1,800円以上の注文で送料無料

一神教と国家 の商品レビュー

3.9

49件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    22

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/11/15

イスラム神学・法学専門のイスラム教徒(スンニー派)・中田考氏からキリスト教シンパを自称される内田氏が聞き出すという対話。副タイトルとは異なりほとんどがイスラム教の考えを中田氏が話す内容。イスラム教はキリスト教よりむしろユダヤ教との共通点が多いことを感じた。中田氏は灘中・高出身で東...

イスラム神学・法学専門のイスラム教徒(スンニー派)・中田考氏からキリスト教シンパを自称される内田氏が聞き出すという対話。副タイトルとは異なりほとんどがイスラム教の考えを中田氏が話す内容。イスラム教はキリスト教よりむしろユダヤ教との共通点が多いことを感じた。中田氏は灘中・高出身で東大では「駒場聖書研究会」に所属していたが、キリスト教かイスラム教で悩み、アッラーが慈悲の神だからという理由でイスラムを選んだとのこと!イスラム諸国の連帯を謳う憲章を掲げるイスラム協力会議(OIC)が統一を図るものではなく、むしろ「相互に主権を尊重=縄張りを侵さない」ものであり、分裂の現状を固定化し、既得権を守るカルテルであるとの中田氏の説明に、パレスチナ問題を巡る、イスラム世界が連帯して援助の手を伸べない冷淡さの背景を知ることができる。だからこそ中田氏はカリフ制の復活を主張しているのだそうだ。イスラム教から見た逆転の発想でイスラムこそがアブラハム以来のオリジナルであり、ユダヤ教はユダヤ民族によって、キリスト教はイエスによって改変されたものだとの考えているとの説明には「成程!」という感想だった。

Posted byブクログ

2023/08/13

一神教、特にイスラム教についてとても勉強になる。今まで知っているつもりだったものをより深く知ることで認識が180度変わるということもある。 内容には著者の主観的なところも多少含んでいるが、カリフ制復活論なども大変興味深い。

Posted byブクログ

2023/03/11

ユダヤ哲学の内田先生と、カリフ制再興を目論むハサン中田先生のゆるゆる対談。 丁々発止の対談じゃなくて、縁側で日向ぼっこしつつ好々爺二人が大風呂敷を広げる、といった風情のほのぼの対談。 でも中身はめっちゃ刺激的で脳みそを刺激される本やったよ。うん。なかなかこれまで想像もしたことのな...

ユダヤ哲学の内田先生と、カリフ制再興を目論むハサン中田先生のゆるゆる対談。 丁々発止の対談じゃなくて、縁側で日向ぼっこしつつ好々爺二人が大風呂敷を広げる、といった風情のほのぼの対談。 でも中身はめっちゃ刺激的で脳みそを刺激される本やったよ。うん。なかなかこれまで想像もしたことのないような世界観。

Posted byブクログ

2022/03/16

読み進める中で霧が晴れていくかのように「なるほど」が連発。 イスラーム学者の中田先生と思想家・武道家の内田先生の対談によって、話が立体となり立ち上がるような感覚になった。 内容もそうだが、おふたりの対話に対話のあるべき姿を見たように思う。

Posted byブクログ

2021/04/04

大学時代に中世ヨーロッパ史を専門としていて、キリスト教の考え方や歴史はある程度勉強していた。その中で、現代日本においてイスラームを信仰する人というのはどのような感覚・価値観を持っているのか非常に興味を持っていた。そのため、本書を通してムスリムの考え方の一端を窺い知ることができて良...

大学時代に中世ヨーロッパ史を専門としていて、キリスト教の考え方や歴史はある程度勉強していた。その中で、現代日本においてイスラームを信仰する人というのはどのような感覚・価値観を持っているのか非常に興味を持っていた。そのため、本書を通してムスリムの考え方の一端を窺い知ることができて良い体験ができたと思う。内田氏中田氏の考え方や主張は極端だなと感じる部分もあったが、中東情勢を西洋的日本価値観で見ていた自分にとって、新たな知見を与えてくれた。中東情勢は非常にややこしく腑に落ちないな〜と言う人は読んでみると理解の助けになるかもしれない。自分がどの考えを選択するかは置いておいて、自分にない知見を得ると言うのは良いものだなあと思わせてくれる一冊だった。 2021年3月

Posted byブクログ

2020/06/21

イスラム、ユダヤ教に関する討議はもちろんとても勉強になったし面白かったのだけど、現在のアメリカ主導のグローバリズムに関する話が特に面白かった。 今の英語教育、グローバル化というのは結局日本が繁栄する手段というよりアメリカ主導の資本主義の中で個人プレーでどう成功するかの手段にすぎな...

