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クラウン伍長 の商品レビュー

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2件のお客様レビュー

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2016/12/15
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斉藤真伸 短歌 小雨ふる葉山の浜に眺めいるペットボトルの補陀落渡海 デニーズをひとつ過ぎれば夕暮れのすべての海は死者たちのもの 深海のコウモリイカの如くには光れぬゆえにあやふやに笑む いまはもう乾上がるを待つ水たまりその端を踏み餞別とする ヴァンという塩の湖には怪物が潜むと聞きぬけば安らぐ 軒先をつばくろ汚す梅雨の入り桃盗人(ピーチシーフ)の少女が通る 潮ににおう始発列車に担ぎ屋の老婆は籠にもたれて眠る 返歌 担ぎ屋の老婆は始発列車乗る潮騒混じる列車の騒音

Posted byブクログ

2013/12/29

ここに並ぶのは筋骨逞しく、重量感のある歌群である。「凍て空の流星群にまぎれつつクラウン伍長の火葬はつづく」―歌集の表題にもとられた歌だが、このクラウン伍長は『機動戦士ガンダム』の登場人物であるらしい。他にも映画や小説中の人物が多数踏まえられていたりする。極めつけは巻末の『大菩薩峠...

ここに並ぶのは筋骨逞しく、重量感のある歌群である。「凍て空の流星群にまぎれつつクラウン伍長の火葬はつづく」―歌集の表題にもとられた歌だが、このクラウン伍長は『機動戦士ガンダム』の登場人物であるらしい。他にも映画や小説中の人物が多数踏まえられていたりする。極めつけは巻末の『大菩薩峠』讃歌だ。それらを自己に内在させる斉藤の歌は、存在の確かさを示す。思い切りのいい歌いぶりなのだ。歌風は「アララギ」系の先端に立つという印象。まったく似ていないようにも見えるが、その思い切りの良さは俵万智のそれを想わせもする。

Posted byブクログ