首折り男のための協奏曲 の商品レビュー
緩く繋がった7つの連作短編。いろんな趣向のお話が楽しめて面白かった。懐かしい登場人物にも出会えるし短編でも各々内容が濃いし。エンタメとして充分に堪能。今まで発表してきた短編を上手く繋げるものですね。次が待ち遠しい。
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14/2/6読了。 短編集。連作とまでは言えないかな。 殺し屋たちの話だと勝手に思い込んでたから残念だった。 黒澤が出てきた過去作品読み返そうかな。
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殺し屋の事情、黒澤の窮地、クワガタの憂鬱―― 首折り男は首を下り、探偵は物を盗み、小説家は物語を紡ぎ、 あなたは――、この本を貪り読む! 技巧と趣向の奇跡的な融合。贅沢すぎる連作集! 「首折り男」に度肝を抜かれ、 「恋」に惑って「怪談」に震え、 「昆虫」は覗き見され、「合コン」では泣き笑い。 「悪意」が黒澤を襲い、父は子のため「復讐者」となる――。 全7編、胸元えぐる剛速球から消える魔球まで、 出し惜しみなく投じられた「ネタ」のアンサンブル! ■首折り男の周辺 タイトルの「首折り男」が登場する、本書の導入部でもある短編。 「疑う夫婦」「間違われた男」「いじめられている少年」の3パートから構成されている。 実際の首折り男・大藪(仮)と遭遇しているのはいじめられている少年、中島翔だけなのだが、伊坂さん得意の時空間操作で、3パートを料理する。 「間違われた男」の小笠原は確実に大藪のエネルギーを受け継いでいるし、 「いじめられている少年」のオチも秀逸。 「疑う夫婦」に関しては、文庫版収録の部分を削らない方が良かったんじゃないのかな、と思う。 夫婦の名前も変わっちゃているし。 ■濡れ衣の話 丸岡直樹は刑事と思しき男と車中で対話する。 彼は妻に逃げられ、息子を事故で失っていた。 理不尽なことに加害者の女は3年で刑務所から出てきた。 女を殺害した。やりきれなさしか残らない。 世の中のバランスとして、納得がいかない。 丸岡が対峙していた男は、首折り男だった。 15年前、丸岡と「土曜日にキャッチボールをする」約束をしていた。 時空のねじれ、というのかタイムパラドクスは生じているのだろうか。 首折り男の流儀は変わらない。 ■僕の舟 癌で入院中の夫の傍らで、若林絵美は黒澤と会話する。 黒澤への依頼は、50年前の初恋の調査。 その4日間の思い出は今でも鮮明なものだ。 その話の中に、こじつけで「僕の舟」が隠されていることを語ってみせる黒澤。 そして初恋相手の正体。 もしかするとの世界でも……、彼女の人生は『僕の舟』上。 (ここで一話目の夫妻の名前が変更された理由が分かった) ■人間らしく 黒澤は馴染みの釣り堀である女性から依頼を受ける。 「義弟の浮気調査をしてほしい」 彼女の妹は夫の生家にたいして献身的だった。 それを裏切る義弟の行為に我慢がならない。 一方である少年は少人数制の塾でいじめに遭っていた。 神も仏もいやしない。ところが……。 黒澤は依頼を進める途中、知人の作家を訪ねることに。 「天網恢恢疎にして、そこそこ漏らす」 勧善懲悪の伊坂イズム、ちょっと復活。 ■月曜日から逃げろ 時系列が真逆になっている本作。その間隔は詳しくは分からないものの、日→土→……→月、が正しい時間の流れのようだ。 日曜日、黒澤は蕎麦屋で久喜山という男と対面した。初めてだ。 「空き巣のテクニックを見たい」と願い出る久喜山。 彼はTV番組のディレクターでもある。 警戒する黒澤。 土曜日、知り合いの大西から映像を逆再生するテクニックを教えてもらう。 金曜日、久喜山宅の金庫から金を盗む(が、これはあえての行動)。 木曜日、釣り堀で中村という、これまた知り合いから久喜山の素性について教えられる。 水曜日、久喜山は嬉々として黒澤を恐喝してくる。 火曜日、黒澤は絵画を盗む姿をビデオに撮る。 月曜日、黒澤がいつものように(笑)釣り堀で過ごしていると、久喜山がやってきた。 が、なんと彼の自宅になぜか盗まれた絵画が飾ってあったのだ。 持ち主に返すことを依頼する久喜山。 久喜山は黒澤の犯罪の証拠を握っていることをほのめかすが……。 ■相談役の話 作家に古い友人が訪ねてくる。 山家清兵衛についての相談事があるようだ。 自分の状況とダブって怖くなったらしい。 陰湿だと自覚している作家は彼の追跡調査を黒澤に依頼する。 ところが依頼中に、死んだはずの彼の相談役が随所に表れ……。 オチに苦笑。伊坂さん初の怪談。 ■合コンの話 『文体練習』(レーモン・クノー)に触発されたとされるお話。 冒頭からある合コンのあらすじが記載されたり、 「おしぼり」のルールなどが語られていく。 会話と共に心理も述べられたりするその数々の文体には変な感覚を覚える笑 その合コンのさなか、店の近くで俳優が殺害される物騒な事件が起こるが、 あくまでも世界は変わらない。 オチはなかなかに秀逸だし、『首折り男の周辺』にゆるやかに繋がっていくのにニヤリ。 伊坂さんの自作解説はこちら↓ https://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/459606.html ミステリ :☆☆☆ ストーリー :☆☆☆☆ キャラクター :☆☆☆☆☆ 文章 :☆☆☆☆
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短編集。 もともとは別々の話だったのが つながりを持つように。 黒澤の出てくる「月曜日から逃げろ」の構成が傑作。 このアイデアは思い付いても普通は書けないが、 この人は書ける。すごい。
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本の帯に 「出し惜しみなく投じられた『ネタ』のアンサンブル!」 とあったが、確かにそうかもしれない。ただ、『あなたは―、この本を貪り読む!』ともあって、こちらは…私にはあてはまらなかった。 ネタ満載というかトリッキーというか、初出もいろいろな媒体のようなので、実験的な作品群なの...