イスラム、ユダヤ教に関する討議はもちろんとても勉強になったし面白かったのだけど、現在のアメリカ主導のグローバリズムに関する話が特に面白かった。 今の英語教育、グローバル化というのは結局日本が繁栄する手段というよりアメリカ主導の資本主義の中で個人プレーでどう成功するかの手段にすぎない。わたしもなんとなくグローバル人材という耳触りの良さで英語を勉強したりや海外勤務を希望したりしていたのだけど、自分が目指していたものは一体何なんだ??と考えさせられた。 もう少し自分の働き方というか、行動の軸を詰めて考えたい、と思わせられた本だった。内田樹の本ってだいたいそうなるんだけど。

Posted byブクログ

2019/12/11

非常に面白い。イスラーム学の第一人者、中田考と内田樹の一神教問答。イスラム教とキリスト教、ユダヤ教の共通点と違いがわかるとともに、イスラム、西洋諸国、日本などの国の成り立ち、文化、歴史、政治、関係性等々が見えてくる。 P48で中田氏が「日本では「ケチ」と言う時、強欲と吝嗇を分け...

非常に面白い。イスラーム学の第一人者、中田考と内田樹の一神教問答。イスラム教とキリスト教、ユダヤ教の共通点と違いがわかるとともに、イスラム、西洋諸国、日本などの国の成り立ち、文化、歴史、政治、関係性等々が見えてくる。 P48で中田氏が「日本では「ケチ」と言う時、強欲と吝嗇を分けませんが、イスラームにおいてはまったく違う概念なのです。強欲なのは構わない。しかし吝嗇は最大の悪口なのです」と発言したのに対し、「内田氏は嫌煙という発想は本質的に吝嗇の文化」と話を展開する。 なるほど、日本も煙草を分け合うような文化から西洋風に変化してしまったけれど(領域国民国家)、イスラムは今も共有の文化なのだ。 P92からの「日本とユダヤの意外な関係」も目から鱗。1900年ごろ、ニューヨークの銀行家ジェイコブ・シフは、ロシアで行われていたポグロムについてロシア皇帝に恨みを抱き、当時ロシアとの開戦に備えて戦時公債の引き受け手を探していた高橋是清と会ったことを奇貨として日本を財政的に支援してロシアを打倒しようと考え、実行したという話。シフと世界のユダヤ人の金融のネットワークの支援で合計二億ドルの戦費を調達できたことで、日本は日露戦争に勝てたのだという! 最後に中田氏はカリフ制の再興を主張。1924年にオスマン帝国が解体し(カリフ不在となった)、伝統的なイスラームのあり方を捨てたたことにより、かつてあったネットワークや共生の感覚、施しの精神がうまく発揮されず、国家間、派閥間の争いや貧富の差ばかりが助長されることになったという。そこでカリフ制を復活させ、すべてのムスリムが一つの神による一つの法に従うことによってムスリムとして生きる――その秩序ある生き方を蘇らせたいという。

Posted byブクログ

2019/09/19

レヴィナスを中心にユダヤ思想を主な研究領域としてきた内田樹が、イスラーム学者の中田考を招きイスラーム思想の現代的可能性について対話をおこなっています。 ユダヤ教とイスラム教というバックボーンのちがいだけでなく、さらに国民国家が破滅的なクラッシュを起こしてしまうことの危機を訴える...

レヴィナスを中心にユダヤ思想を主な研究領域としてきた内田樹が、イスラーム学者の中田考を招きイスラーム思想の現代的可能性について対話をおこなっています。 ユダヤ教とイスラム教というバックボーンのちがいだけでなく、さらに国民国家が破滅的なクラッシュを起こしてしまうことの危機を訴える内田に対して、中田は「カリフ道」の復興を説くという点でも、両者の立場にはかなり大きなちがいがあるのですが、本書ではアメリカを中心とするグローバリズムへの対抗思想という点で両者の議論は一致点を見いだしています。もっとも、だからといって刺激に欠けるということはなく、まったく異なるバックボーンからともにグローバリズムへの批判がみちびき出されてくるというところにおもしろさを感じました。

Posted byブクログ

2019/07/17

目からウロコでした…ってわたしはキリスト教徒じゃないですけど。 イスラムに対する考え方がすごく変わった。そしてグローバリゼーションはアメリカの推し進めるビジネス的な戦略であるということも。 今英語で授業する学校に勤めてる。日本人なのに英語で授業してる。すごく違和感なんだけどね...

