、謎解きはできなかったけど犯人は分かった、という不思議な状態となるわけで、それまで明らかになった事実を積み重ねて推理をし、それが的中するという快感を感じることはできません。 もう一つは、これはあくまで個人的な意見ですが「この当時のロンドンには地主や当主、それに女優、劇作家、作家、歌手などといった舞台関係者しか住んでないのか?」というぐらい、登場人物の職業が似たり寄ったりであるという点。演芸の世界は当時のロンドンでは華やかな「上流階級」だったのかもしれませんが、出てくる人がみんなその手の職業ばかりだとやや興ざめ。さらにネタバレしてしまうと、両作品とも芸能関係者が犯人だったりするので、犯人の個性が見えてこないというつまらなさもあります(このへん、エラリー・クイーンは非常に巧みに作品ごとに犯人像を描き分けています)。 もう一冊ぐらいなら読んでもいいけど、冒頭の登場人物一覧に「〇〇・〇〇 劇作家」というのがいたら読まないかもしれません(笑)
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作家のブルースは謎の男につきまとわれていた。彼の知人が男の住処を突き止めるが、翌日には男もブルースも姿をくらまして、そこにはブルースのスーツケースが… クラシックな本格ミステリで、最初はちょっと退屈で地味な印象を受けたものの、そのうちどんどんペースが上がって一気読み。誰が誰に殺さ...
作家のブルースは謎の男につきまとわれていた。彼の知人が男の住処を突き止めるが、翌日には男もブルースも姿をくらまして、そこにはブルースのスーツケースが… クラシックな本格ミステリで、最初はちょっと退屈で地味な印象を受けたものの、そのうちどんどんペースが上がって一気読み。誰が誰に殺されたのか。キャラがほとんど類型的で探偵役のマクドナルド警部も魅力に乏しいのはちょっと残念だが、安定した面白さだった。
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ドブレットと名乗る謎の人物から恐喝を受けていた作家ブルース・アトルトン。パリに向かったブルースが行方不明に。ブルースの友人ニール・ロッキンガムから相談を受けたグレンヴィルか突き止めたドブレットの家。家から発見されたブルースのスーツケース。ブルースからの電話を受けたというロッキンガムの証言。マクドナルド首席警部の捜査でドブレットの家から発見されたブルースの遺体。ブルースの受け継ぐ遺産の謎。事件に首を突っ込んだグレンヴィルが何者かに襲撃される。グレンヴィルと発見されたドブレットの遺体。
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マクドナルド主席警部シリーズ。創元推理文庫からは『悪魔と警視庁』に続く2冊目の刊行となる(巻末の解説によると他にも邦訳があるようだ)。 英国本格らしい正統派のミステリ。犯人の見当をつけるのはそう難しくはないが、オチも含めて何処か物悲しい。
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マクドナルド警部シリーズ。 とある男の葬儀で集まった人々が「死体を始末するならどうやって?」という談義で盛り上がる冒頭が印象的。それぞれが秘密や思惑を抱えており、人間関係に不穏な空気が漂っているのが楽しいです。 そしてこの時の会話が現実になってしまったように発見される、壁に埋め込まれた死体。しかも首と両手首がない。なんとも奇怪で魅力的。 謎の男が登場したり、スキャンダルがあったり、火事やら事故やら次々と物語は展開して登場人物全員が怪しくなっていく様はおもしろい。 マクドナルド警部の地道で堅実な捜査は渋くて味わい深く、幾つもたてられる仮説が物語の展開と共に様変わりしていくのも楽しいですが、どうも盛り上がりに欠けます。 事件が派手な割に地味な小説ではあるものの、英国本格ミステリの雰囲気は良く、丁寧で好感の持てる1冊でした。 ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 首と両手首を切断したのは、捜査の混乱が目的ということでしたが、これが犯人にとって何がメリットなのかよく分かりませんでした。 2冊のパスポートについても、マクドナルド警部はパスポートを確認しただけみたいですが、ちゃんと調べれば分かったことではないのかな?このあたり、当時の事情がよく分かりませんが。 最後の最後に明らかになった犯人が血縁者だったという事実も、驚きよりもがっかり感があります。 グレンヴィルとエリザベスの二人はとても楽しかったです。もっとこの二人が前面にでていたら明るくワトソン役をしてくれそうでわたしの好みだったかも。
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