本の帯に 「出し惜しみなく投じられた『ネタ』のアンサンブル!」 とあったが、確かにそうかもしれない。ただ、『あなたは―、この本を貪り読む!』ともあって、こちらは…私にはあてはまらなかった。 ネタ満載というかトリッキーというか、初出もいろいろな媒体のようなので、実験的な作品群なのだろうか。読んでいて飽きることはないが、引き込まれることもなかった。「死神の浮力」は久しぶりに入り込めたんだけど。 個人的に、短編より長編の方が向いているような気がする。キレのある作品を描く人ではない気がするし(昔は素敵な作品もあったけど)、複雑に入り組んだストーリーが徐々にまとまってあざやかなエンディング、というパターンが好きだ。それではマンネリと言われてしまうのかもしれないけれど。
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首折り男の周辺、はstorysellerで読んだことがあったけれど、他ははじめて読む作品たち。 長編作品、ではないが、ふつうの短編集ともまたちがう。 ちょっとずつ作品たちが登場人物やキーとなるテーマを通して繋がっている。。。そしてできあがるのはまさに「協奏曲」。う〜ん、うまい、伊坂さん、うますぎる!思わずうなってしまいました。 一つ一つが珠玉の作品で、全体のバランスもまさに最高。お気に入りの一冊がまた増えてしまいました。 首折り男も黒澤さんもクワガタブリーダーも、みんなあったかくて魅力的です。白か黒か、じゃなくて、プロの殺し屋だけどいい人、みたいな灰色ゾーンの魅力に浸れます。 ひとだけじゃなくて、物事に関しても白か黒かつかないことが世の中いっぱいあると思うんですけれど、決めきれないその灰色の中に温かみがあるような感じもしてそれもまたいいです。 読んだことがあった「首折り男の周辺」に関しては、storysellerに入っていた作品から改変されて、登場人物の名前も変わっているし、協奏曲の中の一曲としてより磨きがかかっているのが素人なりに読んでいてわかり、きっと他の作品もそうなんだろうなあと。 ほんとにすごいなあ。伊坂さん大好きです。
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待望の伊坂幸太郎新刊は、ファンなら絶対にそそられるタイトルの短編集。 伊坂作品の2大スター、首折り男・大藪と探偵及び空巣・黒澤、そして その周辺の人たちが大挙登場する作品。 いやもう、ただただシビれた。 各章で相変わらずの伊坂節がキラキラ光りながら入って来る感じ。 その台詞回しのあまりのすばらしさに、読中に完全にニヤニヤしてしまう ほど。近年の伊坂作品の中では、いちばん言葉に輝きがある気が。つまり、 フリークならあっという間にKOされてしまうと思われる。 そして僕は、この本の中にある台詞をどこで引用してやろうかと もうずっと考えていたりする(^^;)。 キャラクラーは皆、もちろん異様な刺激に溢れている。 クワガタブリーダーの作家や、自ら合コンに巻き込まれる有名人、そして 「首折り男」としてはスタン・ハンセンに次ぐ知名度を誇る大藪など、 皆存在感が半端で無い。こういう人たちを書かせたら、もうこの人の右に 出る人は皆無。左にズラ~っと行列の出来ている風景がかんたんに想像 出来てしまうから凄い。 全7章のうち、3章分は既に他のアンソロジー等で既読の作品だったのだが、 その他の作品と絶妙にリンク。結果長編を1本読んだ後のような満足感を 与えてくれる。特に以前ある恋愛系アンソロジーで読んだ「僕の舟」に関し ては、同じ内容なのに全く違う作品を読んだかのような瑞々しい感動があった。 初めて伊坂幸太郎を読む人が居たとして、この本をチョイスするとしたら、 その人はきっと凄く幸せな人なんだろうな、と思ってしまうくらいの作品。 これはもう必読です、ええ。
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胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた「ネタ」の数々! 「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え「合コン」では泣き笑い。黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、父は子のため「復讐者」になる。技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅...
胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた「ネタ」の数々! 「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え「合コン」では泣き笑い。黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、父は子のため「復讐者」になる。技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅沢すぎる連作集。
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【首】普通は細く、折れやすいし折られやすい。 StorySellerで二篇は読んでいたのだけど、恋愛ものや怪談まで確かにこれは贅沢すぎる連作集だった。 実に伊坂幸太郎らしい伊坂幸太郎。 「合コンの話」がやっぱりめっちゃすき。 そして、読み終えて納得。 これは首折り男のための...
【首】普通は細く、折れやすいし折られやすい。 StorySellerで二篇は読んでいたのだけど、恋愛ものや怪談まで確かにこれは贅沢すぎる連作集だった。 実に伊坂幸太郎らしい伊坂幸太郎。 「合コンの話」がやっぱりめっちゃすき。 そして、読み終えて納得。 これは首折り男のための協奏曲だった、 と。
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