目からウロコでした…ってわたしはキリスト教徒じゃないですけど。 イスラムに対する考え方がすごく変わった。そしてグローバリゼーションはアメリカの推し進めるビジネス的な戦略であるということも。 今英語で授業する学校に勤めてる。日本人なのに英語で授業してる。すごく違和感なんだけどね。まぁそういう学校があってもいいと思うの。 たださ、思うのはなぜ彼らが英語を身につけるためにこの学校にいるかってことなんだよね。 痛いこと書いてあったな。同年齢集団からアドバンテージを取るためであって、インターナショナルな人間を育てるためではないと。目的はひたすらに内向きであると。 少数の子はきっと目的を持っていたり、最初は目的なんかなくても外向きな考え方に変わっていくことのできる子たちだと思う。でもきっと違うんだよね大部分は。私たちはそれをどう引き上げていくのかっていうのが課題になるんだと思う。 私の目指すところっていうのが不明瞭で。そのためのヒントをもらえたって気がする。「真の国際人を育てるということ。」っていうか。互いの違いをしっかり認め合うことができる。自分のできることを人のために貢献できるような人間に育てる。 そのことが主軸になっていくのかなと、ちょっと思った。

Posted byブクログ

2018/12/22

内田:  ユダヤ教、イスラム教、キリスト教は互を相互参照しながら体型を築いていったkという気がしますね。(略)進行の深さを魂の純良さを持って示すのか、学識の豊かさでし召すのかというあたりの力点の置き方がこの3つの宗教では微妙に違う気がします。 キリスト教⇒人間の魂の清らかさ ユダ...

内田:  ユダヤ教、イスラム教、キリスト教は互を相互参照しながら体型を築いていったkという気がしますね。(略)進行の深さを魂の純良さを持って示すのか、学識の豊かさでし召すのかというあたりの力点の置き方がこの3つの宗教では微妙に違う気がします。 キリスト教⇒人間の魂の清らかさ ユダヤ教⇒知性的な成熟 イスラム教⇒両方 イスラム教はもともと遊牧民の宗教。つまり、国境自体を意識しない。クロスボーダーな集団だった。これは国土、国民を絶対とし、国境を死守する、現在の「国民国家」とは折り合いが悪い。  いま「グローバリズム」が叫ばれているが実態は「汎アメリカ化(アメリカン・グローバリズム)」。だが、その勢力を伸ばし、世界を「フラット化」するにはイスラム教は邪魔。  なぜなら、イスラム教は同一の儀礼、儀礼の言語、同一のコスモロジーを共有しているので「汎アメリカ」の強力な対抗勢力となりうる。  だが、そのイスラム圏を分断するために、欧米の宗主国はそれぞれの支配層へエージェントを残していった。彼らは国家の利権の名のもと、自らの権益を守るため、イスラム圏の分裂を固定化している。  アメリカはダブルスタンダード。  日本や韓国の非イスラム圏は自由貿易によって市場を解放させ、食料自給率を低め、英語公用化か勧め、固有の文化や商習慣を廃絶し、国民国家としての自立性・主体性をなし崩し的に無化していく。  逆にイスラム圏には正当性の乏しい独裁国家を応援して、境界線を厳しく分断し、内部の連帯が取られないようにする。  イスラーム的に正しい政府をつくろうとすると、国を超えてムスリムが選ぶカリフが必要となるが、それは国民国家に縛られたままでは難しい。  だが、イスラム圏の分裂を修正するために著者のひとりである中田氏は「カリフ制復興」を掲げている。そのため、アメリカには目をつけられている。 <感想>  イスラム圏が国民国家と折り合いが悪く、下手をすると『不倶戴天』になってしまう道筋は、内藤 正典著「イスラームから世界を見る」からでもぼんやりとはうかがい知れた。  が、本書では内田氏と中田氏では「国民国家」の是非について対談を通して、その点がもっとはっきりと指摘されている。  特にアメリカのアレルギーとも言うべき激しい拒絶反応の理由がよりはっきりした。  が、いくら「カワユイ」が相手の攻撃衝動を削ぐための戦略だと言われても、「みんなのカワユイ(^◇^)カリフ道」のネーミングセンスはどうかとおもう(笑)

Posted byブクログ